エンジンは2.5Lガソリン+マイルドハイブリッドへ一本化。
新型マツダ「CX-5」が好調なスタートを切った。2026年5月21日の発売から約1カ月となる6月21日時点で、国内受注は1万台を突破。月間販売計画2000台に対して5倍を超える規模である。
ただ、注目したいのは受注台数だけではない。新型CX-5では、もっとも高価な最上級グレードに注文が集中しているのだ。
新型CX-5の価格は、「S」が2WDで330万円、4WDで353万6500円。「G」は352万円/375万6500円、最上級「L」は407万円/430万6500円となる。

初期受注のグレード構成を見ると、Sはわずか3%、Gが32%。これに対し、407万円からとなるLが65%を占める。
つまり、330万円から購入できるにもかかわらず、およそ3人に2人が400万円を超える最上級グレードを選択しているのである。
マツダは平均購入価格を公表していないが、グレード構成比と車両価格を単純に掛け合わせると、仮に全車2WDなら平均約387万円、すべて4WDなら約411万円となる。実際にはメーカーオプションなども加わるため、購入金額の中心は400万円前後に達している可能性がある。

では、CX-5はどれほど高くなったのか。
先代末期の2.0リットルガソリン「20S i Selection」は281万500円からだった。新型Sは330万円なので、エントリー価格は48万9500円上昇したことになる。
上級モデルでも同様だ。先代の2.5リットルガソリン「25S Sports Appearance」は358万1600円から。新型Lとの差は48万8400円で、こちらも約50万円高くなった。
もっとも、単純に約50万円値上げしたわけではない。
新型はボディを大型化するとともにホイールベースを延長し、パワートレインも2.5リットルガソリン+マイルドハイブリッドへ一本化した。
Lには本革シートや15.6インチセンターディスプレイ、アンビエントライト、ハンズフリー機能付きパワーリフトゲートなども標準装備される。CX-5そのものの商品ポジションが、従来より上級方向へシフトしたと見ることもできる。
そして現在の国産ミドルSUV市場を見ると、「400万円超」は珍しい価格ではなくなっている。
スバル「フォレスター」は、ターボのTouring EXが399万3000円、SPORT EXが419万1000円。ストロングハイブリッドのX-BREAK S:HEV EXは452万1000円、Premium S:HEV EXは464万2000円だ。
トヨタ「RAV4」のハイブリッドはAdventureが450万円、Zが490万円。「ハリアー」もGが439万6700円からで、Z Leather Packageは2WDでも518万6500円となる。
こうして比較すると、CX-5 Lの407万円は安くはないものの、現在のミドルSUV市場では突出した価格でもない。
上位モデルの「CX-60」と比較してみると?
さらに面白いのが、同じマツダの「CX-60」との価格関係である。
CX-60のガソリン車「25S L Package」は382万8000円から。車格では上位に位置するCX-60のほうが、CX-5 Lより約24万円安いという逆転が起きている。
「同じ400万円前後を出すなら、上位車種のCX-60を選ぶ」という考え方もできる。それでも新型CX-5ではLに注文が集中している。
ここに、新型CX-5の売れ方を読み解くポイントがありそうだ。
マツダが公表した購入者の声では、広くなった後席やドア開口部、大型センターディスプレイなどが評価されている。従来のCX-5から乗り換えるユーザーにとって、車格よりも使い勝手や装備の充実を優先した結果、Lへ注文が集中した可能性がある。
かつてCX-5といえば、ディーゼルも選択できるコストパフォーマンスの高いSUVという印象が強かった。
新型ではディーゼルを廃止し、ボディを大型化。価格も上昇し、最上級グレードは400万円を超えた。それでも最廉価のSではなく、407万円以上のLが初期受注の65%を占めている。
新型CX-5の初期受注を見る限り、ユーザーが重視しているのは「できるだけ安くCX-5を買うこと」ではない。価格が上がっても装備や質感を求める――。CX-5は価格だけでなく、ユーザーからの選ばれ方も変化しているようだ。













