第6世代に当たる新型バッテリー技術は、これまでBMWが長年採用してきた「角形(プリズマティック)セル」から、新たに専用設計の「円筒形(シリンドリカル)セル」へとフォーマットを完全に刷新した。最大の技術的ハイライトは、「Pack-to-Open-Body(パック・トゥ・オープン・ボディ)」コンセプトの採用である。

Pack-to-Open-Bodyは、バッテリーを単なる「積載物」として扱うのではなく、バッテリーパックを車体構造の一部として利用する、BMW独自の車体統合アーキテクチャ。従来の「セル→モジュール→パック→車体」という階層構造を捨て、部品点数と重量を劇的に削減しながら、空間効率を極限まで高めていると、BMWは説明している。

とはいえ、Cell-to-Packの意義はまだわかるとして(すでにBYDがブレードバッテリーで市販化しているのはよく知られるとおり)、Pack-To-Open-Bodyが訴求する新奇性は非常に伝わりづらい。「パック筐体がBEVの剛性に寄与しているなんて当たり前じゃないか」というのが多くの人の感じるところだからである。

Pack-To-Open-Bodyとは[底が抜けた]オープン構造のボディにバッテリーパックを取り付ける構造のことを指す。だからOpen-Bodyと称しているのだ。つまり、バッテリーハウジングのカバー(上フタ)が車両のアンダーボディ(床板)の機能を果たすことになる。従来の構造では車体側のフロアとバッテリーハウジング上面がそれぞれ存在するのに対し、BMWはバッテリーハウジングの上面を車体フロアとして機能させるという構造だ。

バッテリーパック上面に並ぶ締結用タブ。シートフレームなどをこの面に直接固定できることからも、単なる「車体に搭載されたバッテリー」ではなく、従来のフロア機能まで担う構造であることが分かる。

実例として、最初に搭載される新型「i3(セダン)」はセダンボディでありながら総電力量108.7kWhという巨大なバッテリーを搭載し、800Vシステムとの組み合わせでWLTP最大906kmという圧倒的な航続距離をマークしているという。セダンのように車高方向の余裕が限られる車型では、バッテリー搭載によるフロア高の増加をいかに抑えるかがパッケージング上の重要な課題になる。Pack-to-Open-Bodyは、まさにその「車体フロアとバッテリーの二重構造」を解消する方向の技術だ。もしかして、だからBMWはセダンである3シリーズから“Gen.6”を搭載しはじめたのかもしれない。「車体とバッテリーの境界線をなくす」という、自動車の構造的なパラダイムシフトを証明するニュースである。