エンジン車のパワートレインはディーゼル+4WDのみ

インドネシアの首都ジャカルタで今夏に開催された『GIIAS2026』は、新型ハイラックスにとって初のショーでのお披露目となるだけに、全てのバリエーションが展示された。

会場に飾られたトヨタ・ハイラックス。現地での最上級グレードとなるのがダブルキャビン「V」だ。

インドネシアの新型ハイラックスのラインナップは、日本にも導入されるダブルキャブ(現地名:ダブルキャビン)を始め、日本未設定のシングルキャブ(現地名:シングルキャビン)やBEVも設定。ただし、タイで継続されるシングルキャブのキャビンを拡大した「スマートキャブ」は未導入となっている。

トヨタ・ハイラックス(ダブルキャビン「V」)。荷台には、自転車が積載され、アウトドアシーンの活躍を想像させた。

新型の大きな特徴といえば、パワーユニットと駆動方式だ。エンジン車の全仕様が2.8Lエンジンに統一され、1GD-FTV型直噴クリーンディーゼルターボエンジンを搭載。最高出力150kW(204ps)、最大トルク420Nm(MT車)もしくは500Nm(AT車)を発揮する。

1GD-FTV型直噴クリーンディーゼルターボエンジン(写真はダブルキャビン「V」)

意外にも、駆動方式は全車4WDのみ。新型でも生産地のタイでは一部仕様にFRも用意されているが、新型は4WDが中心。その背景には、タイなどでは先代モデルの仕様を限定しつつ継続生産し、新型に無い仕様をカバーしているため。ちなみにインドネシアでは新型のみとなる。

日本未導入のシングルキャブがカッコイイ

トヨタ・ハイラックスのシングルキャビンは、モデルエントリーでもあるが、パートタイム4WDで悪路にも強い仕様だ。

新しいハイラックスは直線的かつシャープなエクステリアがカッコいいのだが、シンプルなシングルキャビンは、そのスタイリングがより強調される印象。同仕様はモノグレードで、なんとパートタイム4WDの6速MT仕様のみという潔さ。展示車のボディカラーは、日本でも馴染み深い白である「スーパーホワイトII」だ。

トヨタ・ハイラックス(シングルキャビン)のリヤスタイル。
トヨタ・ハイラックス(シングルキャビン)のタイヤ/ホイール。展示車はスチールホイールに225/70R17サイズのダンロップ製GRANDTREK AT20を装着。

全長5320mm×全幅1855mm×全高1795mmとダブルキャビンよりもわずかに全高が抑えられている。ただし、荷台は最大化されるため、荷台長2300mm×荷台幅1575mmと広々。さらに最低地上高は306mmを確保しているので、より腰高に映る。

トヨタ・ハイラックス(シングルキャビン)の荷台。荷台長は2.3mにもなる。

日本でも見ることができるダブルキャビンはシリーズの中核となるもので、3タイプを用意するが、こちらも全てパートタイム4WDとなる。エントリーから「E」「G」「V」の3タイプを用意。装備面では「V」が充実しており、日本同様SUV的なニーズもカバーするグレードのようで、エンジン車で唯一6速ATが選べるのも特徴だ。

トヨタ・ハイラックス(ダブルキャビン「V」)の荷台。自転車も楽々積み込める広さだ。

インドネシア市場にはBEV仕様も投入

モノグレードとなるBEVのトヨタ・ハイラックス ダブルキャビンBEV。

もうひとつ日本に無いハイラックスといえば、BEVだ。そのビジュアルは日本でも販売される「ダブルキャブ」とそっくりだが、グリルレスとなるアッパーフロントグリルに加え、専用アルミホイールなどでエクステリアが差別化されている。ただ、パっと見ではBEVとは分かりにくい。

トヨタ・ハイラックスBEVのフロントマスク。
専用アルミホイールに265/65R17サイズのタイヤを組みわせる。展示車はブリヂストン製DUELER A/Tを装着。

基本構造はエンジン車同様ラダーフレームを採用しているが、フロントとリヤに駆動用モーターを搭載したフルタイム4WD仕様となり、前後軸の中間となるキャビン下に駆動用バッテリーを搭載している。

トヨタ・ハイラックスBEVのフロアには、駆動用バッテリー保護のパネルが装着される。

システム出力は144kW。モーター単体の性能は、フロントモーターが82.2kW/205.5Nm、リヤモーターが129.3kW/268.6Nmとなっている。バッテリー容量は59.2kWhで、最大航続距離を315kmとしている。

トヨタ・ハイラックスBEVのエンジンルーム。リヤにも駆動用eアクスルが搭載される。

またリヤモーター搭載のために、リヤサスペンションがエンジン車のリジット式ではなく、ド・ディオン式となるのも特徴のひとつ。

トヨタ・ハイラックスBEVのリヤ側フロア。スペアタイヤの前にeアクスルを備える。

BEV対応のため、内装の一部を専用化されている。そのひとつがシフトレバーだ。他モデルはいずれもフロアシフトで、MTかレバー式のATなのだが、日本のハイブリッドモデルにも使われる電制式のコンパクトなATレバーなのだ。

トヨタ・ハイラックスBEVのコックピット。BEVの表示のために、メーターパネルもデジタル仕様に。

また電動フルタイム4WDの走破性を高めるべく、マルチテレインモードとドライブモードセレクトが標準化されている。BEV仕様の悪路での走りも気になるところ。

トヨタ・ハイラックスBEVのシフトレバー。
トヨタ・ハイラックスBEVのモードセレクター。
トヨタ・ハイラックスBEVのステアリング。
トヨタ・ハイラックスBEVのセンターコンソール。
トヨタ・ハイラックスBEVのフロントシート。
トヨタ・ハイラックスBEVのリヤシート。

ボディサイズと荷台の大きさは、エンジン車のダブルキャビンと比べ、全高を除き共通となる全長5320mm×全幅1855mm×全高1800mm。荷台サイズは、ダブルキャビンと共通の荷台長1555mm×荷台幅1540mmだ。ちなみに、車重はダブルキャビン+195㎏増となる。

トヨタ・ハイラックスBEVの荷台あおり。
トヨタ・ハイラックスBEVの給電口。

ダブルキャビンと大きく異なるのは最低地上高だ。ダブルキャビンの312mmに対して、210mmに留まる。これはBEV化の影響だが、RAV4(HEV)で190mmなので、問題はない性能と言えるだろう。そして、激しい雨天にも見舞われる地域だけに、渡河浸水性能に関しては、BEVでも700mmを確保していることがしっかりと明記されているのもポイントだ。

しかし、BEVで最も驚くべきは、10億1900万0000ルピア(約903万円)という高級車並みの価格かもしれない。

とにかく安い!ハイラックスの弟分「ランガ」

トヨタ・ハイラックスランガに架装したパネルバン。シンプルな作りだが、ワイルドなデザインが魅力的だ。

番外編としてハイラックスの弟分「ハイラックスランガ」(以下、ランガ)を紹介していこう。タイなどでは、ハイラックスチャンプ(以下、チャンプ)の名で展開されているモデルで、インドネシアでは2024年10月より投入されている。

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堅牢なラダーフレームによるFRモデルで、ハイラックスよりも小ぶりな全長4970mm×全幅1785mm×全高1740mmのシングルキャビンのみのという設定で、グレードも「スタンダード」と「ハイ」の2種類。ホイールベースは、チャンプには3つあるが、ランガは真ん中の2750mmのショートホイールベースのみとなる。

トヨタ・ハイラックスランガのリヤスタイル。パネルバン仕様も積載能力が高い。

エンジンは2.0L直列4気筒自然吸気ガソリン仕様と2.4L直列4気筒ディーゼルターボの2種類となる。ディーゼルの「ハイ」だけ6速ATとなるが、他グレードは5速MTのみの堅牢仕様だ。

トヨタ・ハイラックスランガのエンジンルーム。撮影車は2.0Lガソリンエンジンだ。

エクステリアは、無骨だがどこか愛嬌のあるデザイン。内装もシンプルなつくりで、なんとウインドウ開閉は手動式なうえにタコメーターも無い。

トヨタ・ハイラックスランガのコックピット。グレードはシンプルな「スタンダード」だ。
トヨタ・ハイラックスランガの5速MTシフトレバー。
トヨタ・ハイラックスランガのコックピット。「スタンダード」だとヘッドレストも省かれる。

大きな強みは価格で、シンプルな分とにかく安い。1億9430万0000ルピア~3億430万ルピア(約172万円~約269万円)だから、ハイラックスのシングルキャブの4億1680万ルピア(約369万円)と比べると、エントリーが半額以下なのだから文句はないはずだ。

トヨタ・ハイラックスランガのドア。ウインドウ開閉も手回し式に。AT車だけパワーウィンドウ仕様となる。
トヨタ・ハイラックスランガのタイヤ/ホイール。展示車は14インチスチールホイールに195R14Cサイズのブリヂストン製DURAVIS R624を装着。

アジアでは日本車の異なる顔を見ることできるが、ピックアップトラックも代表格のひとつと言えよう。ただ発売直前ということもあり、街中で新型ハイラックスに出会うことができなかったのは残念だ。