Q. 冬はエンジンオイルを柔らかいものに替えたほうが良い?
東京都・オイル選びで迷走中さん
寒くなるとエンジンオイルも硬くなると聞きますが、冬場は柔らかいオイルに交換したほうがエンジンに良いのでしょうか? 普段はメーカー指定の粘度を使っていますが、季節によって変更する必要があるのか気になります。
A. 基本はメーカー指定の粘度でOK! 「W」の意味を知れば納得
寒くなるとエンジンオイルが硬くなるという話、これは本当です。正確には、オイルは温度が下がると粘度が高くなり、流れにくくなる性質があります。そのため、冬の朝は夏場よりもエンジン内部の抵抗が大きくなりやすいんですね。
「それなら、冬だけ柔らかいオイルに交換すれば良いのでは?」と思うかもしれませんが、ちょっと待ってください。現在のバイクで使われているエンジンオイルの多くは、幅広い温度に対応したマルチグレードオイル。メーカーが指定する粘度が使用環境に合っていれば、わざわざ季節ごとに交換する必要はないんです。
例えば、オイルの容器に書かれた「10W-30」という数字。なんとなく見覚えはあっても、意味までは知らないという人も多いのでは?
実は、前半の「10W」は低温時の粘度特性を示すもので、Wは冬を意味するWinterの頭文字。10Wという等級では、−25℃でエンジン始動時の粘度を試験するなど、低温での性能基準が決められています。いっぽう、後半の「30」は高温時の粘度を表す等級。油温100℃で測定した粘度が、規格で定められた範囲に収まることなどが条件です。もちろん、100℃がオイルの使用限界というわけではありません。つまり「10」や「30」は気温や油温そのものを表す数字ではなく、それぞれの温度条件での粘度特性を示す区分なんですね。ちなみに、同じ高温側の粘度なら、一般に5Wのほうが10Wより低温での始動に適した等級となっています。
とはいえ、寒いからといって何でも5Wに替えれば良いわけではありません。エンジンによって適したオイルは異なるので、数字だけで判断するのは禁物なんですね。
寒冷地や旧車なら事情が違うことも! まずは取扱説明書を確認
実際、バイクの取扱説明書には、エンジンオイルの粘度や品質規格が指定されています。例えばホンダのフォルツァでは10W-30、JASO MBなどが指定されていますが、別の車種では10W-40などが指定される場合もあります。つまり、すべてバイクによって必要とするオイル性能が違うのです。
実際、車種によっては外気温に応じて複数の粘度から選べる場合もあります。例えばホンダ・トゥデイ(AF61)の取扱説明書には、10W-30や10W-40など、外気温に応じたオイル粘度の目安が掲載されています。つまり、メーカー指定といっても必ずしも1種類だけとは限らないんです。特に寒冷地や古いバイクでは、取扱説明書や整備資料を確認しておきたいところです。
もうひとつ覚えておきたいのが、バイク用オイルでは粘度以外の規格も重要だということ。例えばJASOのMAやMBは、主にクラッチの摩擦特性との適合に関わる区分です。湿式クラッチを採用したバイクと、一般的なスクーターでは指定される規格が異なることもあるので、粘度の数字だけを見て選ばないようにしましょう。
そして、冬だからと特別なオイルを探す前に、まず確認したいのが交換時期とオイル量。どんなに適切な粘度でも、オイルが劣化していたり、量が不足していたりすればエンジンにとって良い状態とはいえません。指定された交換時期を守ることも大切なんです。
もちろん、古いバイクやエンジンの状態、乗り方によっては、経験をもとに粘度を選んでいる人もいるでしょう。そうした工夫を否定するものではなく、あくまで一般的な使用環境でのお話です。
普段の使用環境にメーカー指定のオイルが合っているなら、冬だからと粘度を変更する必要はありません。大切なのは、愛車に合ったオイルを選び、適切に管理すること。せっかく「10W-30」の意味も知ったことですし、次にオイル交換するときは、容器の表示をちょっと気にしてみてはいかがでしょう?
【モトチャンプ編集部】
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