新型は内外装のテコ入れでノスタルジックな雰囲気を強調




標準モデルとなるフェアレディZのもっとも目立つ変更点はフロントバンパーデザインの意匠変更だ。単調な四角形だったグリルは台形型へと改められ、リップ部分には往年のチンスポイラーを思わせるディテールが加えられている。さらにバンパー寸法も伸ばされ、ボディ全長は旧型の4380mmからNISMOと同じ4410mmへ拡大された。
バンパーデザインの変更は空力性能の向上にも貢献しており、フロントリフトは旧型比で3.3%、空気抵抗は1.0%ほど低減されているとのことだ。なによりノーズの延長と意匠変更によりフェアレディZが持つロングノーズ・ショートデッキのスタイルが一際強調されている。
そのほかにも、ボディカラーにはS30のイメージカラーだった“グランプリグリーン”をモチーフとした新色“雲龍グリーン×ブラック”の2トーンカラーが追加されたほか、バージョンSおよびSTグレードのホイールは、3代目Z31のエアロディッシュホイールをオマージュした新デザインのレイズ製19インチ鍛造ホイールとなる。
さらに、内装色はタンカラーが新たに設定されたうえ、12.3インチの液晶メーターには歴代フェアレディZのシルエットが次々と浮かび上がる新オープニングムービーが組み込まれた。
一方、元からアグレッシブな造形を纏うNISMOモデルの外観はほとんど変わっていない。ただし、フロントブレーキローターの仕様変更に加えてブレーキキャリパーの塗装色がより高彩度な“ブライトレッド”に変わったことで、ダークカラーのレイズ製19インチ鍛造ホイールに映える見た目へと改められた。
NISMOモデルのもっとも大きなトピックは6速MTが追加された点だ。シフトレバー比は手首だけで操れるショートストロークに設定され、オートブリッピング機能“レブシンクロコントロール”もNISMOモデル専用に調整されている。なおMTモデルはATモデルに対して30kgほど軽量だ。
そのほか、標準モデル/NISMOモデルともにフロントエンブレムが日産ロゴから専用のZエンブレムへ変更されたうえ、センターコンソール部に最新のQi2規格対応ワイヤレス充電器が追加されている。安全面に関しては、対自転車への制動要件を満たした衝突被害軽減ブレーキシステムへとアップデートされた。
日産 フェアレディZ Version ST
ボディサイズ=全長4410mm×全幅1845mm×全高1315mm
ホイールベース=2550mm
車両重量=1590kg
タイヤサイズ=255/40R19(前)275/35R19(後)
日産 フェアレディZ NISMO
ボディサイズ=全長4410mm×全幅1870mm×全高1315mm
ホイールベース=2550mm
車両重量=1640kg
タイヤサイズ=255/40R19(前)285/35R19(後)
エンジンスペックはそのままに足まわりを大きく強化


両車のパワートレインは引き続き、3.0L V型6気筒ツインターボエンジンだ。標準モデルのスペックは最高出力405ps/最大トルク475Nmとなっているのに対し、NISMOモデルは過給圧の引き上げと電動ウェイストゲートの制御変更に加え、GT-R NISMO向けに開発された気筒別点火時期制御を導入することで最高出力は420ps/最大トルクは520Nmに高められている。
エンジンスペックは両車とも旧型から変わっていないが、新たに追加されたNISMOの6速MTモデルは、スロットル特性や点火時期などのエンジン制御に手が加えられたほか、ドライブモードやローンチコントロール(発進制御)などもMT向けに最適化されている。
今回の改良における第二の目玉はサスペンションセッティングの変更だ。標準モデルでもサスペンションダンパーは全車に高コストなモノチューブ式が採用されているが、バージョンSおよびSTではピストン受圧面積が従来比26.6%拡大され、NISMOモデルと同等のダンパー径となった。
ダンパーピストン径の拡大は、低速域走行時や微細な姿勢変化でもしっかりと減衰力を発生させるほか、高容量化によってサーキットアタック時のキャビテーションや熱ダレによる性能低下の抑制効果も期待できる。
一方のNISMOモデルは、フロントブレーキに日産 GT-Rで採用されていた2ピース構造のドリルドローターが導入され、大径化と冷却性能向上およびブレーキパッドのスクリーニング効果によってストッピングパワーと対フェード性が高められただけでなく、旧型よりもバネ下重量が9kg軽減されている。
そのほか、タイヤ銘柄は従来の“ダンロップ SPスポーツマックスGT600”から、新世代フラッグシップモデルとなる“スポーツマックスRS”へと変更されており、こうした変更に合わせてNISMOモデルはサスペンションセッティングも全面的に見直された。
ステアリングには低フリクションラックが採用されたことで操舵の滑らかさが向上したうえ、手に伝わる情報量も増えることでライントレース性の向上に貢献してくれる。シートは従来どおりRECAROとの共同開発となるNISMO専用スポーツシートだ。
また、標準モデル/NISMOモデルともに、燃料ポンプ周辺の燃料を保持するタンク内チャンバーが追加されたことで、燃料が少なくなっても安心してコーナーを攻められるようになった。
なお燃費性能に変更はなく、WLTCモード平均燃費は標準モデルの9速ATが10.2km/Lであるのに対し、6速MTは9.5km/Lだ。NISMOモデルは9速ATの9.2km/Lに対し、6速MTは9.0km/Lとなる。
日産 フェアレディZ Version ST
エンジン形式=V型6気筒ツインターボエンジン
排気量=2997cc
最高出力=405ps/6400rpm
最大トルク=475Nm/1600-5600rpm
トランスミッション=6速MT
駆動方式=2WD(FR)
日産 フェアレディZ NISMO
エンジン形式=V型6気筒ツインターボエンジン
排気量=2997cc
最高出力=420ps/6400rpm
最大トルク=520Nm/2000-5200rpm
トランスミッション=6速MT
駆動方式=2WD(FR)
新型フェアレディZはグレード・モデルの違いが明瞭に




標準モデルの新車価格は、ベースグレードの573万7600円から最上級グレードとなるバージョンSTの699万9300円だ。MTとATの価格差はなく、NISMOモデルはMT/ATともに975万2600円となる。ただしNISMOモデルは、ボディカラーの特別色費用として4万9500円が強制的に加算される点は覚えておきたい。
今回の改良による値上げ幅は、標準モデルが一律23万9800円、NISMOモデルが44万9900円だ。値上げ幅は大きいが、変更内容や物価上昇を鑑みればおおむね妥当な値付けと言えるだろう。ただしベースグレードとバージョンTは、サスペンションの仕様が旧型と同じであるため、やや割高な印象は拭えない。
なお各グレードの違いは、バージョンSを選ぶとレイズ製19インチ鍛造ホイールと機械式LSD、対向ピストンブレーキなどの装備が追加され、バージョンSTはさらにスエード内装と電動シート、BOSEサウンドシステムやそれに付随するアクティブサウンドコントロール/アクティブノイズコントロールが備わる。
ATモデル専用グレードとなるバージョンTは、ベースグレードにスエード内装が追加されるラグジュアリーモデルであり、バージョンTおよびSTはレッドの内装色のほか、タンカラー内装オプション(11万円)を選択することも可能だ。
専用装備が満載となるNISMOモデルは、明確に硬かった乗り心地がやや改善されたものの、依然としてサーキット走行を主眼に置くユーザー向けと言ってよいだろう。6速MTモデルにも全車速追従機能付きインテリジェントクルーズコントロールが備わるため、サーキットまでの移動負担を抑えてくれるはずだ。
今回のマイナーチェンジを経て、フェアレディZは各グレードやモデルの棲み分けが明確になった。ベースグレードおよびバージョンTの変更点は主に外観の変更に留まるが、足まわりに手が加えられたバージョンSおよびSTはグランドツーリングカーとしての懐が大きく広げられた。
NISMOモデルはピュアスポーツカーとしての性能と魅力が大きく引き上げられたほか、利便性もほんの少しだけ向上している。なかでも、これだけのハイスペックをマニュアルトランスミッションで操れるNISMOの6速MTモデルは稀有な存在であり、資産価値もそれだけ高まりそうだ。
車両本体価格
日産 フェアレディZ Version ST:699万9300円
日産 フェアレディZ NISMO:975万2600円
