アジアで人気のバイクを日本にも投入
155ccクラスのバイクは、20年ほど前であれば、日本ではあまり見かけなかったカテゴリーだ。しかし、アジア全体で見るとかなりの人気で、特にインドネシアやタイなどでは一般的な排気量といえる。そうした市場に向けて、日本のバイクメーカーもさまざまなモデルを投入してきた。
そして、日本でもここ数年、グローバルモデルとしてそれらのバイクが市場投入され、ラインアップも充実している。2026年11月現在、国内メーカーが販売する主な155ccクラスのモデルは以下の通りだ。
【ホンダ】
・PCX160(排気量156cc)
・ADV160(排気量156cc)


【ヤマハ】
・アエロックス(排気量155cc)
・NMAX155(排気量155cc)
・Xフォース(排気量155cc)
・XSR155(排気量155cc)
・トリシティ155(排気量155cc)





【スズキ】
・ジクサー150(排気量154cc)

このように、スクーターが中心となっていることが特徴だ。特にホンダはPCX160とADV160、ヤマハは複数のスクーターを揃えるなど、選択肢も豊富だ。また、ホンダのPCX160には「PCX」、ヤマハのNMAX155には「NMAX」といった125ccの兄弟車もあるなどで、シリーズ化していることもポイントだといえる。
なお、2026年最新の注目モデルなのが、8月に発売されたアエロックス。YZF-Rシリーズを思わせるスポーティなスタイリングに、可変バルブ機構VVAを採用した155ccエンジンを搭載。電子制御CVT「YECVT」によって、走行モードの切り替えやシフトダウン操作も可能とするなど、スクーターながらスポーツバイクのような走りを楽しめるモデルとなっており、155ccクラスの選択肢拡大に貢献する。

一方、ギア付きのスポーツモデルでは、2026年6月に同じくヤマハからXSR155が登場。これまで原付二種のXSR125しかなかったXSRシリーズの小排気量モデルに、高速道路も走れる軽二輪バージョンが加わった。従来あるスズキのジクサー150と共に、ネイキッドモデルの選択肢が増加した。

ちなみに、125ccクラスでは、ギア付きモデルの選択肢が減少している。ヤマハは2026年7月に「YZF-R125」と「MT-125」の国内向け生産を終了。また、スズキの「GSX-R125」「GSX-S125」もすでに生産終了している。そのため、125ccのギア付きスポーツモデルは、2026年11月5日現在、ヤマハが販売するXSR125とオフロード車「WR125R」のみとなっている。

ただし、155ccクラスでも、残念ながら155ccフルカウルモデルのヤマハ・YZF-R15は生産終了。また、3輪スクーターのトリシティ155も2026年秋に生産終了しているので、このクラスでもラインアップの再編が図られているようだ。
運転できる免許は?
155ccクラスのバイクは、道路運送車両法上では軽二輪に分類される。そのため、運転できる免許は、ミッション車のXSR155やジクサー150では普通二輪免許以上が必要となるが、それ以外はスクーターモデルなので、AT限定普通二輪免許でも運転できる。
一方、125ccの原付二種バイクでは、小型限定普通二輪免許、スクーターモデルなら小型AT限定普通二輪免許を持っていれば運転が可能。免許取得のハードルでいえば、155ccのバイクは原付二種よりもやや高いといえる。

高速道路や自動車専用道路の走行OK
155ccクラスの大きなメリットは、高速道路や自動車専用道路を走行できることだ。125cc以下の原付二種は、これらの道路を走ることができない。一方、125ccを超える軽二輪に分類される155ccクラスなら、高速道路を利用して遠方へ出かけることも可能だ。
たとえば、普段は通勤や買い物など街乗りに使い、休日には高速道路を利用してツーリングに出かけるといった使い方もできる。125ccクラスの扱いやすさに近いサイズ感で、行動範囲を広げられる点が魅力といえる。

街乗りの軽快さは125cc並み
155ccクラスは、高速道路を走れる一方で、車体サイズや重量は125ccクラスに近いモデルが多い。たとえばホンダのスクーター「PCX」と「PCX160」を比較すると、その違いはわずかだ。


全長1935mm×全幅740mm×全高1125mmという車体寸法は共通。シート高も764mmで同じだ。車両重量はPCXが133kg、PCX160が134kgと、わずか1kgしか違わない。
つまり、PCX160は125ccクラスのPCXに近い取り回しやすさを備えながら、排気量が大きいぶん高速道路も走行できる。街中での使い勝手を大きく損なわずに、ツーリングにも対応できるのだ。
パワーもやや余裕がある
排気量が大きい155ccクラスは、125ccクラスよりエンジン出力やトルクにも余裕がある。たとえば、ヤマハの「XSR125」と「XSR155」を比べると、その違いが分かりやすい。


【XSR155のエンジン】
・155cc・水冷4ストローク単気筒
・最高出力14kW(19PS)/10000rpm
・最大トルク14N・m(1.4kgf・m)/7500rpm
【XSR125のエンジン】
・124cc・水冷4ストローク単気筒
・最高出力11kW(15PS)/10000rpm
・最大トルク12N・m(1.2kgf・m)/8000rpm
両モデルは、車両重量はいずれも137kgで同じながら、XSR155の方が最高出力で4PS、最大トルクで0.2kgf・m上回る。
ちなみに、両モデルの燃費性能は以下の通りだ。
【XSR155の燃料消費率】
・48.1km/L(WMTCモード値)
【XSR125の燃料消費率】
・49.4km/L(WMTCモード値)
排気量が大きいXSR155の方がわずかに低いものの、その差は1.3km/Lにとどまり、ほぼ同水準の燃費性能を確保している。
これらデータから分かる通り、車体の重さをほとんど変えずに、パワーやトルクに余裕を持たせていることも155ccクラスの魅力だといえる。
同じ軽二輪の250ccより本体価格が安いモデルも
155ccクラスは、同じ軽二輪に分類される250ccクラスと比べて、車両価格が比較的抑えられている傾向だ。
まず、スクーターモデルで価格(税込み)を比較してみると、たとえば、ホンダの250ccスクーター「フォルツァ」は78万1000円。

一方、155ccクラスでは、同じホンダのPCX160は46万2000円、ヤマハのアエロックスは48万1800円。いずれも30万円近い価格差がある。
また、スポーツモデルの価格(税込み)でも、ヤマハのネイキッドモデル「MT-25」が63万2500円なのに対し、同じくヤマハのXSR155は税込み50万6000円で、約13万円の価格差だ。さらに、スズキのジクサー150の場合、39万6000円なのでMT-25より23万円以上も安い設定だ。

このように、250ccクラスより購入費用を抑えながら、高速道路を走れるバイクを選べる点も、155ccクラスのメリットといえる。
税金も比較的安い
維持費の面でも、155ccのバイクは、原付二種と比べると、やや高い傾向はあるものの、さほど大きな差はないといえる。
まず、155ccのバイクは車検がない。これは原付二種も同様だが、バイクを維持するための費用としてはかなりメリットが大きいといえる。
一方、税金の面ではどうだろう。
まず、毎年支払う軽自動車税は、以下の通りだ。
【軽自動車税の比較】
・155ccクラス(125cc超から250cc以下の軽二輪):3600円/年
・125ccクラス(90cc超から125cc以下の原付二種):2400円/年
155ccバイクは、原付二種より1200円/年ほど高いが、250ccを超える小型二輪の6000円/年に比べれば約半分。かなりリーズナブルな方だといえる。

また、自動車重量税については、以下の通りとなる。
【自動車重量税の比較】
・155ccクラス(125cc超から250cc以下の軽二輪):4900円(初回登録時のみ)
・125ccクラス(90cc超から125cc以下の原付二種):なし
155ccクラスのバイクは、初回登録時にのみ4900円が必要で、125ccバイクは課税なし。
ただし、この点も、車検がある250cc超の小型二輪に比べると、かなりリーズナブルだ。小型二輪では、車検毎に自動車重量税が課税され、初回登録時から最初の3年間が5700円、以後2年毎に3800円(初年度登録から13年未満の場合)となる。そう考えると、車検のない155ccクラスのバイクは、初回のみの支払いで済む点もメリットのひとつだといえる。
保険料は原付二種の方が安い
保険については、まず自賠責保険の料金が異なる。2026年11月改定後の保険料は、離島以外の地域(沖縄県を除く)で12か月契約する場合、以下の通りだ。
【自賠責保険料の比較】
・155ccクラス(125cc超から250cc以下の軽二輪):7800円/年
・125ccクラス(90cc超から125cc以下の原付二種):7730円/年
*いずれも離島以外の地域(沖縄県を除く)
こちらも、155ccの方がやや高くなる。

また、任意保険については、原付二種の125ccバイクに使えるファミリーバイク特約は、軽二輪の155ccバイクには適用されない。そのため、任意保険を利用する場合は、軽二輪として別途契約する必要がある。

このように、155ccバイクは、維持費の面では、やや原付二種よりも高めにはなる。だが、車検がある250cc超のバイクと比べれば、費用的には断然安いといえる。
また、前述の通り、高速道路を走れたり、原付二種と同じ感覚で普段使いができる、車両本体価格が250ccバイクほど高くないなど、さまざまなメリットもある。
特に、日常の足からツーリングまで幅広い用途に使え、購入費や維持費も抑えたいライダーには、最適なクラスだといえるのではないだろうか。
