日本の道路に合う絶妙サイズ 直進安定性や操舵性も好印象

ゴルフトゥーランはゴルフをベースにした3列シートミニバン。本家のゴルフは一昨年に八世代目にフルモデルチェンジされたが、トゥーランは先代のゴルフ7がベースということもあり、すでに発売から7年を経過したロングセラーモデルだ。とはいえゴルフは七世代目になるときに、車体の土台となるプラットフォームを刷新しており、トゥーランにも当時最新型であったMQBプラットフォームが採用されているので、ボディ骨格は最新のゴルフ8と遜色はない。しかも一昨年の仕様変更では大幅な改良を行ない、エンジンやミッション、メーター、コネクト関連などをアップデートした。

エクステリア

その名前からもわかるように、ゴルフ(先代モデル)と基本メカニズムを共用する派生モデル。ゴルフに対して背を高くして室内を拡大している。
ベースとなっているハッチバックのゴルフが「コンパクト」に分類されるモデルだけに、3列シート化しても全長4535㎜と大きな車体ではない。全幅はやや広めの1830㎜だが、最小回転半径5.5mなので取り回しは良好。後席は現在主流のスライドドアではなく、スイングドアを採用。リヤゲートの地上高は1810㎜と比較的低めのため、小柄な女性でも手が届きやすいのが美点だ。

トゥーランのボディサイズはハッチバックのゴルフよりもひと回り大きくはなるが、4535㎜という全長は日本の道路事情でも扱いやすいサイズ感で、最小回転半径も5.5mだから取り回しに苦労することはない。後席用のドアがヒンジ式というのはスライドドア愛好家が多い日本では弱点となっているが、今やヒンジ式ドアのミニバンはトゥーランだけになってしまったので貴重な存在だ。だが、やはりリヤドアは広い開口部を確保するために大きく設計されており、狭い駐車場での開け閉めには注意が必要だ。

乗降性

短い全長でありながらも室内は上手くまとまっている。前席はゴルフよりは少しアイポイントが高く、前方の見晴らしが良いので運転がしやすい。フロアシフトなのでウォークスルーはできないが、セダンやハッチバックから乗り換えても違和感がない。2列目シートは3分割式になっており、個別にスライドとリクライニングが可能。1席あたりは小振りだが座ってしまえばシートのホールド性が良いので収まりは良い。3列目はシートが薄く、頭上が狭いものの、楽な姿勢で乗ることができる。

インストルメントパネ

日本の多くのミニバンとは異なり、フロアシフトでセンターコンソールを備えた空間づくり。最新モデルのメーターは10.25インチの液晶式で、エアコン操作パネルもタッチ式を採用。

荷室は3列目を倒せばステーションワゴン並みに広くなり、2列目も倒せば車中泊ができるぐらい奥行きがある。さらに助手席も倒せばサーフボードを車内に積むことも可能だ。エンジンは1.5ℓターボと2.0ℓディーゼルの2種類で、7速DCTを組み合わせている。

居住性

ゴルフ8の1.5ℓターボにはマイルドハイブリッドが組み込まれているが、トゥーランには付いていないため、ゴルフほど燃費が良くないのが残念なところ。それでも1.5ℓターボは低回転域からトルクがあり、トゥーランの重いボディでも思いのほかスムーズに走ってくれる。もちろんディーゼルの方がトルクは太く、多人数乗車時でも余裕のある加速を見せてくれるが、VWのディーゼルは音と振動が大きめなので少人数で乗ることが多いなら、ハンドリングも軽快感があるガソリン車がいい。

うれしい装備

助手席の座面下にあるトレーは、ボックスティッシュや折り畳み傘、運転用の靴などを収納するのにちょうどいい。デッドスペースの有効活用だ。
月間販売台数      66台(23年5月~10月平均値)
現行型発表       16年1月(一部仕様変更 21年4月)
WLTCモード燃費     16.3 ㎞/ℓ※ディーゼル車

ラゲッジルーム

フットワークはドイツ車らしい重厚感のあるもので、直進安定性も高いから長く運転していても疲れにくい。ボディ剛性が高いおかげで操舵に対するクルマの動きも的確で、ミニバンとしては少し引き締まったサスペンションが車体のロールも抑えてくれるから、曲がりくねった山道でも安心して駆け抜けることができる。乗り心地は少し硬めだが、すぐに慣れるレベルだ。ミニバンにもフットワークの良さを求める人に、一番にお薦めしたいクルマだ。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.155「2024 最新ミニバンのすべて」の再構成です。

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