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近年バイクにも採用されている。|生産本数200万本を達成のヤマハ パフォーマンスダンパーって何だ?

  • 2020/01/24
  • MotorFan編集部 北 秀昭
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写真上はヤマハパフォーマンスダンパー。サスペンションタワー間(写真左)、リアシート取り付けフロア部(写真右)に導入した例。

ヤマハ発動機が独自開発した車両用車体制振ダンパー「ヤマハパフォーマンスダンパー」の2004年からの生産本数が、2020年1月22日で累計200万本を達成。生産子会社である「ヤマハモーターハイドロリックシステム」の沼津工場で、記念式典が行われた。様々なモデルにおいて、操縦安定性や快適性、安全性の向上等をサポートしている「ヤマハパフォーマンスダンパー」のメリットや特徴を探ってみた。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
PHOTO/ILLUSTRATION●ヤマハパフォーマンスダンパー公式サイトより https://www.yamaha-motor.co.jp/pd/

【動画でチェック】環境性能の向上に加え、走行安定性アップ&しなやかな乗り心地も実現

ヤマハ パフォーマンスダンパー ~より上質で快適な走りを~( ヤマハ発動機公式チャンネル)

累計200万本達成式典の模様。
「ヤマハパフォーマンスダンパー(※1)」は、乗用車の主要部に搭載する車体制振ダンパーで、走行中の車体のごくわずかな変形や、振動を穏やかに整え吸収するための装置。

 2000年に基本概念を発案後、2004年4月に量産品として初めて市販車に採用(※2)。2016年11月の累計100万本達成から、わずか3年2カ月で累計200万本達成した。

「ヤマハパフォーマンスダンパー」は、2005年に財団法人機械振興協会が主催する「第3回新機械振興賞」にて、会長賞受賞業績として選定。また、2006年には、社団法人自動車技術会が主催する「第56回自動車技術会賞」にて、技術開発賞を受賞。2008年には、財団法人新技術開発財団が主催する「第40回市村産業賞」の貢献賞を受賞。レクサスなど様々なメーカーに採用される「ヤマハパフォーマンスダンパー」は、操縦安定性や快適性、安全性の向上に寄与している。


※1:「ヤマハパフォーマンスダンパー」商標登録第5434506号。特許は日本:第4627389号、アメリカ:NO.6595533、ドイツ:NO.60137619.6、スペイン/フランス/イギリス/ イタリア /スウェーデン:NO.1209062

※2:「トヨタクラウンアスリートVX(2001年/限定300台)」に、世界初の技術として搭載。2004年4月には、日本、欧州、北米向けの「トヨタカローラ」のスポーツグレード車に、量産車として世界初採用された。

ヤマハパフォーマンスダンパーの大きな特徴

車体の変形エネルギーを吸収し、熱エネルギーとして発散→高い運動性と安定性を両立

 通常、乗用車の車体は走行に伴い、1mm以下のごくわずかな変形が発生。弾性体である金属製の車体は、変形に対する減衰性が低いため、外力による変形エネルギーは、ほぼそのまま蓄積・放出され、固有振動数で変形を繰り返そうとするのが特徴だ。

「ヤマハパフォーマンスダンパー」は、車体への減衰要素の付加により、車体の変形エネルギーを吸収し、熱エネルギーとして発散。これにより、車体の過大な変形速度が抑制され、比較的大きな車体変形を伴う高速走行時において、高い運動性と安定性を両立。操縦安定性を向上させることはもちろん、快適性の向上にも寄与するのがポイントだ。

写真左はボンネット内のサスペンションタワー間、写真右はリアシート取り付けフロア部に、「ヤマハパフォーマンスダンパー」を採用したモデル。

「ヤマハパフォーマンスダンパー」は自動車の分野に、「車体制振」の技術を新たに導入

「ヤマハパフォーマンスダンパー」の原理とは?

 車体はバネ要素の集合体のため、走行中の車体は常に変形と振動を繰り返しているのが特徴。そこで、車体の主要な構造体の2点間に、車体粘性(減衰要素)=パフォーマンスダンパーを追加することで、車体の変形は穏やかになり、振動も速やかに減衰する。

前後各1本(サスペンション取り付け部/サイドメンバー/前後バンパー近傍/その他)合計2本装着。
車体の変形及び振動エネルギーは、熱エネルギーにチェンジ。

「ヤマハパフォーマンスダンパー」の構造

「ヤマハパフォーマンスダンパー」は、高圧窒素ガス封入オイルダンパーをベースに開発。技術ポイントは、

1. 超微低速特性の改良(車体の微小な変位に効かせる)
2. ガス反力のキャンセル(車体への与圧を無くす)
3. 減衰力特性の最適化(飽和型特性)

「ヤマハパフォーマンスダンパー」には、こんな効果あり!

 車体粘性(減衰要素)の追加による上質な車体挙動により、下記のような優れた効果を発揮する。

●操縦安定性の向上
・ハンドリング性能(正確かつ安定オーバーシュートのない挙動)
・走行安定性(漂い感の無い直進性)

●快適性の向上
・乗り心地(ふわつきの解消、ハーシュネスの改善)
・上質感、真の剛性感(振動、騒音の低減)

●その他の効果
・ドア閉め音の上質化
・オーディオの音質向上
・駆動系ロス感の低減

 「車体粘性」は、高性能で上質な自動車づくりに不可欠な基本要素と言えるのがポイントだ。

2014年7月、レクサス初のコンパクトクロスオーバーSUV「LEXUS NX (F SPORT)」に採用。「ヤマハパフォーマンスダンパー」がレクサスの車両に搭載されるのは、「CT200h (Version L/C、F SPORT)」「RX450h/350 (F SPORT)」「HS250h」に次いで4車種目となった。
「LEXUS NX (F SPORT)」に採用された「ヤマハパフォーマンスダンパー」。※青い部分
「LEXUS NX (F SPORT)」に採用された「ヤマハパフォーマンスダンパー」。※青い部分
レクサスのハイブリッドプレミアムセダン「HS250h」に搭載された「ヤマハパフォーマンスダンパー」。※青い部分

「ヤマハパフォーマンスダンパー」はバイクにも採用!

 「ヤマハパフォーマンスダンパー」は2011年、欧州市場にて「TMAX」のオプション装着品として。また、国内では「XP500 TMAX」のオプション装着品として、「ヤマハパワービーム」の名称で発売開始。バイク用の量産品としては、世界初となった。

 「ヤマハパワービーム」は、フレームの一箇所への減衰付加により、その変形エネルギーを吸収し、熱エネルギーとして発散。これによりフレームの過大な変形速度が抑制され、快適性の向上を実現している。

TMAX用のヤマハパワービーム(写真左)。 欧州市場向けのTMAX(写真右)。
XP500 TMAX用のヤマハパワービーム(写真左)。写真右は装着例。当時の発売価格は2万9400円(税込)。
日本が誇る「ヤマハパフォーマンスダンパー」を開発・生産する皆様。

類似品に要注意!

近年、弊社パフォーマンスダンパーの類似品が第三者より発売されていることが確認されました。これら類似品が弊社の知的財産権を侵害する場合、弊社は毅然とした態度で対応しております。パフォーマンスダンパーは、振動・操安性等データを確認しながら、プロドライバーが各車両ごとに、最適なチューニングを行った製品です。誤って類似品を購入されることのないよう御注意願います。
(ヤマハパフォーマンスダンパー公式サイトより)

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