最新モデルにも引けを取らない!
新たなパッケージングを構築中
1990年代の国産スポーツカーをベースに製作されたチューニングカーの中でも、伝説的な一台として語り継がれているのが、スクートスポーツの4ローターFD3Sだ。

保安基準をクリアし、公道走行を実現した唯一無二の4ローター搭載車両。そのボディや足まわりまで一切の妥協なく仕上げられた完成度の高さは群を抜いていた。特に、ガルウイングを採用したワイド&ローなボディスタイルは登場当時に大きな話題を呼び、今なお鮮烈な印象を残している。

このマシンを手がけたのは、最高速アタックやレース現場で数々の実績を築いてきたスクート代表・小関氏。
コンセプトは「ヨーロッパのスーパースポーツにも引けを取らない、快適かつ強烈なストリートカー」。エンジン開発から完成まで、実に15年もの歳月が費やされたという。

そんな渾身のデモカーであっても、小関氏の姿勢は常に前向きだ。
「ノスタルジーでこのクルマに乗り続けたいと思ったことはない。常にアップデートを重ねて、最新スペックのストリートスポーツであり続けたいんだよね。自分にとっては“今がベスト”じゃないと意味がないからさ」。
その言葉どおり、令和仕様へのアップデートはすでに大きく進行している。今回のテーマは“頭脳の刷新”。最大のトピックは、BMW M2用DCT(デュアルクラッチトランスミッション)による2ペダル化だ。


新たに移植されたM2用DCTは、「CAN TCU」と呼ばれる制御ユニットによってコントロール。快適かつダイレクトなシフトフィールを実現している。かつてはレース用ドグミッションを用いたパドルシフト構想もあったが、ストリートでの扱いやすさを考慮し、最終的にDCTを採用することとなった。

ミッションの基本レイアウトはすでに完了しており、従来のシフトレバーは撤去。代わりにスイッチ式の操作系が導入されている。


コクピットでは、メーター表示を大型デジタルディスプレイに統一。エンジン制御を担うLINKと、ミッション制御のCAN TCUから取得したデータはBluetooth経由でミニPCへ転送され、メーターアプリを通じてステアリングおよびセンターコンソールのディスプレイに出力される仕組みだ。
操作系もすべてステアリングに集約されており、現在は280mmのシミュレーター用ステアリングが仮組みされている。今後は実用性を考慮し、330mm前後の新型ステアリングへ変更予定だという。

また、エクステリアでは近年のデザイントレンドを取り入れ、リヤにネオン調の一文字テールランプを組み込み中。かつては他車流用のランプで独特の存在感を放っていたが、今回は左右方向への光の演出を加え、より未来的な印象を与えるリヤフェイスへと生まれ変わろうとしている。


エンジン制御も大幅にアップデート。従来はパワーFCを2基使用していたが、今回はLINK制御へと刷新。4連電子スロットルの制御をはじめ、DCTとの連動制御やトラクションコントロールなど、最新技術を視野に入れたシステム構築が進められている。
さらに吸気方式も、かつてのペリフェラルポート仕様から、ストリートユースに適したサイドポート仕様へと変更された。

このように、スクートFD3Sは過去の栄光にとどまることなく、いまなお進化を続けている。最新スポーツカーにも引けを取らない、新たなパッケージングを構築中の“現役”4ローターマシン。その存在感は、これからのチューニングシーンにおいても、確実に輝きを放ち続けるだろう。
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