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今日は何の日?■人気だった510型ブル似のスタイリングを採用した2代目バイオレット

1977(昭和52)年5月20日、日産自動車は1971年8月にデビューした「バイオレット」の2代目を発売した。大型・上級化した4代目「ブルーバードU」とサニーの間を埋めるために登場したバイオレットだが、初代と2代目とも、市場の人気よりもラリーでの大活躍が注目された。
人気の510型ブルの実質的な後継バイオレット

1971年8月、510型ブルーバードは4代目「610型ブルーバードU」にモデルチェンジした。しかし、大ヒット中の510型ブルは当面そのまま併売された。610型ブルUは、大型・上級化して車格が上級へ移動したため、「サニー」との間を埋めるため、そして510型ブルの後を継ぐ形で1973年1月にデビューしたのが、初代「710型バイオレット」だった。

ボディサイズは、610型ブルUとサニーの中間で510型ブルに近く、2ドア/4ドアセダンとハードトップが設定され、セダンとハードトップで前後グリルのデザインが微妙に異なっていた。スタイリングはやや丸みを持たせ、ブルUの縮小版と言ったところだった。

パワートレーンは、最高出力85ps/最大トルク11.8kgmを発揮する1.4L 直4 SOHC、仕様違いで100ps/13.5kgm&105ps/13.8kgmと115ps/14.6kgmの1.6L 直4 SOHCの4種エンジンと4速/5速MTおよび3速ATの組み合わせ、駆動方式はFRである。510型ブル同様、105ps/115ps仕様のエンジンが搭載された1600SSSも設定された。
当初、ハードトップは人気だったが、セダンはファストバックスタイルが実用面で不評だった。1976年2月のマイナーチェンジで、セダンをオーソドックスな3ボックス型に変更したが、効果は限定的だった。
510型似のスタイリングとなった2代目バイオレット

バイオレットは、1977年5月のこの日に2代目(A10型)へモデルチェンジした。A10型バイオレットは、先代710型のやや丸みを帯びたデザインから、510型ブルに近い直線基調のシャープなスタイリングとなった。ボディは、4ドアセダンと“オープンバック”と名付けられたハッチゲート付の3ドアクーペの2種が設定された。

2代目バイオレットの特徴のひとつが、安全設計である。吸収ボディやエアバッグのほかにも、大きなグラスエリアと低いウエストライン、トランクリッドを下げたノッチバック形状で広い視界を確保し、さらに新開発ワイドビューピラーやサイドロック式ワイパーなどが採用された。
パワートレーンは、先代から引き継いだ最高出力80psの1.4L 直4 SOHC、95psの1.6L 直4 SOHC(キャブ仕様)、同エンジンの105ps(インジェクション仕様)の1.6L 直4 SOHCの3種エンジンと、4速/5速MTおよび3速ATの組み合わせ。駆動方式は、先代同様FRである。

車両価格は、83.8万~107.9万円(セダン)/93.6万~111.4万円(オープンバック)。当時の大卒初任給は9.6万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約201万~259万円/224万~267万円に相当する。
2代目バイオレットは、バッジエンジニアリングとして同時に日産チェリー店から「バイオレットオースター」が、同年8月に日産サニー店から「スタンザ」が発売され3兄弟となった。これにより、バイオレット自体の存在感が薄れ、さらにオイルショックや排ガス規制強化などの影響もあり、販売台数は期待したほど伸びなかった。
ラリーで大活躍したバイオレット
バイオレットの市場での人気は今ひとつで、地味な印象のバイオレットだったが、逆にラリーの世界ではまさに“ラリーの日産”を代表する活躍を見せた。
日産は1963年の初参戦以来、1970年に「510型ブルーバード1600SSS」で日本車初となるサファリラリー総合優勝を飾り、さらに1971年、73年と「フェアレディZ」で2連勝を収めた後、1973年のオイルショックの影響でいったんラリー活動を休止した。
復帰したのは、1977年のオーストラリアでのサザンクロスラリーで、ここでいきなり510型ブルの後を継いだ710型バイオレットが優勝。その勢いのまま1979年と1980年のサファリラリーを連覇した。さらに1981年と1982年には、マシンをA10型バイオレットに変更して連覇を果たし、結局サファリラリー4連覇の偉業を成し遂げたのだ。
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1970年代は、ラリーで勝つことが自動車メーカーの技術力をアピールする手段であり、拡販にも繋がる。したがって、大衆車であってもレースで勝つことを前提に開発されたクルマが多かった。同じくラリーで活躍した三菱の初代「ランサー」もそうだし、バイオレットもそうだった。極論を言えば、バイオレットは市販車の人気よりラリーで勝つことが優先されて開発されたのかもしれない。
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