お宝との出会いは一期一会。次があるとは思うべからず

ビジネスバイクの絶対王者・スーパーカブは、中古車市場では今も庶民の味方だ。「カブなら何でもいいや」という気持ちなら、予算に合わせて選択肢は実に豊富。サビが浮いた実用車から新車のような極上車まで、全国どこかで見つけることができる。
しかし、狙うモデルが決まった瞬間、その世界は一気に狭くなる。年式やカラー、仕様、コンディション、ノーマル度……条件を増やせば増やすほど理想の一台との出会いは難しくなり、「もっと良い個体があるかも」と迷っている間に、目の前の一台は誰かのガレージへ旅立ってしまうことも少なくない。
スーパーカブは世界一売れたバイクだけに中古車の流通量も多いが、それはあくまで”普通のカブ”の話。希少なモデルや人気仕様となれば話は別で、次に同じ個体と巡り会える保証はない。だからこそ、ハートにビビッときたなら迷う理由はない。その瞬間こそが、最高の買い時なのである。

世界一売れたバイクだからこそ”宝探し”が面白い

1958年の誕生以来、60年以上にわたって進化を続けてきたスーパーカブは、世界一売れたモーターサイクルとして知られる。その長い歴史の中では、販売地域や用途、時代背景に合わせて数え切れないほどの派生モデルや特別仕様車が誕生した。
一般販売されなかった郵政カブや販売店向けの記念モデル、海外専用モデル、生産期間が短かった仕様など、その誕生にはそれぞれ理由がある。そして長い年月を経た現在、それらは希少価値の高いコレクターズアイテムとして、多くのカブファンを魅了している。
今回紹介するのは、そんな”知る人ぞ知る”歴代スーパーカブたち。誕生した背景や時代を知りながら眺めると、いつものスーパーカブが少し違って見えてくるはずだ。

カブ好きなら一度は見たい! 珠玉のレアモデルたち
●C105T メッキ仕様(1959)

PHOTO:北 秀昭(https://4-mini.net)

1959年にアメリカ・ホンダが設立された当時、スーパーカブを数多く販売した優良ディーラーへ贈られた記念モデルで、フレームやフェンダーまでメッキ処理が施された非売品。現在では”幻のスーパーカブ”とも呼ばれる存在だ。
・エンジン:空冷4ストローク単気筒 54cc
・特徴:非売品・全面メッキ仕様
・希少度:★★★★★

フロントフォークからメインフレ
ーム、フェンダーにボディカバー
まで豪華仕様のピッカピカ!

●C102 通称”セル付き”(1960)

初期型はセルスターターのみでキックペダルを持たず、バッテリーが上がれば始動できないという大胆な設計だった。その後キック付きへ変更されたため、この初期仕様は非常に希少。現在でも高い人気を誇る。

・エンジン:空冷4ストローク単気筒 49cc
・最高出力:4.5ps
・タイヤ:F2.25-17/R2.25-17
・特徴:セル付き初期モデル
・希少度:★★★★★

●スーパーカブ50SDX 通称”赤カブ”(1982)

鮮やかなレッドが印象的なスーパーカブ50SDX。82年の50SDXと83年発表の50スーパーカスタムに設定されていたレアカラー。生産期間が短かったこともあり、現在ではノーマルコンディションの個体は年々少なくなっている。

・特徴:希少カラー・短期生産
・希少度:★★★★☆

●CT200 Trail 90(1964)

現在のCT125・ハンターカブへと続く”CTシリーズ”の原点。舗装路だけでなく山道や未舗装路まで走破できる遊び道具として、アップマフラーや大径タイヤを備え北米を中心に人気を集めた。

・エンジン:空冷4ストローク単気筒 86.7cc
・タイヤ:F2.75-17/R2.75-17
・特徴:CTシリーズ初期モデル
・希少度:★★★★☆

●MD90 通称”郵政カブ”(1982)

日本郵便専用として開発された日本一働く特別なカブ。専用フロントフォークや大型リアボックス、強化キャリアなど専用装備を多数採用。一般販売されなかったこともあり、払い下げ車両は現在でも高い人気を誇る。

・エンジン:空冷4ストローク単気筒
・特徴:郵便事業専用車
・希少度:★★★★☆

●スーパーカブ50 通称”マックイーンカブ”(1966)

映画スター、スティーブ・マックイーンが撮影現場で愛用していたことで知られる一台。スタンダードなC50ながら、そのエピソードもあって現在ではファン垂涎のモデルとなっている。

・エンジン:空冷4ストローク単気筒 49cc
・最高出力:4.8ps
・タイヤ:F2.25-17/R2.25-17
・特徴:マックイーン愛用で有名に
・希少度:★★★★☆

●スーパーカブ C100 通称”吊りカブ”

中古車市場でめったに見られない初代スーパーカブC100の中でも、1958~59年までの初期型モデルは超希少。フレームにステーでエンジンを吊る「吊りエンジン」、エンジン右側のクラッチ調整ボルトが縦に2個並ぶ「2つ星」、前後に短い縦長の「ワシ鼻テールランプ」といった特徴を併せ持つ。極上車だと100万を超える価格がつくこともあるスーパーお宝だ!

・エンジン:空冷4ストローク単気筒 49cc
・最高出力:4.5ps
・タイヤ:F2.25-17/R2.25-17
・特徴:マックイーン愛用で有名
・希少度:★★★★★

※この記事は月刊モトチャンプ2020年10月号を基に加筆修正を行っています

【モトチャンプ編集部】