「なんでこんないいクルマが日本で普通に買えないんだ!?」 そのブランドのファンや関係者ならずとも、そう憤慨したくなるような日本未導入モデルは、グローバル化がこれだけ進んだ今なお、数え切れないほど存在する。 そんな、日本市場でも売れるorクルマ好きに喜ばれそうなのになぜか日本では正規販売されていないクルマの魅力を紹介し、メーカーに日本導入のラブコールを送る当企画、三台目は三菱がタイなどで生産し日本以外の約90か国で展開するミッドサイズSUV「パジェロスポーツ」を紹介したい。 TEXT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO●三菱自動車工業

2019年4月に発売された三菱パジェロ・ファイナルエディション
日本のユーザーにも四代37年にわたり親しまれてきた三菱のオールラウンドSUV「パジェロ」は、2019年8月に国内向けの生産を終了した。そして海外向けも、同車の生産を長年担当してきた生産子会社・パジェロ製造を2021年上期に閉鎖するのに伴い生産終了することが、2020年7月27日に公表された中期経営計画「Small but Beautiful」の中で発表された。 四代目パジェロが生産終了となること自体は、2006年10月のフルモデルチェンジからすでに14年が経過しており、その間に自動車業界が100年に一度の大変革期を迎えたことを考えれば、むしろ必然と言える。 その一方で今は、世界中でSUVブームが巻き起こっている。しかも、メルセデス・ベンツGクラス、ジープ・ラングラー、スズキ・ジムニー、ランドローバー・ディフェンダーといった本格オフローダーが次々と世代交代し、いずれも空前のヒット作となっているのだ。 だが三菱の経営陣は、そうした市場環境に逆らうようにして、パジェロをフルモデルチェンジせず、生産工場ごと終止符を打つことを決定した。もっと言えば、同じアライアンス内にある日産以上に、国内販売モデルの陳腐化が著しく進んでいるにも関わらず、である。 eKワゴン/eK XとeKスペース(X)の軽自動車二車種はいずれも新しいが、日産に兄弟車がある。それ以外の登録車、i-MiEVはベース車のiまで遡れば2006年、デリカD:5は2007年、RVRは2010年、ミラージュとアウトランダーは2012年、エクリプスクロスは2018年の発売で、商品としての鮮度が残っているのはエクリプスクロスだけだ。ラインアップの刷新と拡充が急務なのは言うまでもない。

【三菱パジェロスポーツ】全長×全幅×全高:4825×1815×1835mm ホイールベース:2800mm トレッド前/後:1520/1515mm 最低地上高:218mm 最小回転半径:5.6m

【三菱パジェロスポーツ】全長×全幅×全高:4825×1815×1835mm ホイールベース:2800mm トレッド前/後:1520/1515mm 最低地上高:218mm 最小回転半径:5.6m

【三菱パジェロスポーツ】全長×全幅×全高:4825×1815×1835mm ホイールベース:2800mm トレッド前/後:1520/1515mm 最低地上高:218mm 最小回転半径:5.6m
その中でも、いま最もホットなカテゴリーであり、モデル廃止となったパジェロの穴を埋められるのが、タイなどで生産され日本以外の約90か国で販売されているミッドサイズSUV「パジェロスポーツ」だ。

1996年から2001年まで日本で販売されていた初代三菱チャレンジャー

2015年8月デビュー当時の現行三代目三菱パジェロスポーツ

スポーティな装いの運転席まわり

3列目は子供用に留まるものの7人が乗車可能
このパジェロスポーツ、初代は日本でも「チャレンジャー」として販売されており、パジェロよりも都会的でスポーティなデザインと、ミニバンのようにも使える3列7人乗りシートを大きな特徴としていた。そのキャラクターは二代目、そして現行モデルの三代目も堅持しており、2019年7月のマイナーチェンジで「ダイナミックシールド」フロントデザインコンセプトがアップデートされても変わっていない。 そして、ピックアップトラックの「トライトン」をベースとしたラダーフレーム構造のボディに、四代目パジェロと同様のフルタイム式とパートタイム式の良い所取りをしつつ四種類の駆動モード(2H、4H、4HLc、4LLc)を備えた「スーパーセレクト4WD-2」、悪路に適した四種類の走行モード(GRAVEL、MUD/SNOW、SAND、ROCK)に応じてエンジン、トランスミッション、ブレーキを統合制御する「オフロードモードセレクト機能」を搭載(4WD車。FR車も設定あり)。

アプローチアングル30°、デパーチャーアングル24.2°

ランプブレークオーバーアングル23.1°
さらに、最低地上高218mm、アプローチアングル30°、ランプブレークオーバーアングル23.1°、デパーチャーアングル24.2°を確保することで、パジェロと同等以上の悪路走破性と耐久性を備えている。 また、最新のSUVらしく、ヒルスタートアシストやヒルディセントコントロールを全車に標準装備。衝突被害軽減ブレーキ、ブラインドスポットモニター、リヤクロストラフィックアラート、前進&後退時誤発進抑制機能といったADASも、上級グレードの「GTプレミアム」に設定している。

タイ仕様に搭載されている4N15型エンジン。トランスミッションは8速ATが組み合わされる
なお、タイ仕様のパジェロスポーツに搭載されている4N15型2.4L直4ディーゼルターボエンジンはユーロ4レベルの排ガス規制しかクリアしておらず、それをこのまま日本に導入することは難しい。 しかしながら、トライトンの欧州仕様「L200」には現行ユーロ6排ガス規制をクリアした4N14型2.2L直4ディーゼルターボが搭載されている。これを日本仕様のパジェロスポーツに移植すれば、日本の平成30年排ガス規制をクリアすることも不可能ではないはずだ。 これこそまさに、いま三菱が最優先で日本に導入すべきモデルと言っても過言ではない。 中期経営計画「Small but Beautiful」では、
2020年度…エクリプスクロスPHEV 2021年度…次期アウトランダー、中国向けEV 2022年度…次期アウトランダーPHEV、次期トライトン 2023年度以降…軽自動車EV、エクスパンダーHEV、次期エクスパンダー、次期パジェロスポーツ、他2車種(次期RVR、新規小型クロスオーバーSUVか?)
を投入する計画を明らかにしているが、現場の三菱ディーラー、そして何より長年三菱車に乗り続けているユーザーは、そんな先まで待っていられない。 もっと言えば、三菱SUVの象徴的存在であるパジェロのブランドを自ら棄てるのは、世界中が空前のSUVブーム、本格オフローダーブームにある今だからこそ、愚の骨頂と言うより他にない。パジェロスポーツの一刻も早い日本導入を切に望む!
■三菱パジェロスポーツGTプレミアム(F-AWD)*タイ仕様 全長×全幅×全高:4825×1815×1835mm ホイールベース:2800mm 車両重量:2075kg エンジン形式:直列4気筒DOHCディーゼルターボ 総排気量:2442cc 最高出力:133kW(181ps)/3500rpm 最大トルク:430Nm/2500rpm トランスミッション:8速AT サスペンション形式 前/後:ダブルウィッシュボーン/3リンク ブレーキ 前後:ベンチレーテッドディスク タイヤサイズ 前後:265/60R18 110H 乗車定員:5名 車両価格:159万9000バーツ(約550万円)

三菱パジェロスポーツ

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