完全停止からの発進時に最も燃料を消費するガソリン車では緩やかな操作が基本

ガソリン車を運転する際、最も多くの燃料を消費するのは完全停止した状態から動き出す瞬間だ。家具などの重い荷物を移動させる時に最初の動かし始めに最も大きな力が必要となるのと同様に、自動車も停止状態から重い車体を動かす瞬間に最も大きなエネルギーを必要とする。この時にアクセルペダルを一気に強く踏み込んでも、車の動きが追いつかないため燃料が無駄に消費されるだけになってしまう。
そのため、発進時は最初の数秒間で時速20キロメートル程度に達するような、やさしいアクセル操作を行うことが推奨される。これを「ふんわりアクセル eスタート」と呼び、車の動きに合わせて段階的に踏み込んでいくことが燃料の無駄を省くための大きなポイントとなる。
ただし、いつまでもダラダラと加速を続ける必要はなく、ある程度の速度まで上がった後は車のスムーズな動きに合わせてアクセルを踏み込み、周囲の交通の流れに乗ることが大切だ。交差点などでの発進時は、自車の直前だけでなく2台や3台先に止まっている車両の動き、さらには交差する道路の信号変化などにも注意を払い、タイミングよくスムーズに動き出せるように準備しておくことが無駄のないエコドライブにつながる。
ハイブリッド車やEVではモーターの特性を活かした足元のコントロールが鍵

近年普及が進んでいるハイブリッド車や電気自動車(EV)においては、ガソリン車とは異なるパワーユニットの特性を理解したアクセル操作が求められる。電気モーターは動き出す瞬間から最大に近い強いトルクを発揮できるという優れた特徴を持っている。
そのため、ハイブリッド車で燃費を向上させるためには、モーターの力強いトルクを活かしてスムーズに発進し、エンジンが最も効率よく働く領域で目標速度まで加速させることが重要な鍵を握る。
ハイブリッド車での発進時も基本はガソリン車と同様に最初の動き出しを緩やかなアクセル操作から始めるが、ダラダラとモーターだけで加速を続けるとバッテリー電力を浪費してしまう。
そのため、最初の数秒を経てからは適切にエンジンを始動させて周囲の流れに沿って加速し、目標とする巡航速度に達した後に、一度アクセルペダルから完全に足を離す操作が効果的となる。この一瞬の解放によってシステムがクルージング状態だと判断し、エンジン駆動からモーター走行へとスムーズに切り替わる。その後は再び繊細なアクセル操作でモーター走行を維持することにより、燃料消費を劇的に抑えることが可能となる。
一方で、100パーセント電気を動力源とするEVの場合は、燃料の代わりに電力をいかに消費させないかという「電費」の視点が重要となる。EVはもともと環境負荷の軽減を目的として開発されており走行効率は極めて高いが、急発進を行うと大電流が流れてバッテリーの電力を急激に消耗してしまう。やはりEVであっても最初の動き出しは穏やかに行うことが電費性能を最大限に引き出すための鉄則と言える。
過度なノロノロ運転は周囲の燃費を悪化させ全体の不利益につながる

しかし、ふんわりアクセルを意識するあまり、周囲の流れを無視した極端なスローペースで発進加速を続けることは避けなければならない。日本の交通事情においては、青信号になった瞬間に過度なスロー加速を行うと、後続車のスムーズな進行を妨げるだけでなく、本来であればその青信号を通過できたはずの車両が赤信号で止められるという事態を招く。
これは後続のドライバーに対して精神的なストレスを与えるだけでなく、結果として周囲の車に無駄な減速と再発進を強いることになり、地域全体の燃費悪化を招く主因となる。
エコドライブの本質は、自分自身の燃料消費を抑えることだけにとどまらず、交通社会全体のスムーズな流れを維持することにある。混雑した市街地などでは一気に急加速をしても、どうせ次の赤信号や渋滞で減速を余儀なくされるため無駄な燃料消費になるのは確かだ。しかし、周囲の迷惑にならない範囲でスマートに加速し、素早く巡航速度に乗せることこそが、最も効率的で洗練された運転技術であると言える。
発進時の最初の数秒間だけを優しくコントロールし、その後は周囲の流れに柔軟に調和する運転姿勢こそが、真の省エネと快適な交通環境を両立させる鍵となるのだ。