2026年7月1日より「2型」に進化して発売中

2025年1月30日に、同年4月3日に発売開始することが発表されたジムニーノマドは、ある種「幻のクルマ」となっていました。なぜなら、発表から4日後の2月3日には受注停止となり、メディアが取材する機会も限られていました。つまり、発売から1年以上経って初めて試乗レポートをお送りするのは、そうした背景があります。
整理するとジムニーノマドは国内向けのジムニー・シリーズとしては初めて5ドアを採用したロングボディバージョン。エンジンはジムニーシエラ(3ドア)と同じ1.5Lガソリン4気筒で、もちろん駆動方式はパートタイム4WD。4WDをハイ/ローに切り替えるトランスファーレバーがシフトレバー後方に置かれていることも同様の、ハードコアなクロカン4WDです。
そんなジムニーノマドは、2025年7月より当初の月販目標である1800台から3300台へ増産するなど、順調に納車を進めてきました。そして、2026年1月には受注再開を発表。同時に、2026年7月より先進安全機能などの仕様変更を実施することもアナウンスしました。



2026年7月より発売されている一部改良を受けた仕様については、通称「2型」と呼ばれますが、改良の内容はかなり大掛かりなものとなっています。
先進安全機能を支える前方検知センサーは、1型のステレオカメラから2型ではミリ波レーダー&単眼カメラとなりました。つまり衝突被害軽減ブレーキは「デュアルセンサーブレーキサポートII」になったわけです。これにより自転車や自動二輪車を検知することも可能となっています。
先進運転支援システムではACC(追従クルーズコントロール)の適用をMTにまで拡大したほか、車線逸脱抑制機能を追加しています。AT車にはリヤのパーキングセンサーをバンパー下部に追加されていますから、センサーに注目すれば外観でも1型と2型を識別できるのです。
細かいところでは、最新の車外騒音規制に対応するための改良も受けています。そのためタイヤが変わり、それに伴いサスペンションのセッティングも変更されるなどしています。




後席の広さはジムニーとしては圧巻レベル。乗り心地も上々

というわけで、待望のジムニーノマドの運転席に腰を降ろします。まず気付くのは、2型になったメーターが変わっていること。アンバーカラーの指針式メーターというジムニーの伝統はそのままに、中央部のインフォメーションディスプレイがカラー化されるなど時代進化を遂げています。

あらためて、お伝えするとジムニーノマド(5ドア)はジムニーシエラ(3ドア)に対して、全長およびホイールベースを340mmも伸ばしています。
一般論としてロングホイールベースは走行安定性に効いてきますし、なにより後席やラゲッジが広がったことは一目瞭然。後席使用時のラゲッジ奥行はスズキ測定値で590mmとジムニーシエラ比で350mmも伸びています。


後席の着座位置は3ドア比で後ろに50mm下がり、20mm高くなっています。数字でみるとわずかに感じるかもしれませんが、実際に座ってみれば明らかに膝まわりに余裕があり、ファミリーユースでも文句が出ることはないだろうと感じる居住スペースを実現しています。
後席の乗車定員は2名仕様となっているので、横方向の余裕も十分。しかも、後席のクッションは3ドアの比ではないレベルでボリューム感があります。クッションを厚くした結果、後席格納時に大きめの段差が生まれてしまうのはマイナス点と思うかもしれませんが、この座り心地を体感すれば、納得でしょう。


さっそく走らせてみましょう。試乗したのは5速MTですが、エンジン特性やシフトフィールは決してスポーツカー的ではなく、あくまで実用的なMTといった印象。ジムニーらしくゆったりと走らせることができます。
80偏平という厚みのあるタイヤは、指定空気圧が180kPaと市販車としては非常に低い数値となっています。そのため、足元のふんわり感も昨今の50偏平が当たり前なクロスオーバーSUVとはまったく異なるテイスト。だからといってハンドル操作に対する反応が鈍いと感じる場面もなく、ストレスなく舗装路を走ることができます。
今回の試乗では後席の乗り心地も確認しましたが、シートクッションの余裕があるため、ジムニーというブランドが持つイメージからすると圧巻レベルで快適です。もちろん、エンジンやタイヤのノイズはそれなりにありますが、そうした音や振動もジムニーならではの体験の一部だと捉えれば、むしろ心地いいと感じます。
最高出力74kW(101PS)という数字と、1200kgという車重の関係をみると非力に思えるかもしれません。たしかにパワーに余裕があるとはいいませんが、力が足りないという印象はありません。やはり駆動力というのはエンジン出力をトランスミッションで減速して生まれるものですから、エンジン単体で見るべきではなく、トランスミッションの変速比を含めて総合的に考えるべきものです。その意味で、ジムニーノマドのパワートレインはちょうどいい塩梅に仕上がっています。

唯一気になるのは、巷間言われている「最小回転半径の大きさ」でしょうか。前輪の切れ角を3ドアと同じままホイールベースを伸ばしたため、最小回転半径は5.7mと、このボディサイズから想像するよりずっと大きくなっています。そのギャップゆえに余計に「小回りが効かない」という印象も受けてしまうのかもしれません。
はたして、ジムニーノマドをオフロードコースに持ち込むと、違う顔を見せてくれるのでしょうか。



オフロード走行の余裕感は圧倒的で感動モンだ!

オフロード試乗のステージは、人気のオフロードコースである「富士ケ嶺オフロード」。試乗車は4速ATで、トランスファーレバーは4L(四駆のローレンジ)に入れました。
トランスファーによって減速比を高めたことで、駆動トルクは圧倒的に高まります。舗装路では「ほどほどのトルクだなあ」と感じていたパワートレインは、一気にトルクフルな特性へと生まれ変わったのです。
さらに、ブレーキLSDなどの電子制御も高レベルに仕上げられています。ジムニーのスタイリングからプリミティブなメカニズムを想像するかもしれませんが、そうではありません。たしかにパートタイム4WDシステムは古き良きタイプですが、ドライバーをアシストする制御によって、ビギナーでもオフロードコースを気持ちよく走れるパフォーマンスを実現していることが確認できました。
市街地では若干気になった小回り性能についても、オフロードではまったく不満を覚えません。
むしろ前輪の舵角を増やしていないため、フルロックでアクセルを踏んでいくようなシチュエーションでも、駆動系に過大な負担がかかっている感触はなく、本気でオフロードを攻められるという印象を受けました。ロングボディになっても、オフロードでこそジムニーらしさが光ることを確認できました。
個人的には、けっして軟弱になっていないことに感動しましたし、ホイールベースの延長や車重増というマイナス条件を跳ね除け、妥協なくこのレベルに仕上げてきた開発陣には敬意を表したいというのが、正直な感想です。

実際、オフロードにおける走破性にかかわる3アングル(3つの対地障害角)を見ると、フロントのアプローチアングル(36度)とリヤのデバーチャーアングル(47度)は3ドアボディと同スペック。前後タイヤ間で測定するランプブレークオーバーアングルこそ23度(ジムニーシエラは27度)と小さくなっていますが、少なくとも今回のオフロード試乗でモーグル走行をした限りでは、フレームが地面にタッチしてしまうようなシーンはありませんでした。
なお、ジムニーのアイデンティティでもあるラダーフレームについては、前後をそのまま中央部分を伸ばすことでロングホイールベースを実現したと誤解している向きもあるようですが、基本設計は共通ながらジムニーノマド用にブラッシュアップした設計になっているといいます。
そうしてフレームやキャビンの設計を見直したことは、前述した後席居住性の高さにもつながっているのでしょう。
ロングボディ化による重量増に合わせて、トランスミッションの強度アップ、フロントブレーキローターのベンチレーテッドディスク化、プロペラシャフトの伸長や径の拡大、フロントサスペンションのスプリングとスタビライザーの変更なども実施されています。
見えない部分では、パワーステアリングのチューニングも2型になったときに変えているというのも、街乗りからオフロードまで不満のない走り味を支えている要素といえるでしょう。
こうして公道(オンロード)とオフロードを試乗して感じるのは、ジムニーノマドは「ジムニーの持つ独自の走り味」と「ファミリーユースが可能なパッケージ」を両立した唯一無二の存在であること。それが292万6000円(5速MTと4速ATで同価格)で購入できるというのは、他の本格クロカン4WDが軒並み500~1000万円の価格帯となっている中で、本当にコスパがよいと感じますし、ジムニーノマドを新車で買える時代になったことを大いに喜びたいと思います。



ジムニーノマド主要スペック


ジムニーノマドFC主要スペック【】内は4速AT
全長×全幅×全高:3890mm×1645mm×1725mm
ホイールベース:2590mm
車重:1200【1210】kg
サスペンション:3リンクリジッドアクスル式コイルスプリング
駆動方式:パートタイム4WD
エンジン型式:K15B
エンジン形式:4気筒 DOHC
総排気量:1460cc
エンジン最高出力:74kW(101PS)/6000rpm
エンジン最大トルク:130Nm/4000rpm
トランスミッション:5速MT【4速AT】
燃料消費率(WLTCモード):14.9【13.6】km/L
タイヤサイズ:195/80R15
車両本体価格:292万6000円





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