日産の旗艦ミニバン、約16年ぶりの世代交代で4代目へ進化

1997年に初代が登場したエルグランドは、2002年の2代目、2010年の3代目を経て、約16年ぶりに世代交代した。
新型の商品コンセプトは「LIMITLESS GRAND TOURER(リミットレス グランド ツアラー)」である。歴代エルグランドが受け継いできた「運転していて楽しい」というDNAに、乗員の快適性を重視する現在の市場ニーズを融合し、乗る人全員が長距離移動を楽しめるプレミアムグランドツーリングミニバンとして開発された。

発表会では、開発時にプレミアムミニバンの所有者や購入検討者、ビジネス利用者へ聞き取りを行ったことも明かされた。後席の快適性に満足する一方、「ミニバンでも、もう少し運転する楽しさが欲しい」という声が多かったという。
日産は、こうした要望に応えるとともに、エルグランドが伝統的に重視してきた走りの価値を新型にも継承した。新型を「日産ブランド復権の象徴」とする考えも示している。

威風堂々としたプロポーション、全長4995mm、全幅1895mmへボディを拡大

ボディサイズは全長4995mm、全幅1895mm、全高1975mm、ホイールベース3000mmである。先代比では全長が30mm、全幅が45mm、全高が160mm拡大された。運転席のアイポイントは76mm高くなり、有効車室内長は先代比137mm増の2989mmとなった。
エクステリアのデザインコンセプトは「The private MAGLEV(日本語名:リニアモーターカー)」である。リニアモーターカーを思わせるスピード感と、フラッグシップモデルらしい威風堂々とした佇まいを融合した。
フロントグリルとランプシグネチャーには、日本の伝統工芸である「組子」をモチーフにしたパターンを採用する。発表会では、グリルを構成するドットは一つとして同じ大きさや形がなく、角の丸みや突出量までミリ単位で調整したと説明された。

遠くから見た際には堂々とした迫力を持たせながら、近くでは繊細さと緻密さを感じられる造形を狙ったという。サイドビューは直線的なルーフラインやウエストラインによって疾走感を表現し、リアエンドの形状は風洞実験を繰り返して空力性能を作り込んだ。
ボディカラーには、富士山の夜明けを表現した「FUJI DAWN」と、格式の高さを象徴する紫系の「至極」を組み合わせたプレミアム2トーンを設定する。複数のボディパネルをまたいで色の境界線を合わせるため、九州工場では車体を塗装ラインに3回通して仕上げるという。

リニアモーターカーのような滑らかな加速、第3世代e-POWERとe-4ORCEを全車に搭載

パワートレインには第3世代e-POWERを採用する。フロントモーターは最高出力151kW(205PS)、最大トルク330Nm、リヤモーターは最高出力100kW(136PS)、最大トルク195Nmを発生。全車に電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」を組み合わせる。
動力源となる発電用エンジンは1.5L直列3気筒ターボの「ZR15DDTe」で、最高出力140PS、最大トルク228Nmを発生する。
さらに、走行状況に応じて4輪の減衰力を変えるインテリジェント ダイナミックサスペンションを採用した。発表会では、第3世代e-POWER、e-4ORCE、インテリジェント ダイナミックサスペンションの3技術を組み合わせるのは日産初であり、現時点では新型エルグランドのみの構成だと説明された。
e-4ORCEは前後モーターの駆動力を制御し、旋回性能や雪道での安定性だけでなく、加減速時の車体の揺れも抑える。インテリジェント ダイナミックサスペンションは、段差では減衰力を低くして衝撃を和らげ、大きなうねりでは減衰力を高めて車体の動きを抑制する。
停止時の揺り返しを抑えるスムースストップ機能も採用した。ドライブモードはECO、STANDARD、SPORT、COMFORT、SNOW、PERSONALの6種類で、WLTCモード燃費は両グレードとも16.8km/Lである。
走りの作り込みでは、北海道のテストコースで走行を重ねたほか、厚木の日産テクニカルセンターから徳島まで約8時間を一気に走る長距離テストも実施した。
開発陣によると、プレミアムグランドツアラーとして成立しているかを確認するための試験であり、長時間の走行後も、参加したメンバーは「さらに遠くまで運転したい」と感じたという。
これは開発陣による評価だが、新型エルグランドが単に後席の快適性を高めただけではなく、ドライバー自身が長距離を走り続けたくなる性格を目指したことを示すエピソードである。
全席ゼログラビティシートで後席快適性を向上
室内には全席ゼログラビティシートを採用する。2列目は幅50cmの座面を持つ新設計で、電動デュアルリクライニング機構とオットマンを装備した。
シートバック上部だけを起こせるため、背もたれを倒した状態でも視線を前方に向けやすく、モニターやタブレット、本などを見やすい。クッション材もミリ単位で調整し、長距離でも姿勢が崩れにくく、疲れにくい座り心地を追求したという。

助手席と左右2列目席ではオットマンを同時に使用可能で、G e-4ORCEには前席と2列目のシートベンチレーション、14.3インチの2画面ディスプレイ、100V AC電源(1500W)3個などを設定する。
静粛性では、エンジン音とロードノイズを低減するアクティブノイズコントロールを採用する。車内5カ所のマイクで騒音を検知し、乗員が座っている位置に合わせてキャンセル音を制御するゾーンコントロールも備える。
高性能遮音ガラス、高遮音ボディ、第3世代e-POWERを組み合わせ、前席から3列目まで自然に会話できる室内を目指した。

BOSE 22スピーカープレミアムサウンドシステムや15.6インチの後席用モニターも用意され、長距離移動時のエンターテインメント性能を高めた。3列目シートには前後2カ所で跳ね上げられるマルチアップ機構を採用し、7人乗車時でも機内持ち込みサイズのスーツケースを7個積載できるとしている。

価格は689万7000円から

グレードはX e-4ORCEとG e-4ORCEの2種類で、いずれも4WD、7人乗りとなる。全国希望小売価格はX e-4ORCEが689万7000円、G e-4ORCEが757万9000円である。
このほか、カスタムモデルとしてAUTECH、AUTECH LINE、VIP、ステップタイプも設定された。AUTECHは2026年8月上旬、AUTECH LINE、VIP、ステップタイプは7月16日から発売される。
【日産 新型エルグランド 主要諸元】
・全長×全幅×全高:4995×1895×1975mm
・ホイールベース:3000mm
・室内寸法:長3165×幅1730×高1315mm
・最低地上高:165mm
・乗車定員:7名
・車両重量:X e-4ORCE 2430kg/G e-4ORCE 2440kg
・最小回転半径:5.8m
・駆動方式:4WD
・エンジン:1.5L直列3気筒ターボ(発電用)
・エンジン最高出力:140PS
・エンジン最大トルク:228Nm
・フロントモーター最高出力:205PS
・フロントモーター最大トルク:330Nm
・リヤモーター最高出力:136PS
・リヤモーター最大トルク:195Nm
・WLTCモード燃費:16.8km/L
・タイヤサイズ:235/60R18
・価格:X e-4ORCE 689万7000円/G e-4ORCE 757万9000円



