フォーミュラEのCEOジェフ・ドッズ氏と共同創設者アルベルト・ロンゴ氏が東京大会の将来像を明かす

ABB FIAフォーミュラE世界選手権「2026 TDK Tokyo E-Prix」の開催を前に、フォーミュラE共同創設者兼チーフ・チャンピオンシップ・オフィサーのアルベルト・ロンゴ氏と、最高経営責任者(CEO)のジェフ・ドッズ氏が日本メディアの取材に応じた。
2026年の東京E-Prixは、7月25日と26日の両日、東京ビッグサイト周辺の市街地コースを舞台に、フォーミュラEとして日本で初めてナイトレースとして開催される。両日の決勝は20時05分にスタートする予定だ。
会見では、東京でナイトレースを開催する狙いをはじめ、2027年のシーズン最終戦、日本メーカーの参入、次世代マシンの技術開発、ストリートレースの将来などが語られた。
東京をフォーミュラEの重要な開催地に、ナイトレースで東京の夜に新たな人流を
アルベルト・ロンゴ氏は、東京をフォーミュラEにとって戦略的に重要な開催都市と位置付ける。
東京E-Prixは2024年に初開催され、今回で3年目を迎える。ロンゴ氏は、世界を代表する大都市で電動モータースポーツを開催する意義を強調するとともに、東京大会を継続的に成長させていく考えを示した。

フォーミュラEは、市街地の中心部でレースを行うことをシリーズの特徴としてきた。東京もその思想を象徴する開催地のひとつであり、ナイトレース化によって、これまでとは異なる都市の表情を世界へ発信できると期待を寄せた。
ジェフ・ドッズCEOは、東京大会をナイトレース化した背景について、東京都から東京の夜の活性化に貢献してほしいとの期待が寄せられていたことを説明した。
昼間に行われていたレースを夜間へ移すことで、競技そのものの演出効果が高まるだけではなく、観客がレースの前後に周辺地域で飲食や観光を楽しむ時間も広がる。ドッズCEOは、フォーミュラEが東京のナイトタイムエコノミーを盛り上げるきっかけになることへの期待を示した。
照明に照らされたマシンが東京の市街地を走る光景は、テレビやデジタル配信を通じて世界へ届けられる。ナイトレースは、東京大会の国際的な存在感を高めるための取り組みでもある。
2027年の東京E-Prixはシーズン最終戦、ブリヂストンも参入
2027年の東京E-Prixは、7月24日と25日に開催され、2026-2027シーズンの最終戦となることが正式に決定している。
同シーズンは新世代マシン「GEN4」が導入される最初のシーズンであり、東京では2日間のナイトレースによってシリーズチャンピオンが決定する。フォーミュラEが発表した2026-2027シーズンのカレンダーでも、東京がシーズンを締めくくる開催地として明記されている。

ドッズCEOは、夜の東京でシーズンチャンピオンが決まることへの期待を語った。東京大会は今後、単なるシーズン中の一大会ではなく、シリーズの結末を世界へ発信する重要なイベントになる。
また、2026-2027シーズンから始まるGEN4時代では、ブリヂストンがフォーミュラEの単独タイヤサプライヤーを務めることが決定している。シリーズ全車に使用されるタイヤの開発と供給を担う。タイヤはマシンの性能だけでなく、エネルギー効率や耐久性、ウェット性能にも大きく関わる重要な部品だ。
現在、フォーミュラEには日産がパワートレインメーカーとして参戦し、ヤマハ発動機もローラ・ヤマハABTの技術パートナーとしてシリーズに参加しているが、これに加えて、ブリヂストンが公式サプライヤーとして加わることで、GEN4時代のフォーミュラEにおける日本企業の存在感は一段と高まることになる。
次世代開発の重要テーマはバッテリー
ドッズCEOは、将来のマシン開発において、バッテリー技術が最も重要なテーマのひとつになるとの認識を示した。
フォーミュラEでは、航続性能だけでなく、充電速度、出力、重量、熱管理など、バッテリーに関するさまざまな要素が競技性能を左右する。技術革新の速度が速い分野だけに、将来の技術規則については慎重な検討が必要になるという。
メーカーごとの独自バッテリー開発を認めるか、共通部品として単独サプライヤー方式を維持するかについても、現時点では決定していないと説明した。

一方で、技術開発競争が過度な資金力勝負にならないよう、コスト管理を継続する考えも示した。メーカーが技術力を競いながら、参戦費用を持続可能な範囲に収めることが、シリーズ拡大の前提となる。
ドッズCEOは、中国メーカーを含む複数の企業がシリーズへの参戦に関心を示していることにも言及した。電動化技術やエネルギーマネジメントを競うフォーミュラEが、自動車メーカーにとって技術開発を発信する場として、再び注目を集めていることがうかがえる。
マシンが速くなってもストリートレースは残す
ドッズCEOは、今後マシンの性能が向上しても、東京やモナコなどを代表するストリートレースを維持していく考えを示した。
フォーミュラEのマシンは、シリーズ発足当初と比べて大幅に高速化している。市街地コースでは安全設備やコース幅、ランオフエリアなどに制約があるため、性能向上に合わせてレースを開催する難易度も高まる。
それでも、都市の中心部で開催するレースは、フォーミュラEのアイデンティティーを構成する重要な要素である。ドッズCEOは、将来的にカレンダーの規模が拡大した場合でも、象徴的な市街地レースを一定数残していきたいとの方針を示した。
常設サーキットとストリートコースを組み合わせることで、マシン本来の速さを見せるレースと、都市の景観や観客との近さを生かしたレースを両立させる考えだ。
東京大会をレース以上の都市型イベントへ

東京E-Prixの将来について、ドッズCEOは観客席の拡大やファンビレッジの充実、エンターテインメントコンテンツの強化などに言及した。
新世代マシンの性能に対応するため、将来的にはコースレイアウトを見直す可能性もあるという。ただし、具体的な変更内容が決定しているわけではなく、開催地や関係機関との協議を重ねながら検討していくことになる。
音楽や体験型コンテンツを組み合わせ、レースファンだけでなく、家族連れやモータースポーツに詳しくない層も楽しめるイベントへ発展させることも重要になる。
東京はフォーミュラEの未来を示す舞台になる
アルベルト・ロンゴ氏が語ったのは、東京をシリーズの重要な開催地として長期的に成長させる構想である。一方、ジェフ・ドッズCEOは、ナイトレース化の狙いや日本メーカーの参戦可能性、バッテリー開発、ストリートレースの将来など、経営と技術の両面からシリーズの方向性を説明した。
2026年は、フォーミュラEとして日本初のナイトレースが開催される。そして2027年には、GEN4最初のシーズンを締めくくる最終戦として、東京でチャンピオンが決定する。
新たな日本メーカーの参戦となるブリヂストンによるタイヤ供給も含め、東京E-Prixは日本とフォーミュラEの関係を象徴する大会へと成長しつつある。夜の東京を走る電動レーシングカーは、シリーズが目指す技術革新と都市型エンターテインメントの未来を映す存在になりそうだ。
