420psオーバーの速さを確実に使い切る
プロが煮詰めたRZ34ライトチューン
レーシングドライバーとして第一線で活躍する一方、プライベートでもGT-RやフェアレディZのチューニングを楽しんできた松田次生選手。開発段階からテストドライバーとして携わったRZ34は、特に思い入れの深い一台だ。現在は自身のブランド『NEXT BIRTH』を通じて、ストリートからサーキットまで幅広く楽しめるオールラウンダー仕様の構築を進めている。

目指しているのは、単純にピークパワーやサーキットタイムだけを追い求めたマシンではない。普段使いやクルージングでの快適性をしっかりと残しながら、サーキットへ持ち込めば本格的なスポーツ走行にも応えてくれること。そのコンセプトに基づき、エンジンは現在、純正タービンを生かしたブーストアップ仕様に留めている。

VR30DDTTの制御にはECUTEKを採用。純正タービンの許容回転数を考慮して最大ブースト圧を1.4キロに設定し、詳細なスペックは非公開ながら420ps&62kgm“以上”を発揮する。
さらに、ウォーターポンプのデューティ制御を変更するとともに、モチュール『モクール』を投入して水冷インタークーラーの冷却性能を向上。連続周回時の吸気温度上昇を抑える大容量ヒートエクスチェンジャーも現在開発中だ。
フロントにはカウルトップを加工したうえでZ34用3点式タワーバーを流用。ボディ剛性を高めることで、ステアリングレスポンスの向上も狙っている。


MT車ならではの操作性にも手を入れる。純正クラッチでもブーストアップには対応可能だが、スポーツ走行時の操作性向上とシンクロへの負担軽減を狙い、ORCと共同でカーボンクラッチを開発。
松田選手自身が実走テストを繰り返している試作品では、純正比で約8kgもの軽量化を実現しているという。駆動系のレスポンス向上という意味でも、完成が楽しみなアイテムだ。


約1600kgという車重を受け止めるブレーキには、エンドレスの鍛造モノブロックキャリパーを投入。フロントにレーシングMONO6、リヤにレーシングMONO4を組み合わせ、サーキットで要求される制動力と耐久性を確保している。

足回りは、前後18kg/mmのテインMONOレーシングを軸に、電子制御式減衰力コントローラー『EDFC5』を組み合わせる。
ストリートでは乗り心地を確保しながら、サーキットではシャープなハンドリングへと切り替えられるのがポイント。さらに、ジャーク感応制御によるフラットライド性能も、松田選手が高く評価している部分だ。

足元には、オプションカラーのダッシュホワイトで仕上げたアドバンレーシングCE28N-plusをセット。サイズはフロント10.5J×19+22、リヤ11J×19+22で、通常は前後とも285/35R19のアドバン・ネオバAD09を装着する。
タイムアタック時にはアドバンA052へ履き替えるなど、用途に応じてタイヤを使い分ける。今回のテストはウエットコンディションだったため、AD09を選択している。

コクピットも快適性を犠牲にすることなく、スポーツ性を高めている。運転席にはブリッドと開発を進めるコラボモデル『XERO RS』、助手席にはコンパクトなヘッドサポートを備える『XERO VS PLUS』を採用。ホールド性を高めながら、ストリートでの使い勝手にも配慮している。

さらに、機能面だけでなくスタイリングにもNEXT BIRTHらしさを盛り込む。サードとの共同開発によるカーボンリヤウイングは、ストリートでのスタイルを重視したローマウントタイプ。ベースグレードのリヤバンパーにも違和感なく馴染むデザインが追求されている。

エキゾーストにはガレージ力の『RIKISAKU』マフラーを装着。100φテールを採用しながら、地上高やデフへの熱害を考慮してメインパイプ径は純正比10φアップの50φに設定する。
製作と保安基準適合をフジツボが担当するクオリティを備えながら、価格は18万2600円に抑えられているのも特徴だ。

必要な部分にはしっかりと手を入れながら、闇雲にハードな仕様へ振らない。それがNEXT BIRTH流のRZ34チューニングだ。
現在もカーボンクラッチや大容量ヒートエクスチェンジャー、リヤウイングといった新たなアイテムの開発を進めており、さらなる熟成が期待される。

プロドライバーとして培った経験と、ひとりのクルマ好きとしての感覚。その両方を生かして煮詰められるこのRZ34は、ストリートとサーキットを一台で楽しみたいユーザーにとって、ひとつの指標となりそうだ。
PHOTO:南井浩孝(Hirotaka MINAI)/REPORT:村田純也(Junya MURATA)

