ランボルギーニ カウンタック LP500、2万5000時間をかけて再製作

ランボルギーニ、幻として語り継がれる「最初のカウンタック LP500」を完全に再現! 【動画】

ランボルギーニ カウンタック LP500、のべ2万5000時間に及ぶ再製作プロジェクトが完了
再製作されたランボルギーニ カウンタック LP500のフロントスタイル
1971年のジュネーブ ・モーターショーで公開された「ランボルギーニ カウンタック LP500」の再製作プロジェクトが完了し、10月1~3日にかけて開催されてイタリア・コモ湖で開催された「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ(Concorso d’Eleganza Villa d’Este)」のコンセプトカーのクラスに出品された。

Lamborghini Countach LP500

誕生50周年を記念した再製作プロジェクト

ランボルギーニ カウンタック LP500、のべ2万5000時間に及ぶ再製作プロジェクトが完了
デザインコンセプトとして1971年にデビューしたカウンタック LP500が、ヒストリック部門のポロストリコによって完璧に再現。コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステで一般公開された。

今回、ランボルギーニのヒストリック部門のポロストリコ(Polo Storico)は、のべ2万5000時間以上をかけてカウンタック LP500を再製作。デザイン部門のチェントロスティーレも、ボディワークの修復とスタイリングの監修の面で多大な貢献を果たしている。

アウトモビリ・ランボルギーニの会長兼CEOのステファン・ヴィンケルマンは、今回の再製作プロジェクトについて次のようにコメントした。

「カウンタックは、ハイパフォーマンスカーに新たな風を吹き込んだ存在です。その存在は数十年経った現在でも、現代のランボルギーニにインスピレーションを与え続けています。カウンタックの誕生50周年を記念する2021年に、新たに蘇ったLP500をコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステのコンセプトカークラスに出展することは、この伝説的な1台を直接見ることができるという点で非常に大きな意義があります」

あらゆる資料や記憶から再現されたLP500

ランボルギーニ カウンタック LP500、のべ2万5000時間に及ぶ再製作プロジェクトが完了
残されていたLP500に関する当時の写真や資料に加えて、プロジェクトに携わったスタッフの証言も、今回のプロジェクトでは非常に重要な手助けとなったという。

1971年3月に開催されたジュネーブ・ショーで、ランボルギーニはデザインコンセプトとして「カウンタック LP500」を発表。その時代を超えたスタイリングは一夜でショーの主役となり、そのセンセーショナルなスタイリングは世界中の主要新聞や雑誌に掲載された。フラッグシップモデル「ミウラ」に代わるモデルとして構想されたカウンタックは、技術面でもデザイン面でも自動車の歴史に新たな1ページを刻んだのである。しかし、3年間の開発期間を経た1974年3月、LP500はの衝突テストにより完全に破壊されている。

そして2017年末、クラシックカーコレクターでランボルギーニの重要なカスタマーから、当時撮影された写真でしか知られていない伝説のモデル「カウンタック LP500」の再製造ができないかとポロストリコに相談があった。 

最初の数ヵ月は、入手可能なすべての資料を精査し、徹底的に分析することに費やされた。ポロストリコのヘッド・オブ・サービスを務めるジュリアーノ・カッサターロは「このプロジェクトにおいて、資料の収集は非常に重要でした。クルマのディテール、全体の整合性、技術仕様について徹底的に分析されました」と、振り返る。

写真、資料、会議報告書、原画、そして当時のプロジェクトに携わったスタッフたちの記憶・・・。これらすべてが、LP500の形状や機能を可能な限り正確に再現するために役立った。また、オリジナルのLP500に装着されていたタイヤを再現するため、ピレリ財団から歴史的なアーカイブ資料が提供されたことも大きかったという。

当時の手法で製造されたシャシー

ランボルギーニ カウンタック LP500、のべ2万5000時間に及ぶ再製作プロジェクトが完了
現代の自動車とはまったく異なる製造プロセスで開発されていたLP500。シャシーに関しては、当時と同じ伝統的な鈑金製法である「バティラストラ」が用いられた。

ポロストリコでは、現在の製法とはまったく異なる当時のシャシーの製造も行うことになった。そして物理的な再設計に加えて、当時の製造方法を尊重するため、どのような作業システムを活用してシャシーを作成すべきかを決定しなければならなかった。

ボディワークについても同様に、様々な最新技術を駆使して分析を行った。鈑金加工の工程ではイタリアの伝統的な鈑金技術である「バティラストラ(battilastra)」によって作業が行われている。同様の作業プロセスはインテリアにも踏襲され、当時のコクピットが完全に再現されている。

すべてのメカニカルコンポーネントにはランボルギーニ製スペアパーツや、レストアされた1971年当時のコンポーネントを使用。そして、現在では入手が不可能なパーツに関しては完全に再製造されている。

2000時間を要した原寸大スケールモデルを製造

ランボルギーニ カウンタック LP500、のべ2万5000時間に及ぶ再製作プロジェクトが完了
ランボルギーニのデザイン部門であるチェントロスティーレはLP500のフォルムを再現するために、まずは正確なディメンションを持った、原寸大スケールモデルを製造することになった。

オリジナルデザインの再現を担当したのは、ランボルギーニのデザイン部門であるチェントロスティーレ。ヘッド・オブ・デザインを務めるミィティア・ボルケルトは、この困難なプロジェクトについて次のように振り返った。

「LP500は、その後のすべてのモデルのデザインDNAの起点になったという意味で、ランボルギーニにとって非常に重要な存在です」

「1971年のジュネーブでデビューしたLP500へと到達するため、まずは原寸大スケールのスタイリングモデルが作られました。このモデルも現車と同様に失われていましたが、膨大な証拠写真が残っています。当時の出版物、ホモロゲーションシートの画像、ポロストリコが収集した資料をベースに、最初の1:1スケールモデルを作るために必要なスペックやデータを決定しました」

「最大の課題となったのは、クルマの正確な体積を決定することでした。そのために、今回のプロジェクトで膨大な情報源となったLP400(シャシー001)の3Dスキャンを活用しています。納得のいくラインの最終モデルを完成させるまでに、延べ2000時間の作業を要しました。インテリアも同様の手順で制作されています」

ピレリやPPGのアーカイブを活用

ランボルギーニ カウンタック LP500、のべ2万5000時間に及ぶ再製作プロジェクトが完了
タイヤやボディカラーに関しては、それぞれのスペシャリストであるピレリやPPGが保有していた貴重な資料が活用されている。

1963年から続くランボルギーニとピレリとのコラボレーションにより、LP500のプロトタイプに装着されていたタイヤを再現することも可能になった。ピレリ財団が保有するアーカイブに保存されている画像や資料をベースに、ジュネーブ・ショーでのデビュー当時にLP 500が装着していた「チントゥラート CN12」タイヤのオリジナル図面を使用することができたのである。

これらの資料をベースに、ピレリの技術者はチントゥラート CN12の製造に着手した。今回、カウンタック LP500用に再製造されたタイヤのサイズは、フロントが245/60R14、リヤが265/60R14。このタイヤは1970年代と同じトレッドパターンと美しさをたたえながら、現代的なコンパウンドとタイヤ構造を備えている。 

ボディカラーに関しては、世界トップレベルの自動車塗料メーカーである「PPG」のアーカイブを活用。慎重な分析の結果、「Giallo Fly Speciale」と呼ばれるイエローカラーを生成するための正確な配合の特定が可能になった。

完全再現されたカウンタック LP500を動画でチェック!

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ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…