4代目の新型「ベントレー コンチネンタル GT」をサーキットで試乗

新型「ベントレー コンチネンタル GT」のプロトタイプに試乗「新開発PHEVパワートレインの完成度」

ついにPHEVとなった新型「コンチネンタルGT」。パワートレインは、既存の550PSから600PSへとパワーアップされた4.0リッターV8ツインターボと8速DCTの間に備わる190PSを発揮するeモーターの組み合わせ。
ついにPHEVとなった新型「コンチネンタルGT」。パワートレインは、既存の550PSから600PSへとパワーアップされた4.0リッターV8ツインターボと8速DCTの間に備わる190PSを発揮するeモーターの組み合わせ。
ベントレーの4代目ラグジュアリークーペ「コンチネンタル GT」のデビューが近づいている。ウルトラ・パフォーマンス・ハイブリッドと称する新開発V8パワートレインを初搭載する、次期型コンチネンタルGTのプロトタイプにサーキットで試乗し、走りの実力を確かめた。

Bentley Continental GT Prototype

6.0リッターW12を超える4.0リッターV8ハイブリッド

フロア下に収納されるバッテリーは25.9kWhの容量を誇り、EVモードだけで最大80kmの航続距離もしくは75%のパフォーマンス(最高速160km/h)を発揮できる。

ベントレーが4代目となる「コンチネンタル GT」のカモフラージュ画像を公開した5月17日、スペイン・バルセロナ郊外にあるパルクモートル・カステリョリ・サーキットで我々を待っていたのは、まさにその新型「コンチネンタルGT」そして「コンチネンタルGTC」だった。

最終プロトタイプゆえ試乗はサーキット限定だが、その中身は生産型とほぼ同じだという。実は会場では偽装の内側を含め、そのすべてを見ることができたのだが、契約により5月29日時点で書けるのは、プレゼンテーションで聞いた内容と最終プロトのサーキットインプレッションのみ。しかし、それだけでも新型コンチネンタルGTの実力を伺い知るには十分だ。

2030年までにエンド・トゥ・エンドでのカーボンニュートラルを達成するというベントレーの電動化戦略に基づき、ついにPHEVとなった新型パワートレインは、既存の550PSから600PSへとパワーアップされた4.0リッターV8ツインターボと8速DCTの間に備わる190PSを発揮するeモーターの組み合わせで、システム最大で782PSの最高出力と1000Nmの最大トルクを発生。CO2排出量はわずか36g/kmに抑えられている。

またフロア下に収納されるバッテリーは25.9kWhの容量を誇り、EVモードだけで最大80kmの航続距離もしくは75%のパフォーマンス(最高速160km/h)を発揮できる。ちなみにその最高速度は355km/h、0-100km/加速は3.2秒と、6.0リッターW12ツインターボを積んだコンチネンタルGTスピードの335km/h、3.6秒を大きく上回る。

ダブルバルブ・ダンパーを初採用

システム最大で782PSの最高出力と1000Nmの最大トルクを発生。CO2排出量はわずか36g/kmに抑えられている。

プラットフォームは基本的に先代と同じで、ホイールベースやトレッドも同一。しかしながらエレクトリック・オールホイール・ステアリング、eデフ、アクティブトルクベクタリング、ベントレーダイナミックライドなど先代から踏襲するシステムに加え、圧縮と伸縮を独立制御することで、より自由度が高くなったダブルバルブ・ダンパーを初採用することでシャシーダイナミクスを向上できたと、R&D部門のダイレクターで車体開発の責任者でもあるマーカス・ティールは胸を張る。

基本的な操作も先代と同じ。走行モードはベントレーモード、コンフォートモード、スポーツモード、そしてカスタムの4種類。ベントレーモード、コンフォートモードはEVで起動し、必要に応じてエンジンを始動。またEVモードに加え、バッテリーの消費を抑えたホールドモード、充電を促すチャージモードもセレクトできるようになっている。

気になる車両重量は非公表だが、聞くところによるとGTスピードより重くなっているらしい。しかしながら気筒休止システムを廃止したV8エンジンや小さくなった燃料タンクなど各部の軽量化、そして最適化によって前後重量配分は50:50を実現しており、その動力性能には自信を持っているという。

想像以上に野太い排気音と蹴り出しの鋭さ

鋭い蹴り出しを見せる新型「コンチネンタルGT」。実にリニアで、あっという間にスピードメーターは200km/h以上を表示した。

コースはセミウエット状態だったが、勧められるままにスポーツモードでコースに繰り出す。まず驚いたのは想像以上に野太いエキゾーストノートが響くことと、蹴り出しの鋭さだ。昨年試乗した6.0リッターW12ツインターボの「バトゥール」も750PSを標榜していたが、両車の最大の違いはハイブリッドならではのパワーデリバリーのスムーズさだ。バトゥールが内燃機ならではの荒々しさを隠そうとしなかったのに対し、新型コンチネンタルGTのそれは実にリニアで、あっという間にスピードメーターは200km/h以上を表示する。

さすがにフル加速からのフルブレーキングでは、後ろからのし掛かるようなGでクルマの重さを意識するが、試乗車はオプションのカーボンセラミックブレーキを装着していたこともあり制動力は十分以上。またその際の姿勢変化もほとんどなく、常にフラットライドを維持し続ける。そこで特筆すべきは、足まわりは決してガチガチには固められておらず、GTらしいしなやかで快適な乗り心地を失っていないことだ。「それこそがダブルバルブ・ダンパーの効果だ」とマーカスは話す。

重量増を感じさせないクルマ作り

静止状態ではほとんど変化のないリヤタイヤが、エレクトリック・オールホイール・ステアリングによって想像以上に大きな舵角で、まるで生きているかのように前輪の動きに合わせて俊敏に動くという。

加えてブラッシュアップされたシャシーコントロールシステムが秀逸で、ハンドリングは軽快かつシャープで正確。実は試乗後にパドックでエレクトリック・オールホイール・ステアリングのデモンストレーションを見せてもらったのだが、静止状態ではほとんど変化のないリヤタイヤが、一度動き出すと想像以上に大きな舵角で、まるで生きているかのように前輪の動きに合わせて俊敏に動くのには驚いた。そこに前輪へのトルク配分を減らしてターンインでの俊敏性を高めるアクティブ・トルク・ベクタリング、左右のトルク配分を最適化するeデフが加わる効果は間違いなく絶大だ。

シャシーダイナミクスのチーフであるリチャード・ヘイコックスが「重量増を感じさせないクルマ作りに注力した」というように、新型のドライビングフィールは、パワーで押し切る「GTスピード」よりも、バランスがよく、軽やかで小気味いい「V8 S」によく似ている。それでいてパワーはGTスピード以上。さらにEVモードでは無音、排気ガス無排出の走行も可能と、まさに「スーパーカーの走行性能とラグジュアリーな快適性」を追求し続けてきたコンチネンタルGTの新たなステージを飾るにふさわしい1台へと進化を遂げていた。

ベントレー モーターズは、2024年6月に発表する新型「コンチネンタル GT」のカモフラージュ写真を公開した。

ベントレーが4代目「コンチネンタル GT」を2024年6月ワールドプレミア「新開発PHEVパワートレインを搭載」

ベントレー モーターズは、4代目「コンチネンタル GT」を2024年6月にワールドプレミアすると発表した。新開発のウルトラ・パフォーマンス・ハイブリッドを初めて搭載する、新型コンチネンタル GTのカモフラージュ写真が公開された。

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藤原よしお 近影

藤原よしお

クルマに関しては、ヒストリックカー、海外プレミアム・ブランド、そしてモータースポーツ(特に戦後から1…