新時代ランボルギーニを予言した革新的なクルマと技術と崇高な思想

新時代を迎えたランボルギーニがもたらした5つの革新的なクルマと技術と崇高な思想を振り返る

フロンティアスピリットとアイデアの宝庫、ランボルギーニがもたらした革新的な技術や精神
1967年に発表された「ランボルギーニ マルツァル」。
レヴエルトやウラカン後継モデルなど、電動化を積極的に推し進め、新時代を迎えようとしているアウトモビリ・ランボルギーニ。その60年あまりの歴史には、革新的な新技術を導入した様々なモデルが存在する。ランボルギーニが自動車界に吹き込んだ新たな風を5つ紹介する。

シザードアを市販モデル初採用した「カウンタック」

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垂直斜め前方に跳ね上がるシザードアは、ランボルギーニのV12スーパースポーツを象徴する存在。量産車として最初にこのドアを導入したのがカウンタックだった。

新型フラッグシップ「レヴエルト」にも採用され、ランボルギーニ製V12スーパースポーツの象徴とも言えるのが特徴的な「シザードア」だ。1971年、マルチェロ・ガンディーニがデザインした革命的モデル「カウンタック」は、垂直斜め前方に跳ね上がるシザードアを採用した最初の量産車となった。

この技術を採用したのは、見た目の美しさやインパクトだけではなく、開口部を広くとれるという実用性にも関係している。実際、このシザードアによって、ドライバーは後退時にも身を乗り出すことで車両の後方視界を得ることができる。さらに、長いドアを開けられないような狭いスペースでの駐車の問題も解決することが可能になった。

カウンタックの後継モデルである「ディアブロ」「ムルシエラゴ」「アヴェンタドール」など、シザードアはランボルギーニの12気筒モデルのDNAに欠かせない特徴となっている。

量産ロードカーで最も低い全高1055mmを実現した「ミウラ」

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ライバルよりも低く流れるようなデザインは、1960年代のスポーツカーの最優先事項だった。ミウラの105.5cmという極端に低い車高は、今もランボルギーニのアイコンとなっている。

1960年代、スポーツカーを開発するデザイナーの頭の中には、低い全高としなやかで空力的なフォルムが最も重要なファクターだった。全高わずか1055mmのミウラは、大量生産された自動車のなかで最も低い全高を持つ。地面を這うような低い全高は、ランボルギーニのDNAの一部となり、今も現行モデルに引き継がれている。

平均年齢29歳という若き「ミウラ開発陣」

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マルチェロ・ガンディーニやボブ・ウォレスなど、ミウラの開発に携わったスタッフの多くが20代の若者だった。ランボルギーニ・ブランドを確立するため、フェルッチオ・ランボルギーニは若者の力に賭けたのである。

ランボルギーニ創業者のフェルッチオ・ランボルギーニは、自動車メーカーを起業した当初から優秀な若者にチャンスを与えたいと考えていた。ミウラ・プロジェクトはその代表的な例だ。当時のライバルに挑戦し、まだ安定しないランボルギーニを軌道に乗せるため、大学や自動車業界の若いスペシャリストから選ばれた、才能ある若者達を数多く抜擢したのである。

ミウラが発表された1966年当時、デザイナーのマルチェロ・ガンディーニとテストドライバーのボブ・ウォレスは、ともに28歳。チーフエンジニアのジャンパオロ・ダラーラとアシスタントエンジニアのパオロ・スタンツァーニは30歳。開発に携わったスタッフの平均年齢は29歳という若さだった。並外れた意欲と野望を持った若者達が、伝説となることを運命づけられたミウラに命を吹き込んだのである。

ミウラに携わった多くの若者たちはその後、それぞれの分野で巨匠と呼ばれる存在となった。それは若い彼らの能力を信じ、任せたフェルッチオの先見性の証と言えるだろう。

グラスエリア4.5㎡を誇る「マルツァル」

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4名乗車が可能なグランドツアラーとして開発された「マルツァル」。4.5㎡という広大なグラスエリア持つ。

4人乗りのグランドツアラーを目指して開発されたマルツァルは、カロッツェリア・ベルトーネ在籍時代のマルチェロ・ガンディーニがデザインを担当した。発表後、そのスクエアなフォルムと広大なグラスエリアにより、世界的なデザインアイコンとなった。

マルツァルを特別な存在たらしめているのは、シルバーカラーのレザーで覆われたインテリアと、デザインのテーマに掲げられた六角形だろう。ダッシュボードやリヤウインドウ、コンソールのカットアウトなど、可能な限り細部に渡って六角形のモチーフが繰り返されている。

しかし何より目を惹くのは、ガルウイングドアからルーフまで4.5㎡にも及ぶ広大なグラスエリアだ。今もって、マルツァルは史上最大のグラスエリアを持つ、走行可能なコンセプトカーである。

史上初のスーパーSUVとして誕生した「LM002」

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LM002は軍用車プロジェクトをルーツに持ち、現代では多くのメーカーが手がける超高性能&高級オフローダーの先駆者として登場した。

その起源は、アメリカ軍向け高機動車プロトタイプ「チータ」プロジェクト。そのチータを起源に様々な改良を経て、1986年のブリュッセル・モーターショーで「LM002」と名付けられたオフロードモデルが発表された。

LM002はオフローダーでありながらもランボルギーニ製スーパースポーツに匹敵するフォルムと性能を備えていた。最高出力450PSを発揮する5167ccV型12気筒エンジンをフロントに搭載し、ZF製5速MTを介して4輪を駆動した。砂漠も走破可能な優れたオフロード性能と、力強いラインを強調した無骨なデザインは今も色あせない魅力を持つ。LM002は1986年から1992年にかけて300台以上が生産された。

ランボルギーニ カウンタック LP400Sのデビュー45周年を記念し、『キャノンボール』に登場したカウンタック LP400Sを劇中でドライブした、タラ・バックマン(左)とエイドリアン・バーボー(右)のインタビューを行った。

映画『キャノンボール』のキャストが語る「ランボルギーニ カウンタック LP400S」【動画】

映画『キャノンボール(The Cannonball Run)』に登場した、ランボルギーニ カウンタック LP400Sのデビュー45周年を記念し、劇中でカウンタック LP400Sをドライブしたエイドリアン・バーボーとタラ・バックマンによるインタビューが公開された。ふたりの女優とカウンタックが揃うのは、映画が公開された1981年6月19日以来となる。

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