目次
VIRAGE(2011-2012)
DB9 / DB9GT(2012-2015)
「DBS」と「DB9」のギャップを埋めるべく
ボトムレンジを支える「V8ヴァンテージ」、そしてフラッグシップの「DBS」が加わり、基本的なラインナップが完成すると、今度は17万ポンドのDBSと13万ポンドの「DB9」とのギャップを埋めるモデルの必要性が叫ばれるようになった。
そこで2011年のジュネーブ・ショーで発表されたのが、2代目「ヴィラージュ」である。そのスタイルから分かるようにDB9を基本としており、4ドアのラピードと同じスタイルのLEDサイドライト/ウインカー付きバイキセノンヘッドランプを採用。またベーングリル、サイドストレーキ、リヤフードをはじめ、ボディパネルのほとんどがリファインされた結果、ボディサイズは全長4720mm、全幅1905mm、全高1280mmと若干大型化。車両重量も1785kgへと増加している。
一方インテリアは基本的にDB9に準じたもので、カーボンケプラー製シートの2シーターか、DB9のような2+2シートをセレクトできた。またセンターパネルに6.5インチスクリーンのカーナビゲーションが装備されたのも特徴であった。
オープンのヴォランテもクーペと同時に発表
エンジンはお馴染みの5.9リッターV12DOHCで、ちょうどDB9とDBSの間に位置する最高出力497PSを発生。ギヤボックスはZF製6速AT“タッチトロニック2”で、ファイナルギヤがDB9の3.15から3.46に低められた結果、最高速度はDB9より低い299km/hになったものの、0-100km/h加速は4.6秒に向上している。
そのほかDBS譲りのアダプティブダンビングシステムやカーボンセラミックブレーキディスクを採用。またリヤサブフレームを強化し、補強のシアパネルをフロントとリヤに追加してボディ剛性を高めたオープンのヴォランテもクーペと同時に発表している。
しかしながらそのモデルライフは1年間で、クーペ656台、ヴォランテ388台を生産したところで幕を閉じた。というのも2012年に第2世代というべきDB9が、ヴィラージュを大幅に進化させる形で登場したからだ。
大幅に向上したハンドリング性能
新しいDB9は、欧州歩行者保護規制に対応し、エンジン搭載位置を19mm下げるためにアンダーボディの構造を変更し、20%の剛性アップと15kgの軽量化を果たした第4世代のVHアーキテクチャーを採用。一方でボディデザインは基本的に2代目ヴィラージュのものが踏襲された。
またエンジンは同時期にデビューした新型ヴァンキッシュと同様、新設計のシリンダーヘッド、スロットルボディ、マニフォールドなどを備え大幅に進化を遂げた5.9リッターV12 DOHC“AM11”ユニットへと変更。その最高出力はヴァンキッシュよりは若干劣るものの、従来のDB9、ヴィラージュを上回る517PSを発生する。
加えて50:50を実現した前後重量配分、エンジン搭載位置が低くなったことによる低重心化、そしてボディ剛性の強化により、従来モデルに比べてハンドリング性能は大幅に向上。また軽量で制動力にも優れたブレンボ製カーボンセラミックディスクとモノブロックキャリパーが標準装備されるのもライバルに対するアドバンテージとなった。
大きく刷新した中身、変わらない見た目
ところが、中身を大きく刷新したにもかかわらず、見た目がヴィラージュと変わらないこと、そしてDB9という名称を継続したのが仇となったか、販売的には不発に終わり生産は2015年で終了した。
代わりに547PSへとチューンした5.9リッターV12を搭載し、タッチセンサー式インフォテインメントシステム“AMi II”を採用するなどインフォテインメント環境をアップデートした「DB9 GT」を2015年に発表したものの、1年間生産されたのみで後継の「DB11」に道を譲った。