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Lancia Strato’s HF Zero
200台以上の車両から4台の最終選考に選出
モントレー・カーウィークの一環として、2023年8月18日にカリフォルニアのペブルビーチにおいて、第73回ペブルビーチ・コンクール・デレガンス(Pebble Beach Concours d’Elegance)が開催された。ペブルビーチ・コンクール・デレガンスは、9日間にわたって様々なイベントが行われるモントレー・カーウィークのハイライトであり、毎年、世界中から何千人ものエンスージアストが集結する。
今年も伝統に従って、太平洋を背景にペブルビーチ・ゴルフリゾートで開催され、世界58ヵ国から200台以上の貴重なヒストリックカーが参加。米国在住のコレクター、フィリップ・サロヴィム氏が所有する、1970年型ランチア ストラトス HF ゼロが「ウェッジ・コンセプト&プロトタイプ(Wedge Concepts and Prototypes) 」クラスウイナーに輝き、改めて大きな注目を集めることになった。
さらにストラトス HF ゼロは、4台のみが選出される「ベスト・オブ・ショー」のファイナル4台にも選出。ストラトス ゼロは、ラリー界に伝説を残したストラトスのベースとなっただけでなく、丸型テールライトが新型イプシロンに採り入れられるなど、その後のデザインにも大きな影響を残している。
1970年のトリノ・ショーでデビュー
1970年のトリノ・モーターショーで発表され、マルチェロ・ガンディーニのデザインに基づいてヌッチオ・ベルトーネが製作したランチア ストラトス HF ゼロは、その革命的なウェッジシェイプを纏ったスタイルで、世界中に大きな衝撃を与えることになった。2000年にフルレストアされ、エクステリアカラーがオリジナルのブロンズへと戻されている。
ストラトス HF ゼロはフロントセクションに55Wの電球が10個並べられ、リヤには84個もの小型電球で構成されたストリップテールライトを配置。センターにレイアウトされたデュアルテールパイプのエキゾーストシステムが、レーシーな雰囲気を醸し出す。
エクステリア以上に前衛的なコクピットは、ほぼ水平に配置されたシートや、ドライバー側にオフセットされたインストゥルメントパネルにアクリルガラス製ディスプレイが組み合わせられた。リヤミッドに、フルビア HFから流用されたツインバレルのソレックスキャブレター付き1.6リッターV型4気筒エンジンを搭載し、最高出力116PSを発揮する。
1年後の1971年のトリノ・モーターショーでは、後に量産仕様へと進化する「ランチア ストラトス」がワールドプレミア。グループ4仕様のストラトス HFは、1974年のサンレモでWRC初勝利を飾ると、ランチアにWRCマニュファクチャラーズ選手権3連覇(1974~1976年)をもたらしている。