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心躍るようなユニークなデザイン
今回取り上げるのはNothing Phone(2a)というスマホだ。巷ではコスパ最強と名高い製品だが、僕がこの製品を取り上げる理由は、とにかく“Nothing”というユニークなブランドを知って欲しいという想いがある。世の中はスマホを中心としたテック製品で溢れている。テクノロジーは生活基盤のひとつで、必ずしも先鋭的なものではない。日常的に使う道具に特別な先端製品であることを求める層もあれば、生活に馴染むアフォーダブルで心地よい製品を望む人もいる。
Nothingはスマホを中心に、スマホには欠かせない周辺機器のイヤホンもラインナップし、テック製品の世界に新しい価値観をもたらそうとしている。その違いは手に取った瞬間に気づくだろう。半透明の背面パネルは、まるで機械の内部を覗き込んでいるかのような感覚を与えてくれる。それは単なるデザインの個性ではない。テクノロジーへの親近感、そして所有する喜びを呼び覚ます仕掛けだが、決して背伸びして高価な素材は使っていない。日用雑貨を思わせる柔らかな素材の感触は、ソリッドな印象はなく気遣いなく付き合えるカジュアルさを感じるだろう。
必要にして十分な機能
背面に施された「Glyph Interface」と呼ばれるLEDライトシステムは、まるで生命体のように光り、鼓動を打つようにユーザーに通知の種類を知らせ、時に音楽に合わせて躍動し、バッテリー残量も視覚的に伝えてくれる。無機質な日常の道具としての控えめな側面と、心躍るようなデザイン、それにデバイスとユーザーを“ほんのりと”つなぐ手法を入念にデザインしているのだ。
スマホの基本性能は十分なものだ。メディアテックというチップメーカーを知らない読者もいるだろうが、業界内では長くチップを提供してきた信頼できるデバイスメーカーで、パフォーマンスはミドルクラスだが、基本的なスマホの機能をこなす上で不足はまったくない。しかもバッテリーはまる2日も使えるほど。もちろん「おサイフケータイ」にも対応する。6.7インチの画面も、単に鮮やかな色彩と滑らかな描画だけではなく、色味が整えられていることにものづくりの丁寧さを感じる。広角、超広角を備えるデュアルカメラはハイエンドスマホとの差がある部分だが、極端に低照度のシーンでなければ、さほど不満は感じないだろう。
テクノロジーへの親近感が湧く
さらに独自のユーザーインターフェース設計を施されたNothing OSは、基本的な操作手順はiPhoneにも近く馴染みやすい。Nothingは世の中のほとんどの人が日常的な道具としてスマホを手にする時代に、本当に必要な機能と性能を、入手しやすい価格帯で再構築することで、テクノロジーと人間の関係を再定義しようとしている。毎日の生活にほんの少しの驚きと喜びを。そして、テクノロジーとの関係に新たな意味を。そんな体験を提供してくれるNothing Phone(2a)だが、低価格帯のテクノロジー製品だけに新陳代謝は早い。イヤホンなどのファミリー製品や、近く追加される上位モデルなども含め、ブランド全体が描こうとしているコンセプトにも注目してほしい。
REPORT/本田雅一(Masakazu HONDA)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)
MAGAZINE/GENROQ 2024年 11月号
PRICE
4万9800円(8+128GB)/5万5800円(12+256GB)
評価
シンプルな雑貨を思わせる風合いながらテクノロジー製品としても高品質。先端製品としてのスマホではなく、日常品としてのスマホとは何か?を体現するユニークなブランドだ。
コストパフォーマンス:5
性能:4
内蔵カメラ:3
使いやすさ:4
バッテリー:5
【問い合わせ】
NOTHINGカスタマーサポート
TEL 0120-789-830
https://jp.nothing.tech