新型「ベントレー フライングスパー」に試乗でウルトラパフォーマンスハイブリッドの凄さを体感

“このパワートレインを積めばどんなクルマも無敵のGT?”新型「ベントレー フライングスパー」に試乗で確信

パワートレインや足まわりの基本メカニズムは新型コンチネンタルGTと共通ゆえ、進化の方向性も同様。つまりよりスポーティになった。「スピード」のネーミングは当然ともいえる。
パワートレインや足まわりの基本メカニズムは新型コンチネンタルGTと共通ゆえ、進化の方向性も同様。つまりよりスポーティになった。「スピード」のネーミングは当然ともいえる。
新型コンチネンタルGTに、続いて登場した新型フライングスパー。コンチネンタルGTと同じ試乗会で試す機会を得た。新たなるフラッグシップサルーンの実力は果たしてどれほどか? チェックした。(GENROQ 2024年12月号より転載・再構成)

Bentley Flying Spur Speed

フラッグシップに相応しい威厳は健在

外観上の変更点はグリル、バンパー、ディフューザーで、新デザインのオプションホイールやダークティントのモール類も含まれる。試乗車のボディカラーは新色「トルマリングリーン」。
外観上の変更点はグリル、バンパー、ディフューザーで、新デザインのオプションホイールやダークティントのモール類も含まれる。試乗車のボディカラーは新色「トルマリングリーン」。

コンチネンタルの名を復活させた初代から数えて、4代目となる「フライングスパー」に試乗した。9月にワールドプレミアしたばかりの新型は、2020年に生産終了した「ミュルザンヌ」に代わり、今やベントレーのフラッグシップを担う重要なサルーンである。6月にデビューしたコンチネンタルGT同様に、3代目からいくらかのコンポーネンツを受け継ぎ、プラットフォームはコンチネンタルGTと同じくフォルクスワーゲングループのMSB(プレミアムRWD車向け)を採用する。

試乗会場で隣に並ぶコンチネンタルGTが、先代と比べてヘッドランプなどを刷新したのに対して、フライングスパーのエクステリアにおける変更点は少ない。フロントグリル、バンパーなどがブラッシュアップされている程度だろうか。だから先代同様の長いボンネット、短いフロントオーバーハング、リヤ寄りのキャビンなどフラッグシップに相応しい威厳は健在。全長、全幅、ホイールベースは先代とほぼ同値で、全高は9mm低いが全長5.3m超の伸びやかなボディを考えれば誤差といえる。

試乗車は「フライングスパー・スピード」、つまりハイエンドグレードだ。先代までスピードは累計10万基以上生産された6.0リッターW12ツインターボ搭載のハイパフォーマンスモデルに与えられたグレード名だが、新型ではクロスプレーン4.0リッターV8ツインターボに電気モーターを内蔵した8速DCTを組み合わせ、「ウルトラパフォーマンスハイブリッド」と命名されたパワートレインを搭載する。システム最高出力782PS、同最大トルク1000Nmという途轍もないスペックはコンチネンタルGTと同値だ。リヤアクスル後方に電力量25.9kWhのバッテリーを搭載するPHVだけあって、車両重量は先代比で約200kg以上増の2646kgだが、0-100km/h加速は先代より0.3秒速い3.5秒を誇る。

きめ細かい速度調整が可能なワンペダルドライブ

重厚なドアを開けて乗り込むと、やはり室内に大きな変化は見当たらない。インストゥルメントパネルの雰囲気は異なるが、3代目に乗っていれば操作に戸惑うことはないだろう。スタート/ストップボタンを押してもPHV故にエンジンは始動せず、勝手知ったるセレクターレバーでDレンジを選択してもEVモードのまま、静々と走り始める。試乗は先導車付きのカルガモ方式4周で正味10分。駆け足で紹介していこう。

走行モードは「スポーツ」「B(ベントレー)」「コンフォート」「カスタム」と4種類用意され、デフォルトの「B」ではアクセル開度75%までEVで走り続ける。低速域でのEV走行はコントローラブルで、回生ブレーキによるワンペダルドライブがきめ細かい速度調整を可能にしてくれる。モーターのトルクは450Nmあるので2.6tを痛痒なく走らせる。先代同様に乗り心地は快適そのもの。2チャンバー式新型エアサスペンションがもたらす快適性は、このフラッグシップサルーンの万能性のほんの一端だが大きな魅力だ。

まるでスポーツカーの如き走り

6月に新型コンチネンタルGTが、続く9月には新型フライングスパーが登場。今回、短時間ながらその両車に試乗する機会を得た。外観に大きな変更点はないものの、ベントレーはどちらもフルモデルチェンジと称する。その理由はどのあたりにあるのか。
6月に新型コンチネンタルGTが、続く9月には新型フライングスパーが登場。

スポーツモードに切り替えると一転して、勇ましいスポーツカーのようなサウンドとハンドリングになる。電子制御スタビライザーのベントレーダイナミックライド、後輪操舵などが標準装備される他、前述の巨大バッテリーによる理想的前後重量配分(48対52)の霊験あらたかで、まるでスポーツカーの如き走りを見せる。レッドゾーンの6800rpmまで回すまでもなく、ベントレーの未来を担うパワートレインの凄まじいパフォーマンスの片鱗がみられる。

4周目は再び「B」を選択してクールダウン。ジェントルに走ればすぐさま高級サルーンに早変わりする。スポーツカーに比肩するパフォーマンスを秘めつつ、スイッチひとつ、あるいは運転次第で電動車に早変わりする究極のパワートレインだ。ベントレー、あるいはフライングスパーに期待されるグランドツアラーとしての性能は、このウルトラパフォーマンスハイブリッドで新時代に引き継がれることを確信した。

REPORT/吉岡卓朗(Takuro YOSHIOKA)
PHOTO/Bentley Motors
MAGAZINE/GENROQ 2024年12月号

SPECIFICATIONS

ベントレー・フライングスパー・スピード

ボディサイズ:全長5316 全幅1988 全高1474mm
ホイールベース:3194mm
車両重量:2646kg
エンジン:V型8気筒DOHC
総排気量:3996cc
最高出力:441kW(600PS)/6000rpm
最大トルク:800Nm(81.6kgm)/2000-4500rpm
モーター
最高出力:140kW(190PS)
最大トルク:450Nm(45.9kgm)
トランスミッション:8速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前275/35ZR22 後315/30ZR22
最高速度:285km/h
0-100km/h加速:3.5秒
車両本体価格:3379万2000円

【問い合わせ】
ベントレーコール
TEL 0120-97-7797
https://www.bentleymotors.jp/

6月に新型コンチネンタルGTが、続く9月には新型フライングスパーが登場。今回、短時間ながらその両車に試乗する機会を得た。外観に大きな変更点はないものの、ベントレーはどちらもフルモデルチェンジと称する。その理由はどのあたりにあるのか。

極上サーキットで新型「ベントレー コンチネンタルGT」を試してわかった大いなる進化

6月に新型コンチネンタルGTが、続く9月には新型フライングスパーが登場。今回、短時間ながらその両車に試乗する機会を得た。外観に大きな変更点はないものの、ベントレーはどちらもフルモデルチェンジと称する。その理由はどのあたりにあるのか。(GENROQ 2024年12月号より転載・再構成)

4代目に進化した新型「ベントレー フライングスパー」のエクステリア。

新型「ベントレー フライングスパー」が782PSと1000Nmの4ドアハイブリッドスーパーサルーンとしてデビュー【動画】

ベントレーモーターズは、ウルトラ・パフォーマンス・ハイブリッドを搭載する新型「フライングスパー」をワールドプレミアした。ベントレー史上最強となる最高出力782PS、最大トルク1000Nmの4ドアサルーンの発表を記念し、ベントレーは元F1ドライバーのデイモン・ヒルが登場するスペシャル動画を制作し、公式YouTubeチャンネルに公開している。

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著者プロフィール

吉岡卓朗 近影

吉岡卓朗

Takuro Yoshioka。大学卒業後、損害保険会社に就職するも学生時代から好きだったクルマのメディアに関わり…