より力強く、よりダークになったロールス・ロイス ゴーストのブラック・バッジ

新型ゴーストのブラック・バッジ国内デビュー! ロールス・ロイス販売好調の鍵を握る「ダークな仕様」とは

ロールス・ロイス ブラック・バッジ ゴーストの国内発表会イメージ
ロールス・ロイス・モーター・カーズは、2021年11月17日に「ブラック・バッジ ゴースト」を日本で発表。同日より国内受注をスタートした。
ロールス・ロイス・モーター・カーズは、2021年11月17日に「ブラック・バッジ ゴースト」を日本国内で発表した。同社最新のサルーンに、ダークな意匠と強化したパワートレインを採用。同日より受注をスタートし、2022年第1四半期よりデリバリーを開始する。価格は4349万円から。

Rolls-Royce Black Badge Ghost

ゴーストは日本で今一番売れているロールス・ロイス

ロールス・ロイス ブラック・バッジ・ゴーストのサイドビュー
ロールス・ロイス ブラック・バッジ ゴーストはショートホイールベースのみの設定。レイアウトは4人乗り、及び5人乗りから選択可能。

ロールス・ロイスの最新サルーン、ゴーストのブラック・バッジ仕様が日本へ上陸した。新型ゴーストは2020年10月に日本で発表されて以降、好調なセールスを記録。2021年10月末までの販売台数において、鉄板モデルのカリナンを抜いて売り上げ1位を誇っている。人気のブラック・バッジ仕様の追加は、その快進撃を後押しする追い風となるはずだ。

“ブラック・バッジ”シリーズは、黒基調のダークな雰囲気とスポーティな乗り味が特徴。「ドライバー・オリエンテッド(ドライバーが主役)なロールス・ロイス」という意外性のあるメッセージと共に2016年に登場し、レイス、ゴースト、ドーン、カリナンへと採用モデルを続々と拡張。パンテオングリルやスピリット・オブ・エクスタシーまでがブラック仕上げとなるダークな雰囲気が高い注目を集め、いまやロールス・ロイス全体で受注の27%を占める人気のシリーズとなっている。ロールス・ロイスの平均顧客年齢は10年で56才から43才に若返っているそうだが、SUVカリナンとともに、このブラック・バッジ仕様の人気がその潮流を加速しているといっていいだろう。

ちなみに日本市場におけるブラック・バッジ人気はさらに高く、じつに新車販売の52%を占めているという。ロールス・ロイス・モーター・カーズ アジア太平洋 北部地域 広報マネージャーのローズマリー・ミッチェル氏は「焼杉の家やコムデギャルソン、ヨウジヤマモトの服など、日本にはノワール(黒)の文化があります」と語る。漆や墨、黒曜石など、日本では古くから黒に対する独特の美意識が存在するのかもしれない。

強化した心臓に合わせて足まわりも“調律”

ロールス・ロイス ブラック・バッジ・ゴーストのキャビン
ロールス・ロイス ブラック・バッジ ゴーストのキャビン。ブラック・バッジ仕様はドライバーズシートが特等席。LowモードをONにすると、さらに迫力のある走りとサウンドを味わうことができるという。

「ブラック・バッジ ゴースト」は、ドライバーズ・オリエンテッドなロールス・ロイスというテーマにのっとり、ショートホイールベースモデルのみの設定となる。ベース比で+29ps/+50Nmアップした600ps/900Nmの6.75リッターV型12気筒ツインターボユニットを搭載し、力強さを増した心臓部に合わせてZF製8速ATとスロットルの特性も最適化。「0-100km/h加速は4.7秒」をあえて謳うのは、ブラック・バッジ仕様ならではといえる。

ブラック・バッジ仕様のキャラクターをより濃密に味わえるのが「Lowモード」。ロールス・ロイスにおける“スポーツモード”といえるもので、同モードをONにするとエキゾーストフラップが開き、V12ユニットのサウンドは勇ましさを増す。さらに、スロットルを90%まで踏み込んだときの変速スピードが50%アップするなど、レスポンスもより鋭く変化する。さらに、強化した走りにあわせてサスペンションのエアスプリングを大径化し、コーナリング時のロールを抑制。ブレーキシステムも改良し、ペダルストロークも短くすることで、“効き”のポイントを早めに設定した。ちなみに、キャリパーの塗装もブラック・バッジ仕様専用となっている。

グランドピアノのような黒塗装

ロールス・ロイス ブラック・バッジ・ゴーストのボンネット
ロールス・ロイス ブラック・バッジ ゴーストのブラックボディは、グランドピアノや漆塗りの器を彷彿とさせる。手間と時間をたっぷりかけた工程から生み出される、ロールス・ロイスならではの塗面だ。

外装色には、ロールス・ロイスが誇る4万4000通りのカラーパレットから選ぶこともできるし、個別のビスポークカラーを注文することも可能。とはいえ、やはりブラック・バッジシリーズを象徴する黒のペイントが一番人気である。ちなみにこのブラック塗装は「自動車業界で最もダーク」であることを目指して開発されたもので、まるで最高峰のグランドピアノのような、漆塗りの重箱のような、ぽってりと厚くいまにもとろけ出しそうな塗装面を実現している。これは、45kgもの塗料を霧状にしてホワイトボディに電着塗装し、高温乾燥したうえで2層のクリアコートを施し、さらに4人の職人によって手作業で磨き上げるという大量生産自動車とは一線を画すプロセスを経てようやく完成する。

パンテオングリルとスピリット・オブ・エクスタシーもダーククローム仕上げ。こちらもボディパネル同様、最終的には職人の手によって鏡面になるまで徹底的に磨き上げられている。足元にはカーボンファイバー構造を最大限に活かしたデザインの専用ホイールを装着。カーボン独特の編み目が露出したホイールは、迫力のあるビジュアルとともに、軽量かつ高い強度を誇る。さらに、3D鍛造アルミニウム製ハブは、航空宇宙産業グレードのチタンを使用したファスナーでリムに固定。もちろんハブキャップは、タイヤが回転しても常にRRのモノグラムが直立するフローティング機構である。

職人技と先進性が共存するキャビン

ロールス・ロイス ブラック・バッジ・ゴーストのダッシュボード
ロールス・ロイス ブラック・バッジ ゴーストのダッシュボード。レジンでコーティングしたカーボンファイバーとメタルでコーティングした糸を織り込み、ウッドと組み合わせることで、テクニカルかつ高級感のある新しい雰囲気の加飾パネルを作り上げた。

車内の随所にちりばめられたブライトウェア(光沢部品)もまた、当然ダーク仕様になっている。ダッシュボードやエアコンルーバー周りはもちろん、伝統的な車載時計さえ黒基調。ウッドをベースに、カーボンファイバーとメタルコーティングした糸の織り地を手作業で組み合わせた非常に凝った仕上げの加飾パネルも、先進的でテクニカルな雰囲気をキャビンにもたらしている。

リヤシートのシャンパンクーラー部は、ふたの部分に航空宇宙産業グレードのアルミニウムを使用。シート中央部にあしらわれたレムニスケート(連珠形)はブラック・バッジの溢れ出るパワーを象徴する記号。ロールス・ロイスの原動機が秘めた無限大のパワーを意味するもので、かつてマルコム・キャンベル卿が水上速度記録を樹立したロールス・ロイス製エンジン搭載パワーボード「ブルーバード K3」の船体に描かれていたものであるという。

新型ブラック・バッジ ゴーストの価格は4349万円から。ビスポーク・オーディオやリヤエンターテイメントシステムなどを盛り込んだ「特別ローンチ・パッケージ付きモデル」(4851万6000円〜)も用意している。

【SPECIFICATIONS】
ロールス・ロイス ブラック・バッジ ゴースト
ボディサイズ:全長5545 全幅2000 全高1570mm
ホイールベース:3295mm
車両重量:2540kg
エンジン:V型12気筒DOHC48バルブツインターボ
総排気量:6748cc
最高出力:441kW(600ps)/5250rpm
最大トルク:900Nm/1700-4000rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン/エアスプリング 後5リンク/エアスプリング
0-100km/h加速:4.7秒
最高速度:250km/h
車両価格:4349万円〜

1933年製ロールス・ロイス ファントム II コンチネンタル(94MY)のフロントビュー

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著者プロフィール

三代やよい 近影

三代やよい

東京生まれ。青山学院女子短期大学英米文学科卒業後、自動車メーカー広報部勤務。編集プロダクション…