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トヨタのADASを応用した安全で簡単な操船


クルマと違い、風や潮流の影響を受ける船の場合、特に港湾内における低速での微妙な操船には熟練の技術が求められる。今回のボートショーのテーマを、「クルマの技術で安心・安全なマリンライフへ貢献」としているトヨタは、レーンキープアシストなどクルマのADASに採用されている技術を応用し、船の操縦をより簡単で安全なものにするための支援機能を展示した。
TDS(トヨタ ドッキング サポート)は、海上における駐車支援システムと言えるだろう。GPSを利用して出港前に戻りたい場所の位置情報を登録すれば、ハーバー内の係留場所へスムーズに着岸できるようコンピューターがアシストする。
TDA(トヨタ ドライブ アシスト)は、ジョイスティック操作で前進・後退や全方向への平行移動、その場での旋回ができる。港など狭い場所では、風向きを読みながら低速での微妙な舵取りが要求される。特に初心者にはハードルが高い操作だが、これまでのステアリングホイールとスロットルレバーよりも方向修正が簡単で、スムーズな操船が可能だという。
さらに進化版の“TDA+” (プラス)では、風などで流された場合に位置を船が自律的に修正する制御が加わる。運転者は潮の流れなどを意識することなく、クルマと同じようにシンプルな操作でハーバー内における離着岸ができる。
ボート用エンジンもマルチパスウェイ

トヨタは昨年10月に12人乗りの“プレミアムクルーザー”「PONAM(ポーナム)-35 sv」を発表した。全長11.95m、全幅3.94mの船体に、最高出力370PSの4.5リッターV8ディーゼルターボエンジンを2基搭載している。トヨタは船内機としての船舶用エンジン開発・製造に関しても30年以上の実績がある。
マリン事業室の担当者によれば、「(年間)何千基という規模で(マリンエンジン)メーカーさんに供給しています」とのことだ。船舶用のエンジンに関してもCO2排出量削減に向けた取り組みは行われている。カーボンニュートラル燃料への対応やハイブリッド化など、マリンエンジンの開発においてもマルチパスウェイを採用しているという。