【ボートショー 2025】ホンダ、スズキ、ヤンマーとカワサキ、それぞれの展示テーマ

ホンダとスズキは環境保全、ヤンマーは人材不足の解消、カワサキはジェットスキーの多用途【ボートショー 2025】

ボートショー 2025で見つけたホンダとBRABUSのコラボレーション。
ボートショー 2025で見つけたホンダとBRABUSのコラボレーション。
3月20〜23日の4日間にわたって開催された「ジャパン インターナショナル ボートショー 2025」では、各社がそれぞれのアプローチから独自の展示を行った。その幅の広さが、クルマ関係のイベントとは異なり新鮮な印象を受けた。

創業から続くホンダの環境へのこだわり

ホンダブースでは、新型の4ストローク船外機「BF250」と「BF150」の国内初展示が行われた。昨年登場したフラッグシップの「BF350」同様に、高級感あるデザインと燃費および環境性能を高い次元でバランスさせているという。ホンダは1964年の船外機参入以来、一貫して4ストロークエンジンにこだわり続けている。これは、本田宗一郎の「働く人を助けるために開発した機械が、その仕事場を汚すことなどあってはならない」という信念に基づいた姿勢によるものだという。

もう1つホンダブースで目に留まったのは、BRABUS(ブラバス)仕様のボート。ホンダのBF350を搭載したプレミアムボートを製造するフィンランドのAXOPAR(アクソパー)がコラボした特別仕様モデルだ。メルセデス・ベンツのチューニングカーではおなじみのロゴをホンダのブースで見るのは新鮮だった。

スズキはデザイン性と環境保護

スズキブースで目立っていたのは、ずらりと並んだマットブラック仕上げの船外機。「ステルスライン」と呼ぶこのシリーズには、シャープな印象を与える黒いロゴが装着されており、これまでのスズキのイメージとは一味違う。

また、「スズキクリーンオーシャンプロジェクト」と題して、2011年から海洋環境改善の取り組みを世界中で行っているという。船外機に取り付ける「マイクロプラスチック回収装置」を独自に開発し、同社の船外機への標準装備化を進めている。

本家「ジェットスキー」のカワサキ

登録商標である「ジェットスキー」が一般名称化しているカワサキは、水上バイクの様々なバリエーションを展示。世界最高峰の「WATER JET WORLD GRAND PRIX」で年間チャンピオンを目指すレース専用艇や、釣り用のカスタマイズが施されたモデルなど幅広いラインナップが展示されていた。「JET SKI ULTRA 160 LX-S ANGLER」(アングラーは「釣り師」の意)は、その名の通りクーラーボックスや釣り竿用のスタンド、魚群探知機などを装備した釣り専用のジェットスキーだ。

ヤンマー舶用システムは試作品を初公開

ヤンマーのブースでは、「1軸インボード用ジョイスティックシステム」のデモンストレーションが行われた。操舵機メーカーの「マロール」(兵庫県)と共同開発したコントロールシステムで、スラスター、前進・後退、操舵の全制御を統合したものだ。

船内に組み付けた発動機である「船内機」で発生した動力を、シャフト経由でスクリューに伝える船を「1軸インボード船」または「シャフト船」と呼ぶ。漁船などの多くはこの構造を採用している。この種の船は、今のところステアリングホイールとスロットルレバーによる操作に限定されており、ヤンマーの担当者は「シャフト船を総合的に操船できるジョイスティックタイプは、当社のシステムが恐らく世界初」と話す。

ジョイスティックは直感的な操作ができるメリットがある。経験の浅い運転者でも、港の中など低速で細かな動きが求められる場所でのスムーズで安全な操船が可能になる。漁業分野でも人手不足が深刻化し、操船技術をもった人材の確保が大きな課題となっているようだ。ヤンマーのシステムは業界の課題解決に大きな役割を果たしそうだ。

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著者プロフィール

石川 徹 近影

石川 徹

PRエージェンシーやエンジニアリング会社、自動車メーカー広報部を経てフリーランスに。”文系目線”でモビ…