グッドウッドにおいて「プロドライブ P25」を世界初公開

伝説のインプレッサ 22Bをレストモッド! 公道を走行できるWRカー「プロドライブ P25」は7000万円超で25台限定販売

プロドライブ P25のフロントスタイル
424台のみが限定生産されたインプレッサ 22Bをベースに、「プロドライブ P25」が25台限定で製造される。
英国のレースディベロップメント、プロドライブ(Prodrive)は、2022年6月23~26日に行われるグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにおいて、スバル インプレッサ 22Bのレストモッド「プロドライブ P25」を世界初公開する。

Prodrive P25

インプレッサ WRC97の公道仕様「22B」

1997年、WRCに投入されたインプレッサWRC97は、8勝を挙げてマニュファクチャラーズ選手権タイトルを獲得。これを記念して限定販売されたのが、インプレッサ 22Bだった。
1997年、WRCに投入されたインプレッサ WRC97は、8勝を挙げてマニュファクチャラーズ選手権タイトルを獲得。これを記念して限定販売されたのが、インプレッサ 22Bだった。

1997年から世界ラリー選手権(WRC)に導入されたWRカー規定。スバルとプロドライブは、この新レギュレーションに則って開発されたスバル インプレッサ WRC97を投入し、開幕戦モンテカルロにおいてピエロ・リアッティがデビューウインを飾った。その後、コリン・マクレー、ケネス・エリクソンらのドライブにより、シーズン8勝を記録。WRCマニュファクチャラーズ選手権を獲得している。

このインプレッサ WRC97を、公道走行可能なWRカーとして再現したのが「スバル インプレッサ 22B」。専用開発された2.2リッター水平対向4気筒ターボを搭載した22Bは、1998年にわずか424台のみが製造され(当初は400台限定、追加で24台を生産)、現在ではカルト的な人気を確立している。

インプレッサ WRC97のデビュー25周年を記念し、プロドライブが22Bをベースに最新技術とマテリアルを駆使したレストモッド「P25」を開発。生産数はわずか25台、オリジナルのシャシーをベースに、軽量化、エンジンのパワーアップ、ビークルダイナミクスの向上を図っている。

英国・バンベリーのプロドライブ本社ファクトリーで25台が限定製造され、2022年末に1号車がデリバリーされる予定。P25は英国において公道走行可能なホモロゲーションを取得しており、価格は46万ポンド(約7600万円)からとなっている。

スバル製2.5リッターボクサーターボを搭載

パワーユニットは、ベースの2.2リッターボクサーターボから、最新のスバル製2.5リッターボクサーターボに変更。出力は最高出力400bhpを発揮する。
パワーユニットは、ベースの2.2リッターボクサーターボから、最新のスバル製2.5リッターボクサーターボに変更。出力は最高出力400bhpを発揮する。

パワーユニットは最高出力406ps(400bhp)、最大トルク600Nmを発揮する、最新のスバル製2.5リッター水平対向4気筒ターボエンジンを搭載、これに6速セミオートマチック・ギヤボックスが組み合わせられた。さらに、WRC譲りのローンチコントロール、アンチラグシステムにより、P25の0-100km/h加速はハイパースポーツにも伍する3.5秒を実現している。

今回、最新のスバル製2.5リッターボクサー4のシリンダーブロックをベースに、プロドライブのパワートレインチームがシリンダーライナー、ピストン、コンロッド、可変カムタイミング付きバルブトレインなどの内部パーツを特注で製作。完全に新規製造された専用パワーユニットが完成した。

これに高性能インタークーラーとエアボックスを備えた、ギャレット製モータースポーツ用ターボチャージャーと、アクラポビッチ製チタン&ステンレス・レーシングエキゾーストシステムが組み合わせられている。  

6速セミオートマチック・ギヤボックスは、ステアリングコラム上のパドルシフトで変速が可能。80ミリ秒という、究極のスピードで正確なギヤチェンジを実現した。また、WRCスタイルのローンチコントロールシステムを搭載し、フロアに設置されたペダルボックス内のフライバイワイヤースロットルとクラッチを組み合わせることで、自動的に1速、2速、3速とシフトアップし、ドライバーの介入なしに静止状態から最適な加速を楽しむことができる。

カーボン製パーツにより大幅な軽量化を実現

インプレッサ 22Bをベースとしながら、各コンポーネントにカーボンファイバー製パーツを多用。1200kgを切る車重を実現した。
インプレッサ 22Bをベースとしながら、各コンポーネントにカーボンファイバー製パーツを多用。1200kgを切る車重を実現した。

強大なパワーは、かつてWRCでも使用されていたアクティブセンターデフとLSDを介して4輪に配分。マクファーソンストラット式サスペンションは22Bからキャリーオーバーされ、アルミ削り出しアップライトを導入した。

当時のWRカー規程に準じた1770mmのワイドトラック用に、キャンバーとジオメトリーを最適化。ビルシュタイン製ダンパーは調整が可能で、スプリングとアンチロールバーはターマック(舗装路)での走行に特化されている。

ブレーキはAPレーシング製で、フロントが380mmベンチレーテッドディスクと6ピストンキャリパー、リヤが350mmベンチレーテッドディスクと4ピストンキャリパー。足元にはプロドライブ製19インチホイールにブリヂストン・ポテンザ「235/35/19」タイヤが組み合わせられた。

各コンポーネントにカーボンコンポジットを多用することで車重は1200kgを切ることに成功。トランクリッド、ボンネット、ルーフ、ドアシル、ドアミラー、フロント&リヤクォーター、WRCスタイルの大型リヤウイング、バンパーなどはカーボンコンポジットで再製作されている。

インプレッサ WRC97の開発者も製作に参加

インプレッサWRC97のデザインを担当したピーター・スティーブンス、さらにプロドライブのテクニカルディレクターを務めてきたデイビッド・ラップワースも、プロドライブ P25の開発に参加した。
インプレッサ WRC97のデザインを担当したピーター・スティーブンス、さらにプロドライブのテクニカルディレクターを務めてきたデイビッド・ラップワースも、プロドライブ P25の開発に参加した。

インテリアもアップグレードし、レザー、アルカンターラ、カーボントリムを組み合わせて、1990年代後半に活躍したインプレッサのインテリアを再現した。P25は標準で4人乗車が可能だが、リヤシートを取り外すことで部分的にセーフティロールケージを装着するオプションも用意されている。

センターコンソールには、データロガーを内蔵した高精細マルチページディスプレイを採用。サーキット走行時には、スロットルレスポンスやエンジンマッピング、アンチラグの調整も可能となっている。またWRCスタイルのフライオフ式油圧ハンドブレーキは自動的にセンターデフを解除。後輪への駆動をリリースすることで、スピンターンが可能になる。

今回インプレッサ WRC97をはじめ、その後もプロドライブが展開した限定モデルのスタイリングを担当したピーター・スティーブンスが、P25のリデザインを担当。スティーブンスは25年前にインプレッサ WRC97の開発を指揮したテクニカルディレクターのデイビッド・ラップワースと協力し、開発作業を進めている。

スバルのWRC活動の技術面を支え続けてきたラップワースは、P25の完成を受けて次のようにコメントした。

「スバルを象徴するブルーのラリーカーは、WRCの特別な時代の記憶を呼び起こすでしょう。このラリーカーを公道走行可能にしたのがインプレッサ 22Bでした。プロドライブ P25は最新のテクノロジーとマテリアルを用いて、このクルマを再構築しました。そのルーツに敬意を表し、公道でこのパフォーマンスに匹敵する車両は、他にないだろうと断言できます。今回、スバルを代表するインプレッサを、現代的にアレンジするという、私たちのビジョンが達成されたと信じています」

ターボ付きレストモッド、「シンガー ターボ スタディ」のエクステリア。

空冷911 ターボのレストモッド「シンガー ターボ スタディ」デビュー! シンガー初の過給機付きモデル

アメリカ・カリフォルニア州を拠点とし、空冷911に最新のメカニズムを組み合わせた独自のレストモッドを製作する「シンガー・グループ(Singer Group)」。今回、待望の過給機付きモデル「ターボ スタディ」を発表した。ターボ スタディは多くのカスタマーからの要望に応える形で開発され、すでに70名以上のオーナーがレストアをオーダーしている。

キーワードで検索する

著者プロフィール

ゲンロクWeb編集部 近影

ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…