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日本市場向けに重ねられた改良
英国製なのに日本の家庭にピッタリ。家電王国の日本で売れる掃除機を作れば、世界中のどこでも通用するという想いが生み出したのが、1.5kgのこの掃除機。同じダイソンの標準サイズモデルが2.75kgだから、体感的には半分ぐらい。本当に中身が入ってるの? と思うぐらいに取り回しがいいが、これが日本の家屋にはとても合っている。
掃除機は地域ニーズに密着した製品だ。現在はすっかり日本でも定着しているダイソン製掃除機だが、売れ始めたのは2004年のこと。大きく重く、うるさい上に収納しにくいことが原因だった。そこで開発されたのが、本体だけではなくヘッドをコンパクトにしたり、収納時に必要な床面積を最小限にする工夫を施したDC11。日本で売れる掃除機を作りたいという創業者の執念が生み出した製品が高評価を得ると、一気に“憧れの掃除機”に。割高な価格でも売れまくり、国内メーカーもサイクロン型掃除機へと次々に参入し始め、紙パックを使わない掃除機が多数派になっていく流れを作った。
新たな価値観を生む体験
あれから18年。DC11の精神は市場で主流になっているコードレス方式のスティック型掃除機に注ぎ込んだのがこの製品だ。と、ダイソンが言っているわけじゃないが、実に思い切った製品になっている。コードレスのスティック型掃除機は強力なライバルが複数いるジャンルだ。国産のサイクロン方式掃除機も、今や十分な吸引力はもちろん、日本の家屋での使いやすさをヘッドや付属アクセサリで表現しつつ、軽量なボディを実現している上、価格も安い。
それでもMicro 1.5kgに魅力を感じるのは、トータルの体験が素晴らしいと思うから。カシャっとワンレバーで、ゴミが入っているクリアビンの蓋を開けつつ、中身を掻き出すメカは、同社のV10というモデル以来、継続的に採用されている。小型化に際してゴミを溜める容器が小さくなったが、ゴミ捨ての手間がかからないから気にならない。さらに良いのが“フラッフィー”と呼ばれる、細かいゴミだけではなく、大きな粒までかき集めるヘッド構造が小さくなったこと。ダイソン製掃除機のアイコンにもなってるフラッフィーは大きく重いものだったが、能力の高さはそのままにコンパクトに。これまで潜り込ませることができなかった狭い隙間にも届く。小型軽量化に伴ってバッテリー容量は小さくなり、連続稼働は20分と短め。
日本にマッチする性能とサイズ
でも、これも掃除のスタイルを変えるものと捉え、ジャンルの異なる製品だと考えれば納得できる。狭い日本家屋やコンパクトかつ機能的にまとめられた生活空間には、小さく軽い掃除機がよく似合う。手軽さは“掃除を始める”時のハードルを下げ、気になる場所を思いついた時、すぐさまさっと掃除するようになるのだ。まとめ掃除ではなく、思いついた時掃除。
そんな使い方は、ロボット掃除機との組み合わせでさらに活きてくる。広い場所はロボットに任せ、気になるところだけコイツでしっかりと掃除すればいいのだ。もちろん、マイカーに持ち込んでの掃除にも最高ですよ。
REPORT/本田雅一(Masakazu HONDA)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)
MAGAZINE/GENROQ 2021年 4月号
PRICE
6万4900円(税込) ※実勢価格
評価
バッテリー容量は小さくなり、吸引力も落ちているが機能的なヘッドで集塵能力は高い。取り回しの良さと軽さを生かしたスポット掃除、ロボット掃除機との組み合わせが真骨頂。
コストパフォーマンス:3
軽さ:5
取り回しの良さ:5
集塵能力:4
バッテリー持続時間:2
【問い合わせ】
ダイソンお客様相談室
TEL 0120-295-731
https://www.dyson.co.jp