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シミュレーターを含む包括的なテスト機器を供給
2009年、英国・ヘセルを拠点として設立された「アンシブル・モーション」は、自動車用物理的シミュレーターに関する技術開発を行う先進企業。今回、買収を行った「ABダイナミクス」は、自動車用テストシステムのサプライヤーとして、様々なサーキットや自動車メーカーの研究部に向けて、テスト機器を製造している。
今回の買収を受けて、アンシブル・モーションは、ABダイナミクス・グループの一員として、自動車/モータースポーツ向けに高度なシミュレーション機器とサービスを提供。新たに設立された「ABシミュレーター」、2019年に傘下に入ったシミュレーション用ソフトウェア開発を行う「rFpro」と共に、様々なプロジェクトに取り組んでいくことになる。
ABシミュレーションのマネージングディレクターに就任したダン・クラークは、今回のアンシブル・モーション買収について次のようにコメントした。
「ABダイナミクス・グループに、アンシブル・モーションを迎えることができ、大変嬉しく思っています。彼らはドライビング・シミュレーターの分野において、抜群の評価を得ている成功企業です。アンシブル・モーションの製品群は、私たちの製品群を補完し、シミュレーター・ソリューションの包括的なファミリーを形成します。我々は今、この分野のマーケットリーダーとなるべき立場にあるのです」
ダイナミック・シミュレーターの分野で急成長中
現在、アンシブル・モーションは、ダイナミック(可動型)・シミュレーターの「デルタ(Delta)」シリーズ、スタティック(静止型)・シミュレーターの「シグマ(Sigma)」シリーズ、コンパクトでポータブルな「シータ(Theta)」シリーズという、3種類のシミュレーターを展開。代表的製品「デルタ」シリーズを中心に、大きな成長を遂げており、既存の受注と強力な販売網に支えられ、2023年は売上高が倍増すると予測されている。
これらのシミュレーター製品群は、ADAS(先進運転支援システム)、自動運転、モータースポーツ、シャシー、パワートレイン、ヒューマンファクター、ヒューマンマシンインターフェース(HMI)、NVH、ステアリングシステム、タイヤなど、様々な自動車開発分野において活用されている。
アンシブル・モーションにおいて、テクニカルディレクターを務めるキア・カンマーツは、今回の買収を受けて次のようにコメントした。
「今回の買収は、エキサイティングかつ極めて重要な瞬間となりました。我々は ABダイナミクス・ファミリーの一員となることを心から喜んでいます。そして、そのフィット感に驚いています。ふたつの会社は、自動車の製品開発用に優れたツールを提供するという、共通のビジョンを持っています。そして今、私たちは力を合わせ、より幅広く、より深いサービスを提供することで、世界中の自動車業界のお客様により良いサービスを提供できるようになるでしょう」