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Porsche 911 Turbo S
経験豊富な女性ドライバーが雪上をドライブ
今回、フィンランドのラップランドで開催された「ポルシェ・アイス・エクスペリエンス」に参加したのは、レーシングドライバーのカタリーナ・キヴァロヴァ(Katarina Kyvalova)。彼女は女性のみのレーシングチーム「ベントレー・ベルズ(Bentley Belles)」を立ち上げ、ベントレーでポルティマン24時間レースを戦った経歴を持つ。また、グッドウッド・リバイバルやモナコ・ヒストリック・グランプリでも、ヒストリックレーシングカーをドライブしている。
彼女はアイスレースにも参戦しており、これまでも様々なスポーツモデルで氷上や雪上を走ってきた。ただ、氷上でポルシェ 911 ターボSのステアリングを握るこの日は、特別な1日になったようだ。
「実は4WDで氷上を走るのは、今回が初めてです。ドリフトをすると、ポルシェ 911 ターボ Sがどんな挙動を示すのか、それに自分がどう対処できるのか、とても楽しみしていました。ドリフトは何度体験しても新鮮な驚きがあります。最初はいつも初めてのような感覚になりますからね(笑)」
レーシングドライバーの経験を活かす
今回、カタリーナのドライビングインストラクターを担当するのは、ポルシェ・アイス・エクスペリエンスのトップスーパーバイザー、ユッカ・ホンカヴオリ(Jukka Honkavuori)だ。
「今回、カタリーナが参加した個人トレーニングコースは、参加者のバックグラウンドに関係なく、すべての参加者にとって素晴らしい経験になるプログラムが用意されています。ただ、少しでもドライブ経験を持っていた方が、得るものが大きいのは確か。トレーニング中、より細かい部分にまで踏み込んで取り組むことができるからです」と、ホンカヴオリ。
カタリーナ自身は、ポルシェ・アイス・エクスペリエンスに参加することで、自身のドライビングのウィークポイントを克服したいと考えている。
「氷上ドライブを4~5年ほど経験していますが、いつも同じような小さなミスをしていることが気になっていました。ユッカとの個人トレーニングでは、そのようなミスの原因を特定し、トレーニングで取り除くことができるようになりたいですね」
インストラクターと生徒が同じ言語を話し、同じような経験を積んでいることは、ドライビング上達の鍵になる。
「もちろん雪上や氷上を走るときのプレッシャーは、サーキットで自分を限界まで追い込むときとは違います。それでも、正確さ、集中力、基本的なテクニックに関しては、サーキットから氷上トラックに持ち込める共通点がたくさんあります」と、ホンカヴオリは指摘した。
インストラクターによる華麗なテクニック
カタリーナにとって、4WDのポルシェ 911 ターボ Sでの最初のラップは、多くの気づきがあったという。
「全輪をコントロールされた状態でドリフトに持ち込むのは、考えていたよりもかなり難しかったです。でも、コツをつかんだら、後輪駆動よりずっとハードに走れるので、さらに楽しくなりました」と、カタリーナは笑顔を見せた。
集中的なトレーニングによって、眠っていた才能を開花させることができるのか、ホンカヴオリとの個人トレーニングを終えたカタリーナは次のように指摘する。
「どんなモータースポーツでも、集中的なトレーニングによって多くのことを達成し、成功することは可能なはずです。ただ、最終的にプロフェッショナルと、ただの優秀なドライバーを区別する最後の要素は才能だと考えいます。だからこそ、スカンジナビア人は、雪上や氷上であれほどの素晴らしいドライビングを披露できるでしょう」
実際、このコンディションでホンカヴオリが披露した華麗なドライビングテクニックは、彼女に大きな感動を残したようだ。
「心から感動しました。 壮大なドリフトでステアリングを握るユッカの冷静さは、信じられないほどです。冷静さ、ルーティンワーク、このコンディションで披露したスピード……! たった1周の中で彼は本当に正確なドライビングを披露してくれました。間違いなく、私史上最高の助手席経験になりました」