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バブルの煽りを受けた高級パーソナルカー
初代で国産車未体験ゾーンへ突入したソアラは、2代目でハイソカーのトップに君臨。バブル景気とあいまり14万台以上が売れた大ヒット作となった。それだけに3代目への期待は大きかったが、同時にトヨタがアメリカで展開する高級車ブランドのレクサス用車種としても開発された。1991年にフルモデルチェンジして発売された30系ソアラは、このように複雑な役割を担って登場した。
ところが日本ではバブル景気が崩壊して高級車やスポーツカー冬の時代に突入する。バブルの余韻があったから30ソアラも当初はそれなりに売れたが、次期型の開発は延期となり、なんと10年間もフルモデルチェンジすることなく作り続けられたのだ。
それだけにモデル途中で大きく変化もしている。当初は2・5リッター直6ツインターボとセルシオ用4リッターV8でスタートしたエンジンは、94年に3リッター直6を追加、96年のマイチェンで2.5をシングルターボ化、97年にV8廃止などの経緯を辿っている。
今回はフルノーマルを維持してきたが、純正部品の製造廃止で仕方なくカスタムしたお話だ。
外観
アメリカの高級車ブランド『レクサス』用として生まれ変わったソアラ。仕向地に合わせて全長5メートル弱、全幅1.8メートルを超える大柄なボディを採用。2種類あるエンジンのうち4リッターV8はアメリカ人好みで、国内では2.5リッターの1JZがメイン。ところが94年に3リッター需要へ応えて直6の2JZを追加。今回の97年式車は後期型にあたりフロントグリルが追加されるなどスタイルも大きく変わった。
エンジンルーム
発売当初はツインターボだった1JZだが、96年のマイナーチェンジでシングルターボとなった。280psと38.5kgmの出力を発生。
メーカー欠品が続いて改造することになった
30ソアラのオーナーは2013年に知り合いの営業マンから格安のソアラがあると聞いて手に入れた。その前はスイフトスポーツだったが廃車にしてしまい次のクルマを探していた。そこで車検が残る1年だけ格安のソアラに乗って買い換えるつもりだったが、乗り始めると実にいい。大きな高級車の良さに目覚めてしまい、フルノーマルだったこともあって大切に乗り続けることに決めたのだ。
車検を継続して距離が伸びるに従い不具合も出る。ショックアブソーバーからオイルが漏れてきた3年前、交換しようと問い合わせると、なんと製造廃止でメーカー欠品。しばらく考えたが、どうにもならず一大決心する。
どうせ部品がないならイジッてしまおうと決め、テインの車高調とセットでBBSホイールを発注。ホイールを変えたらブレーキが丸見えになり、純正だと貧弱だからとキャリパーとディスクローターを特注。これで吹っ切れたのか、インタークーラーパイプがダメになると、やはり製造廃止ということでワンオフするより安いからと社外品に本体ごと入れ替えてしまったのだ。
フルノーマルで維持するつもりが、普通に改造車となってしまったことには深いワケがあった。写真を見て「全然ノーマルじゃないじゃん」と思われることだろう。この年代のクルマをフルノーマルで維持するには大変なのだ。
室内
運転席の背もたれやスライドなどはフル電動でメモリー付き。モケット表皮なので傷みは少ない なんとか大人が乗れるサイズのリヤシート。でも乗車定員5人は無理。
このトヨタ・ソアラ2.5GT-T Lパッケージの記事は1/21発売の令和に残るクルマ改造雑誌『G-ワークス』(毎月21日発売)2023年3月号に掲載されています。