装備もカラーもアウトドア仕立ての第三のタント!「ダイハツ・タント ファンクロス」【最新軽自動車 車種別解説 DAIHATU TANTO FUNCROSS】

「ダイハツ タント」シリーズの三番目の新しい柱となる「タント ファンクロス」。エクステリアは全体がSUVテイストに味付けされ、インテリアはカモフラージュ柄のシートや明るいアクセントカラーの配色など、アクティブな気分を盛り上げる。走先進安全装備では、スマートアシストが装備され、日常生活はもちろん、アウトドアでも強い味方だ。
REPORT:佐野弘宗(本文)/山本晋也(写真解説) PHOTO:平野 陽 MODEL:菅原樹里亜

DNGAによる高い基本性能 外遊びをを想定した装備が充実

「タントファンクロス」は、2022年秋のマイナーチェンジを機に、タントに追加されたSUV的コスメを施した新しいバリエーションだ。これまでの「タント」と「タントカスタム」に続く3本目の柱である。

エクステリア

他のタントシリーズでは未装備のルーフレールをもつため全高が30㎜ほど高いのが特徴。SUVテイストだが、タイヤは15インチ(ターボモデル)のタントカスタム系と変わらないエコタイヤを装着する。最小回転半径は4.7m。

19年にデビューした現行タントはDNGAと呼ばれる設計思想でつくられた初のダイハツ車だった。各部のアップデートが速やかに実行されるようになったのもDNGAの大きな特徴で、ファンクロスを含む最新のタントの主要グレードにはデビュー時にはなかった電動パーキングブレーキが備わるが、これは今回のマイナーチェンジではなく、前年の21年秋に採用されたものだ。

また、今回はリヤシートがムーヴキャンバスのそれと同様の新設計のものに変更された。これによって可倒時のチルトダウン機構は省かれてしまったが、代わりにラゲッジボードを組み合わせることで、これはこれで新しい使い方ができるようになっている。

乗降性

ファンクロスを見て、我々門外漢は「スペーシアギアの対抗商品?」と思うのは否定しない。実際、そういう意図は間違いなくあるだろう。しかし、ダイハツによると、内外装をSUV仕立てにしたスーパーハイトワゴンの元祖は、スペーシアではなくウェイクらしい。

そんなファンクロスのエクステリアでは、フロントグリルバンパー、ルーフレール、サイドガーニッシュを専用化することでSUVテイストが振りかけられて、インテリアではオレンジのアクセントやカムフラージュ柄のシート表皮、そして荷室関連の特別装備にアウトドア感が醸し出されている。

特に荷室では、タントシリーズに共通する樹脂製デッキボードに加えて、後席シートバックにも防水生地が使われる。また、後席用USBソケット(後席可倒時は荷室で使える)やラゲッジルームランプも追加されて、キャンプや釣りのような使い方を想定しているのがファンクロスならではの特徴だ。

インストルメントパネル

オレンジのアクセントによりファンクロスらしさを表現している。面積の割にシンプルなメーターはタントシリーズ共通の仕様だ。本革ステアリングはターボの専用装備。

このように荷室などに幾ばくかの専用機能が追加されるファンクロスだが、その他は良くも悪くも、コスメチューンの域にとどまるのはスペーシアギアと変わりない。150㎜(4WDは165㎜)という最低地上高も通常のタントのそれと寸分たがわず、ターボで15インチ、自然吸気で14インチのタイヤも、サイズ・銘柄ともにファンクロスだからと特別なものではない。

居住性

というわけで、このファンクロスは走ってはタントそのもの。タント以外のなにものでもない。他社スーパーハイトワゴンと比較すると日常域の乗り心地は快適だが、その代わり高速ではフワフワとした横揺れが少し目立つ気がしないでもない。それでも、高い直進性やリヤがしっかり根付いた安定感などのダイナミクス性能は印象的に高い。このタントも含めてDNGAを名乗るようになった新世代ダイハツ車は、どれも走りのレベルが明らかに高まっている。

うれしい装備

運転席580㎜ロングスライ機構は車両停止時のみ利用可。リヤシートへのアクセスが容易で、スライドドアからも乗降できる。
月間登録台数      10603台 タントカスタム/タントと含む(22年7月〜12月平均値)
現行型発表       22年10月
WLTCモード燃費     21.9km/l ※ファンクロスのFF車

ラゲッジルーム

こうしてダイハツも参入したSUV仕立てのスーパーハイトワゴンといえば、三菱eKクロススペースがあり、その三菱からは間もなくデリカミニが登場予定。いつの間にか、一大勢力となってしまった。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.148「2023 軽自動車のすべて」の再構成です。

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