オンライン対応のカーナビを選べば移動時間もエンタメになる!大画面で実はコスパもイイんです!【カロッツェリア 楽ナビ/サイバーナビ】

Pioneer carrozzeria 楽ナビ
カロッツェリア 楽ナビ「AVIC-RQ920-DC」
いまやカーナビはなくてはならないアイテム。新車購入時にはカーナビの予算を含めておくことは必須といえる。そんなカーナビの選択肢としてメーカーオプションやディーラーオプションしか目に入っていないのであればもったいない。カー用品店などで購入・装着できる市販カーナビには、それぞれ個性的な魅力がある。その好例として「車内のオンライン化」を推し進めるパイオニア・カロッツェリアの「楽ナビ」と「サイバーナビ」に注目したい。

REPORT:山本晋也(YAMAMOTO Shinya) PHOTO:井上誠(INOUE Makoto)

手ごろな価格帯で大きくてきれいな画面

アフターパーツのカーナビを選ぶ大きなメリットは、コスパ良く大画面モデルが選べること。

いま新車が欲しいと思っている方の多くは、クロスオーバーSUVをクルマ選びの条件に挙げていることだろう。3列シートの大型SUVがいいのか、それとも林道で小回りの利くコンパクトSUVがしようか、はたまた街乗りから高速走行までバランスのいいミドル級SUVも捨てがたい…と悩んでいるのではないだろうか。

愛車選びの悩みはそれだけでは終わらない。クルマ選びに迷った後は、どんな純正アクセサリーを装着するのかを考えるフェイズになっていく。多くのユーザーは、そうした純正オプション選びで最初に決めるのは「カーナビ」かもしれない。道案内をするだけでなく、ドライブに欠かせないオーディオを楽しむという点でもカーナビは必須アイテムとなっている。カーナビは、カーライフのQoL(生活の質)を上げるのに欠かせない。

しかしながら、カーナビをメーカーオプションや純正アクセサリーだけを見て選ぶだけでは、真にカーライフのQoLを上げることにはならない…かもしれない。

かつて、カーナビはアフターパーツとして装着するものだった。そして、現在では純正オプションのカーナビを選択する人が多いとは思うが、いまでもカー用品店などでは専業メーカーが開発したカーナビが多く並んでいる。これらは専用品として開発されているので純正には無い魅力を備えたモデルも多い。

カーライフのQoLを上げたいならば、アフターパーツとして売られている最新のカーナビを選択肢に入れることが実はとても重要なのだ。

今回の撮影に用意した2台のSUV。ジムニーシエラには「楽ナビ」、RAV4には「サイバーナビ」がインストールされている。

アフターパーツのカーナビ界において、歴史あるブランドとして知られているのが、パイオニア・カロッツェリアの「楽ナビ」だ。初代モデルが1998年に誕生してから四半世紀、「高性能×使いやすさ」を基本コンセプトに進化し続けているカーナビの人気シリーズだ。

アフターパーツの高性能カーナビというとマニア向け商品というイメージを持つかもしれないが、「楽ナビ」については名前の通りに簡単に楽々と操作できるのが伝統となっている。

今回、楽ナビの最新モデルを体感すべく、9インチHD画面タイプの「AVIC-RQ920-DC」というモデルを装着したジムニーシエラを連れ出してみることにした。

ワイルドなキャラクターで人気のジムニーシエラ。だからこそナビ機能は便利で見やすい最新モデルを選びたい。

運転席に座って最初に感じたのは、想像以上に9インチ画面が大きいこと。AV機器の専業メーカーであるパイオニアの商品だけあって、画面もクリアであらゆるシーンで見やすいのは、ディスプレイの高解像度に合わせて地図の表現などもチューニングしている成果だ。

それでいて、けっして楽ナビの価格は高いわけではない。

実勢価格を見ると、純正アクセサリーを選ぶのと予算感では同等。そうであれば画面が大きくてクリアな最新の楽ナビを選ぶというのは、当然の選択になるといえるだろう。

撮影車のジムニーシエラに装着されていたのは、カロッツェリア 楽ナビ「AVIC-RQ920-DC」 HDフル対応のクリアな9インチ画面は専用メーカーならではだ。
純正アクセサリーよりも大画面だが、専用の装着キット(KLS-S901D)により自然にインストールできている。

最新「楽ナビ」はオンライン対応!シンプル操作で目的地検索がサクサク

ファースト画面の「Doメニュー」から“行き先を探す”を選ぶと、オンライン対応の「お出かけ検索」で目的地を検索できる。シンプルで直感的に操作できるインターフェースは「楽ナビ」の真骨頂。

2023年に大きく進化した楽ナビの特徴は、「オンライン対応」と「直感的インターフェース」だ。

楽ナビの“920”とナンバリングされている上級機種ではLTE通信(4G)を利用したオンライン機能が備わっている。これにより目的地検索の幅が広がっていることに注目したい。(920以外でも別売のネットワークスティックを購入すれば同じ機能が利用可能)

従来型のカーナビでは、目的地の住所や名称、電話番号などがわかっていることが目的地設定の必要条件となっていていた。「○○検索というボタン」を選んで、施設名や住所といった決められた検索カテゴリーの中から目的地を検索していくスタイルだった。この方法には煩わしさを感じるユーザーも多かったはずだ。

しかし、楽ナビの「お出かけ検索」は直感的なキーワード検索を可能としている。スマホの地図アプリで目的地を探すように、思いついた検索ワード(施設名、住所、電話番号やワードの組み合わせ検索も可能)を入力することで、簡単に目的地を検索することが可能だ。しかも、オンラインに対応しているため、カーナビに収録されていない最新のスポット情報まで調べることができる。
つまり、“ごちゃごちゃボタンを押さずに、すぐに目的地検索ができる” ということだ。

シンプルな操作で目的地検索が完結するため、検索開始からほんの数分でドライブをスタートすることができる。ドライバーにとってこの時短によるストレスの少なさは、一度使い始めるとなくてはならない存在となるだろう。

「お出かけ検索」はオンライン検索に対応しているため、最新スポットも表示してくれる。画面は「東京 観光」でキーワード検索した結果。

上の画面は「東京 観光」というキーワードで検索した結果だが、トップに出てきたのは東京タワーとなっていたのは、まさしく教科書通りといえるだろう。

初めての土地での道案内に役立つのがカーナビ本来の役割であるが、このようにキーワード検索が可能となり、さらに最新のスポットも検索可能なので、自分のニーズに合った目的地を見つけることができる機能も身につけているのだ。

検索ワードを打ち込む時はフリック入力も可能。スマートフォンと同等の感覚で操作できる。入力中に表示される予測変換も便利だ。

通信し放題の車内Wi-Fiでエンタメが広がる!

「docomo in Car Connect」を契約することで楽ナビを使った車内Wi-Fiが利用可能。ナビ画面に表示されたQRコードを読み取るだけで簡単に接続でき、同時接続は5台まで可能。

カーナビが通信機能を持ったことで可能になるのは、前述した「お出かけ検索」だけではない。

ナビの命綱ともいえる地図データについても自動更新することが可能となっている。従来のカーナビだと地図更新の煩雑さから古い地図のまま使っているというユーザーも少なくないだろう。その点、通信を使って自動で地図を更新してくれる楽ナビなら手軽に新しい地図をキープできるので、これはかなり嬉しいポイント。

さらに駐車場の空き情報や天気のライブ情報なども知ることができる。ルート案内だけなく、ドライブ全般をサポートしてくれるのが、オンライン対応した楽ナビなのだ。

その最たる機能が通信し放題の「車内Wi-Fiスポット」機能だ。車内でWi-Fiを利用することで、いわゆるギガ(データ使用量)の消費を気にせずスマートフォンやタブレットで動画や音楽のストリーミングサービスなどのエンタテインメントを楽しむことができる。リヤシートを含めて車内全体の満足度を上げてくれること請け合いだ。

車内Wi-Fiを利用するためには「docomo in Car Connect」を別途契約する必要はあるのだが、その利用料は下に示すように非常にリーズナブルなのが魅力。契約はドコモユーザー以外も可能で、手続きはWebで完結するので導入までの面倒は少ない。

・1日プラン:550円
・1か月プラン:1650円
・1年プラン:1万3200円

楽ナビの場合、走行中のWi-Fiスポットとしての利用は無制限で、停車中であっても最大60分まではWi-Fiスポットとして使用できるというから、ドライブ中はインターネット通信を存分に楽しめる。

後席に座る子ども用のスマートフォンやタブレットがないという場合でも、楽ナビにはHDMI入出力機能があるためスマートフォンで動画サービスにつないで、後席モニターに映し出すといった利用法もできるのはうれしい。

車内エンタテイメントについても隙のない完成度となっている。

スマートフォンとつないでYouTubeなどの動画サービスを大画面で視聴することも可能。

親切でわかりやすい道案内

街並みをリアルに表現した立体地図であれば、初めて訪れる場所でも自分がどこにいるのか直感的に認識できる。

それではジムニーシエラで街に繰り出してみよう。乗り出して最初に感じたのは地図表示が見やすいこと。とくに建物の高さまでリアルに表現したモードを選べば、初めての道を走るときでも自分がどこにいるのか認識しやすいのはうれしい。

右左折の専用レーンが存在している、一見では間違えそうな交差点でも、交差点のリアルなイラストが出てくる。立体的なイラストを参考にすれば、走るべき車線を間違えてしまうようなこともないだろう。

右左折レーンが複雑な交差点ではリアルで詳細な情報表示が大いに助けになる。
位置精度が優れているため非常に正確に曲がるべき交差点を指示してくれる。

さらにルート設定をして走っていると、関心することがあった。カロッツェリアの歴史と経験が凝縮された、親切で丁寧な道案内の精度が非常に優れているのだ。

カーナビの道案内というと、曲がるべき交差点の手前で指示を出すというものだが、信号が連続しているような道でルート案内のタイミングがズレるとひとつ手前の交差点で曲がってしまうというミスも生まれがちだ。

しかし楽ナビのルート案内では、3つ手前の信号から「3つ先、2つ先、次の信号」といった具合に、カウントダウン的に案内してくれるので間違いを起こしづらい。さらに実際に曲がる交差点の30m手前になると「この信号」を曲がるように指示が出るので、むしろ間違いようがないといえるほど親切で正確だ。

曲がる交差点の3つ前の信号からカウントダウン的に音声と表示で指示してくれるので間違えてしまうこともない。

こうした道案内を可能としているのは、自車位置を高精度で把握できるからだ。楽ナビという身近なネーミングから想像するよりもずっと上級機種並みの能力を与えられていることが実感できる。

パイオニアが長年収集しているプローブ情報とリアルタイムの情報を掛け合わせることにより、独自の渋滞情報(点線部分)を表示することができる。

ドライブレコーダーと連動してバックカメラ機能を実現

楽ナビの特徴としては周辺機器と合わせてアップグレードすることで、愛車の安全性アップにも貢献してくれる点が挙げられる。

カーナビと並んで、いまや必須となっているドライブレコーダーだが、楽ナビに対応した前後2カメラドライブレコーダー「VREC-DS810DC」を選ぶことで、撮影した映像を楽ナビの大画面で高精細に確認できる。

バックカメラを取り付けなくても、リバースに入れるとドライブレコーダーのリヤカメラ映像を映し出す機能を持つ。

さらにうれしいのは、ドライブレコーダーのリヤカメラをバックカメラとして利用できることだ。利用法は簡単で、シフトをリバースにすると自動的にドライブレコーダー用リヤカメラの映像が楽ナビの大きな画面に映し出される。

通常のバックカメラよりも高精細で夜間にも強いドライブレコーダー用カメラの映像を、見ることができるので駐車する際などの安全性向上につながるのは確実だ。

ドライブレコーダーのリヤ用カメラをバックカメラとして利用できるのはうれしい。

また、ご存知のようにカロッツェリアといえば、カーオーディオのトップブランドである。楽ナビであっても、カロッツェリアの名を冠しているだけに音質についてのこだわりは強い。

たとえば、筐体の背面には左右対称のT字スリットを入れることで振動を制御するなどしている。装着してしまうと見えないので、カー用品店などで確認してほしい部分だが、設計レベルから高音質を目指していることがわかるエピソードだ。

そのほかリスニングポジションを合わせる「タイムアライメント」機能や「13バンドグラフィックイコライザー」なども備えている。

試乗したジムニーシエラは、カロッツェリアが車種専用設計したドアマウントツイーターやメインスピーカーに交換されていたが、こうした音の出口の性能を引き出すのもすぐれたメインユニット(カーナビ本体)があってこそといえるだろう。

カロッツェリアの高音質能力に合わせて設計されたトゥイーター取付キットなどを活用すれば、さらに高音質が味わえる。写真の取付キットは「UD-K301」

なお、車種とのマッチングという意味でいえば、ジムニーシエラに標準装備されているステアリングスイッチで楽ナビの音量やチャンネルなどをコントロールすることができるのもうれしいポイント。使い勝手を犠牲にすることなく、利便性や精度などすべての性能をグレードアップしているというわけだ。

ステアリングのスイッチで、オーディオの音量やチャンネルなどをコントロールできる。使い勝手の良さは純正ナビと遜色ない。

さらに高性能を求めるなら「サイバーナビ」を狙うのもアリ!

上位機種のサイバーナビは直感的な使いやすさにプラスして、エンタメ性能やWi-Fi機能が更に充実している。

ルート案内や目的地検索などの機能、さらに高音質といったオーディオ性能においてアドバンテージを持つのが楽ナビといえるが、もっと予算を用意するので、さらなる機能アップを求めたいというユーザーであれば「サイバーナビ」という選択肢もあり得る。

上級モデルではあるが、基本的な使いやすさにおいては楽ナビにも通じるユーザーフレンドリーなもの。そこに加えて、オンライン上で計算するより実用的なルート提案や、目的地検索の音声入力へ対応している点、施設のリコメンド機能が充実しているなど、上級機種であることは少し使っただけでも実感できる。音質面は楽ナビと比較しても隔世の感があり、音質を求めるユーザーは間違いなくサイバーナビを選ぶべきだろう。

さらにサイバーナビの差別化ポイントとしては、車内Wi-Fiスポットとしての利用時間に制限がないという点が見逃せない。

楽ナビの場合は、走行中こそ無制限で利用できるが、停車中は最大60分までという制限がある。それに引き換えサイバーナビであればそういった時間制限がないので、楽ナビ以上に車内Wi-Fiを活用したいというユーザーには魅力的な選択肢となる。

いま自動車業界は100年に一度の大変革期といわれている。変革のキーワードとして「CASE」というアルファベットが使われるが、最初の「C」が示すのはコネクティッドの意味であり、通信機能を持つカーナビというのはコネクティッド機能といえる。

オンライン対応しているカロッツェリアの楽ナビ&サイバーナビは、まさしくいま選ぶべきカーナビの有力候補であるといえる。

サイバーナビはRAV4に装着されていた。純正と見まがうほどきれいにインストールされている。
ユーザーインターフェースも上級向けに作り込まれている。
車内Wi-Fiスポット機能に時間制限がないのはサイバーナビの差別化ポイント。
音声入力に対応しているのもサイバーナビの特徴。オンライン対応により精度を上げている。
撮影車のRAV4には車種専用設計されたトゥイーター取付キット「UD-K302」が装着されていた。高音質へのこだわりは半端ではない。
タイヤホイールをカスタマイズするのと同様に、カーナビもアフターパーツを選ぶことでカーライフを充実させることが期待できる。

キーワードで検索する

著者プロフィール

山本 晋也 近影

山本 晋也

1969年生まれ。編集者を経て、過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰することをモットーに自動車コ…