こんなコンセプトカーがあったとは! パブリカスポーツ

トヨタ・パプリカスポーツ(1962) 名車「スポーツ800」をうみだしたスタディモデル【週刊モーターファン ・アーカイブ】

すでにこのコンセプトモデルで、スポーツ800に至るフォルムが実現されている。ラジエターグリルには可動式シャッターを採用。
トヨタ自動車が1962年の全日本自動車ショー(現在の東京モーターショー)に出品したコンセプトカー「パブリカスポーツ」。

週刊モーターファン・アーカイブでは、これまでのモーターファンの懐かしい秘蔵データから毎週1台ずつ紹介していく。

解説●小野里 誠(60年代国産車のすべて より 2012年刊)
キャノピーライト状のルーフをスライドさせる構造のため、移動部分のデザインは制約を受けることになる。サイドのキャラクターラインがスライド範囲と符号する。
下部分にはスライドレースが付き、上部にはロック機構がつく。サイドウインドウの開閉機構はない。

1965年に登場した名車トヨタ・スポーツ800のベースともなったモデルであり、当時の関係者が集まり50年ぶりに復元されたことでも話題となっている。

最大の特徴は、スポーツ800には採用されなかった当時としても革新的なスライド式のオープンルーフ。

ルーフというよりも、アッパーボディが後方にスライドして乗降するという奇抜ともいえるアイデア。しかしながらロアボディはこれにより、完全にドアを持たない2座の構成となり、剛性面で有利な構造となったといえる。さらにウレタン発泡材が注入される二重鋼板構造などの基本設計により、さらなる高剛性を確保しながら軽量化を実現するなど、コンセプトのアピールポイントともなっていた。

ベースは水平対向2気筒エンジンのパブリカセダンのFR構成ではあるが、スポーツ800につながるツインキャブなどのチューニングがなされ、38ps/5500rpmのパワーで最高速度は150km/hに達する。

空冷エンジンであるために。タコメーター&スピードメーターの間には油圧計、そして左には油温計を配置。スポーツ800ではセンターに油圧、油温を統合したメーターが採用された。
乗り込むときには、写真のような視線となるはず。バケットシートと4点式シートベルトが待ち受け、まるで戦闘機に乗る感じとなる。

キャノピー構造ゆえの工夫も散見

キャノピーを開いてしまうと、リヤセクション上面にトランクゲートを設置しても開けられないことから、ナンバープレートの配置されるリヤエンド部分をトランクゲートとしている。ここを開けるとスペアタイヤが取り出せる。

キーワードで検索する

著者プロフィール

MotorFan編集部 近影

MotorFan編集部