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最強の走りを目指したR35型GT-Rがニュルで記録を更新
2009年(平成21)年4月16日、前年にデビューした「日産GT-R(R35型)」2009年モデルに改良を加え、ドイツのニュルブルクリンク(通称:ニュル)北コースでタイムアタックを敢行。量産車としては最高水準であるこれまでのGT-Rの記録を上回る7分27秒56を記録したのだ。
GT-Rの元祖は、3代目スカイライン(ハコスカ)2000GT-R
GT-Rを初めて名乗ったのは、1969年に3代目スカイライン(通称:ハコスカ)に設定された「スカイライン2000GT-R(10型)」である。
ベースのL20型/2.0L直6 SOHCエンジンの代りに、S20型/2.0L直6 DOHCエンジンを搭載したレースで勝つために設定された最強グレード。その年のJAFグランプリレースで優勝を飾り、以降1972年まで国内レースで破竹の49連勝という金字塔を打ち立て、ここにGT-R伝説が始まった。
このS20型エンジンは4代目“ケンメリ”にも搭載され、1973年にスカイラインGT-R(110型)を名乗ったが、排ガス規制に対応できず、わずか3ヵ月という短命モデルに終わった。その後、一時GT-Rの名は封印されたが、1989年にエンジンを2.6Lに拡大したツインターボ(RB26DETT型)を搭載したスカイラインGT-R(R32型)が復活した。
その後、9代目R33型(1995年~)、10代目R34型(1999年~)にスカイラインGT-Rがラインナップされたが、2002年に強化された排ガス規制に上手く対応できず、スカイラインGT-Rは一旦、生産を終えることになった。
スカイラインの冠が取れたR35型GT-R誕生
その後5年のブランクを経て2007年に登場したのが、R35型NISSAN GT-Rである。これを機にスカイラインの冠が取れて日産GT-Rとなり、名車スカイラインGT-Rは終焉を迎えた。
R35型GT-Rの最大の特徴は、エンジンがそれまでの2.6L直6ツインターボ(RB26DETT型)から、3.8L V6ツインターボ(VR38DETT型)に変更されたこと。性能は、最高出力280ps/最大トルク40kgmから480ps/60kgmへと大幅に向上し、トラスミッションはDCT(デュアルクラッチトランスミッション)に変更され、最高速度は300km/hを超えた。
駆動方式は、先代同様の電子制御トルクスプリット(アテーサ4WD)システム、サスペンションは4輪マルチリンク、ブレーキはイタリア・ブレンボ製のベンチレーテッドディスクと基本仕様は先代と同じだが、エンジンのパワーアップに対応した改良が加えられた。
スタイリングは、より流線美が強調され、円形テールランプはスカイラインGT-Rから継承。
車両価格は、標準グレード777万円、プレミアムエディション834.75万円。ちなみに当時の大卒の初任給は、19.8万円(現在は約23万円)程度なので、単純計算で現在の価値では標準グレードが約900万円に相当する。
ニュルで走りを磨いたスカイラインGT-RとNISSAN GT-R
ドイツ北西部にあるニュルブルクリンクサーキットは、1周約5.1kmのグランプリコースと、1周20.8kmの北コースがある。自動車メーカーの高性能モデルは、主に北コースでタイムアタックを行ない、走りに磨きをかけて完成度を上げるのが通例だ。北コースは、一般的なサーキットとは異なり、標高差が300mもあり、170を超えるコーナーがあるワインディングロードで、世界有数の過酷なサーキットと言われている。
R32型、R33型、R34型スカイラインGT-Rも、最終テストの場としてニュルを選んでいた。当然、R35型GT-Rもタイムアタックを敢行し、2009年のこの日にそれまでの記録を更新する7分27秒56を記録したのだ。また、2013年9月にはNISMOチューニングの超ハイスペックモデル「GT-R NISMO」が、量産車最速記録の7分8秒679を叩き出している。
名車スカイラインGT-RのDNAを継承した日産GT-Rは、国内のみならず海外でも熱狂的なファンがいる。世界のスーパーカーと比べても遜色のない性能ながら、圧倒的に廉価(2024年モデルは、1375万円~)、R35型最終バージョンとなる2025モデルは14,443,000円~であること、また高度なドライビングテクニックを必要としない扱いやすいスーパースポーツであることが人気の秘訣である。
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