無視できないクルマを“買うだけ”でかかる税金、なるべく減らすためのポイントは? 人気のSUVを例に金額をシミュレート

自動車メーカーのホームページに記載される金額は、あくまで車両本体の価格だ。実際にクルマを購入する際は、車両本体価格に加えて各種税金や諸経費がかかる。とくにクルマにかかる税金の仕組みは複雑だ。新車購入時にどれくらいの税金を支払うことになるのか、実際のクルマをサンプルに計算してみよう。

新車購入時にかかる税金は4種類

各税金優遇の対象車種や税率は数年おきに改定される。記事内で紹介する税率は2024年6月現在のものだ。

新車購入時には以下の4種類の税金がかかる。

  • 消費税
  • 自動車税
  • 自動車重量税
  • 環境性能割

まずは、それぞれの税金の内容を解説していこう。

【価格に10%上乗せされる消費税】車両本体価格だけでなく納車手数料にも

もっとも馴染み深く、負担が大きい税金は「消費税」だ。

消費税は商品の販売やサービスの提供に対してかかる税金であり、車両本体やオプション装備はもちろん、納車時の登録車検代行手数料や納車準備費用などにもしっかりと消費税の10%が上乗せされる。

クルマは高額な買い物であるだけに、購入価格に対して累進的に増えていく消費税の負担がもっとも大きい。

【排気量に応じて増える自動車税】グリーン化特例の75%減税もあり

EVやPHEVのグリーン化特例の優遇は購入年ではなく、購入翌年の自動車税が対象となる点に注意が必要だ。

「自動車税種別割(自動車税)」はエンジン排気量に応じて課せられる税金で、普通車は排気量500cc刻みで税金額が増減する。電気自動車は排気量1000cc以下として計算され、軽自動車の乗用車は一律1万800円だ。

年に1回支払うことになる自動車税は、本来4月1日時点でクルマを所有している人物に支払い義務が生じる。そのため軽自動車は、4月2日以降に購入すれば当年度の自動車税を支払う必要はない。それに対し、普通車の場合は購入月の翌月から年度末までのぶんを月割りで支払う必要がある。

「グリーン化特例」という車ごとの燃費達成基準値に応じて減税される優遇制度も存在し、2026年3月31日までに新規登録した電気自動車(EV)・プラグインハイブリッド車(PHEV)・水素燃料電池車(FCEV)などは自動車税が75%減税される。ただし減税されるのは購入翌年の自動車税だ。

【クルマの重さで計算する重量税】エコカー減税対象車なら免税措置も

自動車重量税の優遇は「エコカー減税」だ。自動車税の優遇制度である「グリーン化特例」と混同しやすい。

「自動車重量税(重量税)」は、クルマの重さに応じて課せられる税金となる。

普通車は車両重量500kg刻みで税額が増減するが、参照されるのは登録時の車両重量であるため、メーカー出荷時に追加されたオプション装備によっては同一グレードでも税額に差が生じる場合がある点には注意しよう。軽自動車の重量税は、実際の車体重量にかかわらず1年あたり3300円の一律だ。

自動車税とは異なり、重量税は車検時に次回の車検期限までをまとめて納める仕組みになっていて、一般的な乗用車であれば新車購入時に3年分の重量税をまとめて支払うことになる。

重量税にも燃費達成基準値に応じて免税または減税される優遇措置が設けられている。こちらの名称は「エコカー減税」といい、2025年4月30日までに新車登録したクルマは燃費達成基準値に応じて免税または25〜50%の割合で減税される。

【取得額の最大3%を納める環境性能割】EVやPHEVは非課税

アイドリングの排気ガス
EVやPHEVなど、走行中の環境負荷が低い車ほど購入額は高くなりがちだが、そのぶん税金の優遇割合も大きい。

「環境性能割」は、クルマの燃費達成基準値に応じて取得価格の約90%に対して0〜3%の範囲で増減する税金だ。

軽自動車の場合は取得価格の0〜2%となり、EV・PHEV・FCEVなど走行時の環境負荷が小さいクルマは0%、つまり非課税となる。

ただし、現在の優遇措置内容が適用されるのは2025年3月31日までとなっている。環境性能割のほか、「エコカー減税」や「グリーン化特例」も同様に減税対象車や割合は数年ごとに変更されることは覚えておく必要がある。

新車購入時にかかる税金をシミュレート【車種・グレード別】

クルマ購入時にかかる税金は、同じ価格帯の同一車種であってもエンジン排気量や車重、環境性能などによって変動する。クルマによって税金額にどれくらいの差があるのか計算してみよう。

トヨタ ヤリスクロスの場合

2020年8月に登場したトヨタ ヤリスクロスは、税制面で見ても非常にコストパフォーマンスが高いクルマだ。
グレード等Z 2WD
(1.5Lガソリン )
Z 4WD
(1.5Lハイブリッド)
車両本体価格(税抜き)221万3636円255万3636円
消費税22万1364円25万5364円
自動車税(1年)3万500円3万500円
重量税(3年)3万6900円0円
環境性能割5万9700円(3%)0円
税金合計34万8464円28万5864円

ヤリスクロスは純ガソリン車、ハイブリッド車ともにエンジン排気量は1.5Lで価格にも大きな差はない。しかし自動車税のグリーン化特例と、重量税のエコカー減税によって価格が高いハイブリッド車の方が6万円ほど支払う税金が少なくなる。

トヨタ カローラクロスの場合

2021年9月に発売されたトヨタ カローラクロスも、ヤリスクロスほどではないが高いコスパを誇る。
グレード等Z 2WD
(2.0Lガソリン)
Z 4WD
(1.8Lハイブリッド)
車両本体価格(税抜き)263万6364円314万4545円
消費税26万3636円31万4455円
自動車税(1年)3万6000円3万6000円
重量税(3年)3万6900円0円
環境性能割7万1100円(3%)0円
税金合計40万7718円35万455円

カローラクロスは、ヤリスクロスよりも1ランク大きなエンジン搭載し、価格も高いだけあって税金額は大きく増えている。しかし、そのぶん環境性能が高いハイブリッド車の優遇によって受ける恩恵も大きい。

トヨタ RAV4の場合

トヨタ RAV4
2019年にデビューした5代目RAV4。PHEVの購入を検討しているなら、CEV補助金対の象であるうちに購入しておきたい。
グレード等G 4WD
(2.5Lハイブリッド)
PHEV Z 4WD
(2.5Lプラグインハイブリッド)
車両本体価格(税抜き)391万2727円512万0909円
消費税39万1273円51万2091円
自動車税(1年)4万3500円4万3500円
重量税(3年)0円0円
環境性能割0円0円
税金合計43万4773円55万5591円

カローラクロスよりもさらに1ランク大きなエンジンを搭載したRAV4は、366万6000円の「RAV4 G(ガソリン)」の購入時に支払う税金額が51万5873円にもなるが、ハイブリッド車を選べば10万円近く支払う税金が少なくなる。

RAV4 PHEVは車両価格が高いぶん消費税が大きく跳ね上がるものの、グリーン化特例により翌年度の自動車税が75%減税の1万1000円に抑えられるうえ「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」を申請すれば、55万円が後日キャッシュバックされる。

新車購入時は車両本体価格の+10〜15万円を見積もろう

購入時だけでなく、クルマの維持していくうえでも多額の税金がかかる。クルマの所有と税金は切っても切れない関係だ。

車体価格やオプション価格の消費税は内税となっているため、計算が容易な反面、支払った額の大きさに目が行きづらい。

また、実際の購入時には以上の税金のほかにも、代行手数料などの諸経費がかかる。もちろんそれらの費用にも消費税がかかるうえ、自動車リサイクル料金や自賠責保険料の支払いも必要だ。

クルマにかかる税金は、性能や価格に応じて累進的に増えていく。どこで折り合いをつけるかが、クルマ選びの大きなポイントと言えるだろう。

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