パカパカライト+ロータリーエンジン=最強の組み合わせ!? マツダが生んだ名スポーツカー、SA22C型サバンナRX-7

マツダ・サバンナRX-7
1979年式マツダ・サバンナRX-7 GT。
現代のニューモデルにはないスタイリングやビビッドな操作感、魂を揺さぶるエンジンの鼓動などなど、オーナーの数だけ旧車を所有する理由がある。その中には幼少期の思い出が忘れられなくて、大人になってから夢を叶えたという人も少なくない。「第13回クラシックカーフェスティバル2021」にも、そんなオーナーが愛車マツダ・サバンナRX-7(SA22C)とともに来場されていたのでご紹介しよう。

PHOTO&REPORT●増田 満(MASUDA Mitsuru)

幼少期の記憶とともに手に入れた念願のリトラクタブルヘッドライト車!

純白のボディにリトラクタブルヘッドライトが、ヒートベアーズ北本スタジアムで開催された「第13回クラシックカーフェスティバル2021」の会場で多くの人の目を引いていたマツダの初代SA22C型サバンナRX-7。近寄って見ればホイールやフェンダーミラーなど、ほぼオリジナルのまま維持されている個体だとわかる。

1979年式マツダ・サバンナRX-7 GT。

近くにいたオーナーらしき人に声をかけると、38歳の清藤雅人さんが所有されているクルマだと判明した。このRX-7が42歳だから、クルマの方が4歳も年上だ。

マツダ・サバンナRX-7
純正オプションでSEリミテッドなどに標準装備されたアルミホイール。
マツダ・サバンナRX-7
色褪せの少ないフロントフェンダーのエンブレム。

お話を聞けば2012年にインターネットでたまたま見つけたのが、このRX-7だったそうだ。今から9年前というから清藤さんが29歳の時のことで、当時すでに33年落ちのとてつもなく古いクルマ。なぜそんなにも古いクルマを選ばれたのか聞いてみると「昔、父親が乗っていたんです」という回答。そうなのだ、幼少期の記憶から古いRX-7を手にされたのだ。

マツダ・サバンナRX-7
今見るととても小さなボディ。全長4285mm×全幅1675mm×全高1260mm。

旧車オーナーの取材をしていると、高確率で両親や親戚が乗っていたクルマに憧れて手に入れたという人に行き当たる。なかには親が乗っていたクルマを引き継ぎ、大事に乗られているというケースもあるくらい。それほど古いクルマには家族の影響や幼少期の記憶に基づいて所有する人が多いということ。

清藤さんもまさにその一人。RX-7の場合、唯一無二とも言えるスタイリングだからこそ、今でも乗りたくなる気持ちが強くなったのではないだろうか。

マツダ・サバンナRX-7
前期モデルはガーニッシュや枠がないテールランプだった。

SA22CサバンナRX-7が発売されたのは1978年のこと。当時はスーパーカーブーム直後ということもあり、スポーツカーに最も相応しいスタイルの代名詞だったのがリトラクタブルヘッドライトだ。RX-7にはトヨタ2000GT以来の同ライトが採用され、大いに話題になったもの。

マツダ・サバンナRX-7
ガラスだけで開くテールゲート。

同時にRX-7の個性であるロータリーエンジンもスポーツカーとして相応しい動力性能だった。この当時の国産車は排出ガス規制により、どのクルマも過去のモデルより遅く鈍重なモデルばかり。そんな時代に登場したRX-7は、まさにスポーツカー希望の星だったのだ。

マツダ・サバンナRX-7
前期は自然吸気仕様のロータリーエンジンのみだった。
マツダ・サバンナRX-7
オイルフィラーキャップ越しに見える12Aというエンジン型式。

今も昔もマツダ車はスタイリングが良いことで定評がある。1978年発売のRX-7にしても同様で、この当時北米での評価も高く世界的なヒット作になった。

デザインが良いのは外観だけでなく内装についても言えること。タコメーターを中央に配置したメーターパネルやセンターコンソールで仕切られたフロントシートなど、どこから見てもスポーツカーそのものといった風情。清藤さんは外装だけでなく内装も可能な限りオリジナルコンディションで残すように努められている。

マツダ・サバンナRX-7
フルオリジナルのインテリア。
マツダ・サバンナRX-7
走行距離がまだ10万キロに達してない!
マツダ・サバンナRX-7
当時すでにエアコンが装備されていたのが先進的。
マツダ・サバンナRX-7
中央の格子柄部分が破れてなく状態の良いフロントシート。

幼少期の思い出から乗ろうと決めていたものの、本気で探していたわけではなかった清藤さん。なんとなく探し出してから半年ほどでこのクルマに巡り会えたそうだから、とてもラッキーだったと言っていい。

購入時から程度が良かったので、現在までトラブルといえばエアコンのガスが抜けて修理したくらい。素性の良い個体を選べば旧車でも苦労しない典型例と言えるだろう。

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増田満

小学生時代にスーパーカーブームが巻き起こり後楽園球場へ足を運んだ世代。大学卒業後は自動車雑誌編集部…