【画像60枚】”無骨かわいい”スペーシア ギアはアウトドアスタイルと日常での使いやすさにこだわった軽スーパーハイトワゴンSUV

軽スーパーハイトワゴン市場におけるアウトドアテイストモデルの先鞭をつけたスズキ・スペーシアギアが、2023年11月にデビューしたスペーシアに続き新型へとフルモデルチェンジされた。その詳細をチェックしていこう。
PHOTO:井上 誠(INOUE Makoto)/SUZUKI

盛り上がる軽スーパーハイトワゴンのクロスオーバーモデル

スズキ・スペーシア ギアは先代モデルのスペーシアがフルモデルチェンジされた2017年12月から1年後の2018年12月に、スペーシア、スペーシア・カスタムに続く第三のモデルとしてデビュー。軽スーパーハイトワゴンにSUVテイストを付加したスタイルで一躍人気モデルとなった。

スズキ スペーシアギア
先代スペーシア ギア

ライバルであるダイハツ・タントは同コンセプトのファンクロス、三菱はeKクロス スペースで後を追い、さらには”デリカ”の名跡を継ぐより本格的なオフロード走行まで視野に入れたデリカミニを投入。ついに、軽スーパーハイトワゴンの一番人気、ホンダN-BOXにもN-BOXジョイが加わることで、この市場はさらに活況を呈する状況となっている。

ダイハツ・タントファンクロス
三菱eKクロス スペース
三菱デリカミニ
ホンダN-BOXジョイ

その嚆矢となったスペーシア ギアがスペーシアのフルモデルチェンジにから遅れること1年弱、ついに新型が登場した。とはいえ、そのコンセプトモデルは2024年1月の「東京オートサロン2024」と2024年6月の「東京アウトドアショー2024」にて「パパボクキッチン」として公開されている。

スズキが提案する軽自動車的アウトドアスタイル!スペーシア「パパボクキッチン」&スーパーキャリイXリミテッド【東京アウトドアショー2024】

2024年6月28日(金)〜30日(日)に幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区)の国際展示場9・10・11ホールで開催されている『東京アウトドアショー』。このイベントには自動車メーカーもブースを構えている。スズキはスペーシアとそのアウトドアコンセプトモデル「パパボクキッチン」に加え、スーパーキャリイで新たなスタイルを提案する。

スペーシアではかわい過ぎ、スペーシア カスタムではギラつき過ぎ……そう考えるユーザーのニーズにマッチしたスペーシア ギアは、アウトドアテイストやアクティブなライフスタイルに寄り添いながら、日常での使いやすさにもこだわったクルマとして作られている。そのフルモデルチェンジしたスペーシア ギアのディティールを見てみよう。

エクステリア

先代で軽スーパーハイトワゴンにこれまでなかった新たな価値を創造したSUVテイストのタフでアクティブなイメージを備えたデザインは、『無骨かわいい』を継承しつつアウトドアにおけアウトドアギアの”道具感”をより感じられるものとされた。

スペーシア ギア「HYBRID XZターボ」

丸型ヘッドライトのフロントマスクは、ジムニーやハスラーといったスズキのオフロードテイストモデルに共通するイメージを持たせ、SUVらしい力強さと親近感、安心感をわかりやすくアピールしている。

スペーシア ギア「HYBRID XZターボ」

スペーシア ギアならではのデザインとして、ヘッドランプ、フロントグリル、フロントバンパー、リヤバンパーは専用デザインになり、サイドアンダーガーニッシュやサイドドアガーニッシュなどと合わせてタフギア感を演出。

フロント
サイド
リヤ

フロントバンパーのナンバープレート脇や、ウインカーランプとフォグランプ、ソナーを納めたランプポッド、前後スキッドプレートにサイドのガーニッシュなど、タテヨコナナメの多角形デザインによるスッキリとした面質は”ガジェット感”にこだわったディティールデザインになっている。

丸目ヘッドライトと縦スリットのフロントグリルはジムニーにmお通じるデザイン。
フロントバンパーとスキッドプレートはハニカム状のデザイン
ナンバープレート右脇にはダズル迷彩柄の意匠を施している。

また、サイドドアガーニッシュやリヤゲートに配置されたエンブレムには赤に近いオレンジのアクセントカラーを使うことで、さりげなくインパクトを高めている。このアクセントカラーがエクステリア・インテリア共通のイメージカラーにもなっている。

サイドドアガーニッシュとサイドアンダーガーニッシュは連続した多角形の組み合わせ。
リヤバンパーのスキッドプレートも同様のデザイン。
サイドドアガーニッシュのエンブレムがサイドビューにインパクトを与えている。
リヤのエンブレムは立体的で、外周をアクセントカラーとした凝ったデザインだ。

インテリア

インテリアの形状やインターフェースはスペーシアやスペーシアカスタムと同様ながら、専用デザインのメーターパネルやインテリアカラーと細部に配されたアクセントカラー、専用表皮のシートなどでその印象はかなり異なったものになっている。

インストゥルメントパネル

専用のメーターパネルは左がスピードメーター、右がマルチインフォメーションディスプレイというレイアウトはシリーズ共通ながら、マルチインフォメーションディスプレイ側を丸テーマとし、スピードメーター側には上下にアクセントカラーを配置。タフなアウトドアギアを感じさせるデザインとなっている。

メーターパネル
格納式ヘッドアップディスプレイ

スペーシア ギアのインターフェースはスペーシアシリーズは然ることながら、スズキ車に共通するレイアウトが貫かれておりとてもわかりやすい。また、スイッチ類は基本的に物理スイッチであるため操作性にも優れている。

ステアリングスイッチ(左)
ステアリングスイッチ(右)
ステアリングヒーター
センターコンソールのインターフェースはスペーシアシリーズ共通。
共通デザインだが専用内装色でスペーシアやカスタムとも違った印象に。
吹き出し口の調整ダイヤルにもアクセントカラーを使用。

前後シートは形状はスペーシアシリーズ共通ながら、表皮を撥水加工のファブリック生地とすることでアウトドアシーンでの使い勝手に配慮。ビード形状の凹凸意匠を施したデザインにアクセントカラーであるオレンジステッチをあしらい、艶×マットの組み合わせでタフさや撥水性といった機能面も強調している。

フロントシート
リヤシート

さらに、同じくアクセントカラーであるオレンジのシートバックタグには、シート表皮と連動したストーリー性のあるアイコニックなデザインを採用。機能性だけでなく、スペーシア ギアのキーワードでもある”遊びゴコロ”も込められている。

撥水加工ファブリック表皮はビード形状の凹凸デザイン。エクステリアの多角形デザインに通じる意匠。
シート表皮と連動したバックタグのデザインはステッチ同様アクセントカラーのオレンジ。クルマが山を登るストーリー性のあるアイコンになっている。

撮影車両に装着されていた9インチHDディスプレイの全方位モニター付きメモリーナビゲーション(スズキコネクト対応通信)はメーカーオプションとなる。

全方位モニター付きメモリーナビゲーション(スズキコネクト対応通信)

ラゲッジルームとユーティリティ

ラゲッジルームにスズキの折り畳み電動モペッド自転車e-POを搭載。

ラゲッジルームの仕様はやはりスペーシアシリーズを踏襲しているが、シートバックやラゲッジボードの素材が異なっており、汚れても掃除のしやすい防汚仕様のハードタイプとすることでアウトドアユースでの使用を考慮したものになっている。もちろん、シートアレンジによる拡大やフルフラット化もシリーズ共通の機能として備わる。

ラゲッジルーム(シートスライド時)
ラゲッジルーム(シート格納時)

また、ラゲッジルームのサイドパネルにはM6サイズのネジ穴を持つアクセサリーホールを設置しており、汎用品はもちろんラゲッジバーやユーティリティカラーリングフックといった純正アクセサリーが装着可能。ラゲッジルームの機能拡張性も備えている。

防汚タイプラゲッジフロア(シート格納時)
リヤクオーターウインドウ下のアクセサリーホール。

インテリアの収納やユーティリティもスペーシア譲り。スペーシアの特徴である大容量のビッグオープントレーはもちろん、各所に使い勝手の良い収納を配置。助手席下の取り外し可能シートアンダーボックスや多機能なパーソナルテーブル、現行スペーシアで初めて採用されたマルチユースフラップも同様だ。

フロントシートのアームレスト。
アームレスト内は収納スペースになっている。
パーソナルテーブルとスマートフォンにちょうど良いメッシュタイプのシートバックアッパーポケット。
マルチユースフラップ(荷物ストッパー)
マルチユースフラップ(レッグサポート)
マルチユースフラップ(オットマン)

USBソケットも充実しており、ダッシュボードにUSB電源を2口、センターコンソールにナビなどと接続するUSBソケットを1口、さらに右リヤシートサイドにUSB電源を2口設置しており、乗車定員分を確保しているのはありがたい。

後席右側のUSB電源。
ソケットはタイプCとタイプAが1つずつ。

また、スペーシアギアではルーフレールが標準装備となり、そのデザインもまた多角形デザインを踏襲したコーディネートとなっている。ルーフレールの積載重量は30kgと、実用性も十分。純正アクセサリーにはルーフラックなども用意されるという。

ルーフレールを標準装備。

パワートレインとスペック

搭載されるエンジンはスペーシアシリーズ共通の水冷直列3気筒DOHC12バルブで、RA06A型のインタークーラーターボとD06D型の自然吸気を用意。ターボで最高出力64ps・最大トルク98Nm、自然吸気で最高出力49ps・58Nmというスペックも変更はない。また、それぞれにFFと4WDを設定し、トランスミッションは全車CVTとなっている。

もちろん全車マイルドハイブリッドだが、ターボ車にはWA05A直流同期電動機、自然吸気車にはWA04C直流同期電動機を搭載。それぞれ最高出力3.1ps・最大トルク50Nm、最高出力2.6ps・最大トルク40Nmと出力は異なっている。

タイヤはエンジンや駆動方式による違いはなくいずれも共通で、155/65R14サイズを専用デザインのアルミホイールに装着する。

タイヤサイズは155/65R14。撮影車両には軽自動車では定番のダンロップ・エナセーブを装着していた。ホイールスペーシア ギア専用の新デザインとなった。
グレードHYBRID XZターボHYBRID XZターボHYBRID XZHYBRID XZ
全長3395mm3395mm3395mm3395mm
全幅1475mm1475mm1475mm1475mm
全高1800mm1800mm1800mm1800mm
ホイールベース2460mm2460mm2460mm2460mm
最低地上高150mm150mm150mm150mm
車重910kg960kg900kg950kg
最小回転半径4.4m4.4m4.4m4.4m
エンジンRA06A型
水冷直列4気筒DOHC12バルブ
インタークーラーターボ
RA06A型
水冷直列4気筒DOHC12バルブ
インタークーラーターボ
RD06A型
水冷直列4気筒DOHC12バルブ
RD06A型
水冷直列4気筒DOHC12バルブ
排気量658cc658cc657cc657cc
最大出力64ps/6000rpm64ps/6000rpm49ps/6500rpm49ps/6500rpm
最大トルク98Nm/3000rpm98Nm/3000rpm58Nm/5000rpm58Nm/5000rpm
モーターWA05A型
直流同期電動機
WA05A型
直流同期電動機
WA04C型
直流同期電動機
WA04C型
直流同期電動機
最大出力 3.1ps/1000rpm 3.1ps/1000rpm2.6ps/1000rpm2.6ps/1000rpm
最大トルク50Nm/100rpm50Nm/100rpm40Nm/100rpm40Nm/100rpm
燃料タンク容量27L27L27L27L
燃費(WLTC)21.9km/L19.8km/L23.9km/L22.4km/L
駆動方式FF4WDFF4WD
サスペンション(前/後)マクファーソンストラット
/トーションビーム
マクファーソンストラット
/アイソレーテッドトレーリングリンク
マクファーソンストラット
/トーションビーム
マクファーソンストラット
/アイソレーテッドトレーリングリンク
ブレーキ(前/後)ベンチレーテッドディスク
/ドラム
ベンチレーテッドディスク
/ドラム
ディスク
/ドラム
ベンチレーテッドディスク
/ドラム
タイヤ・ホイール155/65R14
14インチアルミホール
155/65R14
14インチアルミホール
155/65R14
14インチアルミホール
155/65R14
14インチアルミホール
スペーシア ギア諸元表

グレードと価格

スペーシア ギア「HYBRID XZターボ(FF)」オフブルーメタリック/ガンメタリック2トーンルーフ

グレード展開はシンプルで、基本的には「HYBRID XZ」のワングレード。それにエンジンと駆動方式の組み合わせで全部で4種類となる。
また、カラーは2トーンルーフ6色とノーマルルーフ3色の合計9色を設定。2トーンルーフといえどノーマルルーフと共通のカラーを設定しないというカラーバリエーションになっている。

オフブルーメタリック/ガンメタリック2トーンルーフ
モザイエローパールメタリック/ガンメタリック2トーンルーフ
ソフトベージュメタリック/ガンメタリック2トーンルーフ
クールカーキパールメタリック/ガンメタリック2トーンルーフ
デニムブルーメタリック/ガンメタリック2トーンルーフ
フェニックスレッドパール/ガンメタリック2トーンルーフ
モスグレーメタリック
ピュアホワイトパール
ブルーイッシュブラックパール3

新型では先代モデルで人気のイエロー系に加え、今回新色としてオフブルーメタリック/ガンメタリック2トーンルーフをイメージカラーとして設定した。

グレード駆動方式エンジントランスミッションハイブリッドシステム価格
スペーシア ギア
HYBRID XZ
FFR06D型CVTマイルドハイブリッド203万7200円
スペーシア ギア
HYBRID XZ
4WDR06D型CVTマイルドハイブリッド215万7100円
スペーシア ギア
HYBRID XZターボ
FFR06A型
インタクーラーターボ
CVTマイルドハイブリッド195万2500円
スペーシア ギア
HYBRID XZターボ
4WDR06A型
インタクーラーターボ
CVTマイルドハイブリッド207万2400円
価格表(2トーンルーフ車は6万500円高、ピュアホワイトパール車は2万7500円高)

また、スペーシアにも用意されたアクセサリーもスペーシア ギアに装着できるほか、専用のデカールキットなども用意。機能とスタイルをより”アウトドアスタイル”としたアイテムが揃う。

アウトドアスタイル
アウトドアスタイル
ブラックカーゴアタッチメントやogawaのカータープ、バックドアネット、スライドドアネットはスペーシアにも用意されたアクセサリーだが、スペーシア ギアにはよりフィットする。
スペーシア ギア(撮影車両)
グレード:HYBRID XZターボ
トランスミッション:CVT
駆動方式:FF
ボディカラー:クールカーキパールメタリック/ガンメタリック2トーンルーフ
オプション:全方位モニター付きメモリーナビゲーション(スズキコネクト対応通信機)、フロアマット(ジュータン ファイングリッド)

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