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すでに国産勢の選択肢が豊富ななか、あえていま輸入SUVを選ぶのなら相応の独自性は必須。とはいえ、クルマは高額商品ですから“博打”になってしまうリスクは最小限にとどめたいところ。そこで、ここでは国産勢にはない個性を持ちつつ乗り替えにも違和感がないモデル、コストパフォーマンスの高さが際立つモデル、そして輸入SUVならではの世界が満喫できるモデルをご紹介しましょう。
1台目:フォルクスワーゲン T-Roc(T-ロック)
「乗りやすい上に、ハレの気分が濃密に味わえる!」
まず乗りやすくて身近、という点で高ポイントなのがこのモデル。弟分のT-Cross(T-クロス)は2021年上半期の輸入SUVでベストセラーの座を獲得していますが、T-Rocもそれに次ぐ2位に入る人気車となっています。純粋なコストパフォーマンス、という意味では順位通りの評価となりますが、ここでTロックを推す理由はSUVに期待される“ハレの気分”がTクロスより濃密に味わえるから。
事実上、アウディQ2のフォルクスワーゲン版という基本構成だけに、そのスタイリングはコンパクト級SUVのなかでも個性派と言える出来映え。グラスエリアを低く抑えた佇まいは、最近の欧州勢で流行りのクーペSUV的なテイストも醸します。その一方、機能面は実に生真面目。室内空間やラゲッジスペースは必要にして十分な広さが確保。SUVをそれらしく使いたい、というニーズにも対応できます。
また、日本向けは1.5リッターのガソリン仕様がベーシックですが、兄貴分のティグアンではドロップしている2リッタークリーンディーゼルが選べるところも魅力のひとつ。駆動方式はFFに限られますが、4WDが必須という環境下でもなければ弱点にはならないでしょう。ドライブフィールも、最新のフォルクスワーゲンに対する期待値通り。日本の路上でも扱いやすく、なおかつドイツ車らしさも味わえる出来映えです。
2台目:プジョー3008
「コスパが高くて機能は一級品、それでいて個性も発揮できる!」
コストパフォーマンスが高い個性派、という意味ではプジョー3008も狙い目の1台です。最新のプラグインHV仕様はさすがに高価ですが、1.6リッターのガソリンターボと2リッターディーゼルターボなら価格競争力は輸入SUVの中でもトップレベル。合理性を尊ぶ(ケチとも言いますが)フランスの生まれらしく、道具としての機能も一級品。室内空間、荷室が実際のサイズ以上に広いあたりは古参のフランス車好きも納得の出来映えです。
その一方、走りが昔のフランス車ほどクセのある仕立てではないところも幅広い層にオススメできるポイントのひとつ。最新のプジョーに共通する極小ステアリングを除けば、基本的なドライブフィールはドイツ勢、あるいは国産勢と比較しても極端な違いはありません。
そのステアリングにしても見ためほど奇抜なものではなく、よほど繊細な人でもなければ短時間で馴れてしまう類。むしろ、この小径ステアリングに代表されるエッジの立った内装、凝ったディテールの外装デザインは輸入車を選ぶ醍醐味のひとつということもできるかもしれません。
なお、これでも機能面に不満があるというのならプジョーには5008という選択肢もあります。こちらもサイズ的にはコンパクト級ですが、3列シートの7人乗りとしているところが魅力。FF駆動に限られることを除けば、機能的には「オールインワン」な輸入SUVに仕上げられています。
3台目:メルセデス・ベンツGLC
「メルセデスに対する期待を裏切らないできばえ。価格だけの価値はある!」
では、純粋な機能だけでなく輸入SUVに求められる世界のすべてが手に入る1台は? という具合に選択のハードルを高くしてみましょう。上を見上げればそれこそキリがないのですが、一番現実的なのはプレミアムブランドのミドル級。たとえばメルセデス・ベンツGLCは、その筆頭格に挙げられるでしょう。
いまやメルセデスでも価格的に身近なSUVを選べる時代ですが、GLCで際立つのは伝統的なセダン系モデルにも通じる高級なライド感が満喫できること。無用なカドが立っていない、しっとりしたステアリングフィールや足回りの動き、そして速度域を問わず快適な乗り心地は、間違いなくこのブランドに寄せられる期待値を裏切らない出来映え。
また、サイズ以上の扱いやすさをもたらす視界作りに代表される、“道具”としての手堅さも伝統的メルセデスの文法通り。番外編のAMGモデルを除けば刺激の類こそ希薄ですが、搭載するパワーユニットも仕様を問わず実直な仕事ぶりを披露してくれます。
新車だと700万円台~となる価格だけは高いハードルですが、それだけの価値は間違いなく十二分。その意味では、出自の確かな高年式のユーズドGLCを探してみる、という手も個人的にはアリだと思います。