車内が狭くなった現行プリウスのウリとは……?コンパクトなのに広いフィットと比べてわかる価値と立ち位置

室内空間が狭くなったと噂される新型プリウスだが、クラス最大級の広さを誇るフィットと比較すると、どのような結果になるのだろうか。2024年9月に追加されたプリウスの最廉価グレード「G」とフィットの最上級グレード「LUXE」のスペックを比較して、室内空間や燃費性能などの違いをみてみよう。

TOYOTA PRIUS × HONDA FIT

プリウスよりも小さなフィットのほうが居住性は上

ボディサイズはプリウスのほうが明らかに大きい。しかし、居住性に関してはフィットのほうが優れており、頭上空間はもちろん後席の膝周り空間もプリウスに比べて余裕がある。

プリウスは後席の居住性や乗降性はセダンとして標準的だが、低いうえ大きく傾斜したフロントウィンドウにより前席の乗り降りにはやや気を使わなければならない。

ただし、荷室の広さではプリウスが勝る。フィットも十分な広さを誇るが、荷室面積は両車の車ボディサイズの違いがもっとも大きく反映されている箇所と言えよう。

トヨタ プリウス G
ボディサイズ:全長4600mm×全幅1780mm×全高1430mm
ホイールベース:2750mm
車両重量:1420kg
タイヤサイズ:195/50R19(前後)

ホンダ フィット e:HEV LUXE
ボディサイズ:全長3995mm×全幅1695mm×全高1540mm
ホイールベース:2530mm
車両重量:1200kg
タイヤサイズ:185/55R16(前後)

燃費性能は決め手とならず!街乗りでの動力性能もほぼ互角

プリウスのパワートレインは2.0LエンジンとTHS-IIの組み合わせで、WLTCモード平均燃費は28.6km/Lだ。対するフィットは、1.5Lエンジンとe:HEVの組み合わせで29.0km/L(e:HEV HOME)となり、両者の燃費性能はほぼ互角となる。

ただし、使用状況によって排気量とハイブリッドシステムの違いが表面化する。全開加速時や高速道路の追い越し加速などでは、プリウスのほうがエンジン出力に余裕があるぶん力強く、高速走行時の燃費性能も高い。

しかし街乗りでは、プリウスより強力なフロントモーターを主体に走行するフィットのほうが乗りやすいと感じられるだろう。フィットは高速域をエンジン動力で走行できるため高速燃費でもプリウスに大きく劣ることはない。

トヨタ プリウス G
エンジン形式:直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量:1986cc
最高出力:152ps/6000rpm
最大トルク:188Nm/4400-5200rpm
トランスミッション:電気式CVT
駆動方式:2WD(FF)

ホンダ フィット e:HEV LUXE
エンジン形式:直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量:1496c
最高出力:106ps/6000-6400rpm
最大トルク:127Nm/4500-5000rpm
トランスミッション:単速
駆動方式:2WD(FF)

実用面ではフィットの勝ち!新型プリウスの価値は特別感

プリウスの最廉価グレードと、フィットの最上級グレードの比較でもプリウスのほうが高く、その価格差は約55万円だ。フィットのe:HEV最廉価グレードと比較した場合の価格差は100万円強にもなる。

これだけの価格差でありながら、1クラス上のクルマに匹敵する居住性や燃費性能が備わるフィットのe:HEVモデルは間違いなくお買い得な実用車だ。しかし、クルマにある程度の実用性とさらなる特別感を求めるなら、プリウスは非常に魅力的な選択となる。

ハイブリッドカーがありふれたものとなり、これまで燃費最優先だったプリウスの存在価値が揺らぐことになった。そのため新型では大きく路線変更せざるをえなかったのだろう。

その結果としてプリウスは、かつてカローラとクラウンの間に位置づけられていた4ドアハードトップとなるコロナエクシブ/カリーナEDのポジションに落ち着いたようだ。

車両本体価格

キーワードで検索する

著者プロフィール

ピーコックブルー 近影

ピーコックブルー

クルマやバイクの分野では日本最大級の記事配信数を誇るコンテンツ・プロダクション。ビギナー向けのやわ…