盤石な完成度を誇る背高ボディのパイオニア「スズキ・ソリオ」【最新ミニバン 車種別解説 SUZUKI SOLIO】

日頃の買い物や送迎など日常生活で程よいサイズと広いラゲッジルームで若いファミリー層の支持を受ける「スズキ・ソリオ」。3種類のパワートレインが用意され、ユーザーの事情にマッチするモデルが用意されている。エクステリアも通常モデルとアクティブなフロントフェイスを持つ2タイプで家族の個性もさらに際立つだろう。
REPORT:竹岡 圭(本文)/塚田勝弘(写真解説) PHOTO:神村 聖 MODEL:星香

居住スペースと荷室スペースは十分 3種のパワートレインを用意

全幅1480㎜以下の軽自動車よりは大きく、でも全幅1700㎜以下の5ナンバーサイズに入るギリギリよりも、さらにもう少しコンパクトな全幅1645㎜という絶妙なボディサイズ。つまり、狭く感じることがない、ギリギリのところまでしか大きくしていないスライドドア車であるという、その立ち位置がソリオの最大のポイントだ。

エクステリア

ハイルーフと箱型フォルムによりミニバンらしい雰囲気を纏う。リヤの両側スライドドアとウォークスルーを可能にするため、コンパクトミニバンのような使い勝手も実現している。ただしシート配列は、2列5人乗りのみなので実質的にはコンパクトワゴンだ。助手席側のパワースライドドアは「G」を除き標準で、運転席側は「MZ」以上に標準化する。
コンパクトカー並みの全長だが、高めの全高とボクシーなスタイルにより広いキャビンを実現。サイドのキャラクターラインやエアロ形状の前後バンパー、ルーフスポイラーなどがスポーティ感を演出。最小回転半径は4.8m。

軽自動車の中で、最も人気の高いカテゴリーであるスーパーハイトワゴンの使い勝手はそのままに、でも4名しか乗れない軽自動車よりは少し余裕が欲しいといったニーズにピッタリはまる、このカテゴリーのパイオニアでもあるので、完成度もかなり高い。まず、室内空間とラゲッジスペースがとにかく広い。車中泊もできるレベルなのだ。シートアレンジもシートが上向きのフルフラットアレンジもできるほか、助手席を含めてシートを前倒ししたアレンジも可能。荷物を目いっぱい積むだけでなく、遊びに行った先でゆったりとくつろぐリビングモードにもできるなど、フレキシブル性もバッチリなのだ。

乗降性

そして、その空間を縦にも横にもウォークスルーできるというのが便利なポイント。特に子育て中のパパ&ママが、雨の日に後席に座らせた子どもにアクセスするような場合は、本当に助かるのではないかと思う。また、運転席まわりのポケットエリアも文句ナシでたっぷり用意されている。パッと思いつく基本的なところは本当に抜かりナシで、このボディサイズにも関わらず、この一で何でもできるオールマイティ性能の高さは、ピカイチなのである。それに加えて、パワートレインが3種も用意されている。ベーシックなガソリンモデルに加えて、マイルドハイブリッドとストロングハイブリッドだ。最近の流れから言うと、どちらかのハイブリッドをチョイスする方が多いと思うのだが、これがどちらも捨てがたいのだ。

インストルメントパネル

良好な前方視界をもたらすセンターメーターの下に、オプションの9インチ全方位モニター、インパネシフト、エアコンの操作部を配置。フルオートエアコンを全車に標準化する。

特徴から言うと、マイルドハイブリッドはあくまでガソリンエンジンをモーターでサポートする感じなのだが、その分アシスト力が強く、発進時の滑らかさなどはこちらが上。CVTということもあり、スムーズさもこちらに軍配が上がる。一方、ストロングハイブリッドは、60㎞/h以下までなら充電量にもよるがEV走行ができるので、当然のごとく燃費がイイ。また、回生力も強いのと、AGSのためダイレクト感が高い。パワーステアリングのフィーリングも自然なため、走り味にこだわりがある方はこちらの方が楽しいだろう。

居住性

と言うわけで、結論的にはありきたりに見えるかもしれないが、街中メインという方にはマイルドハイブリッド、ロングドライブする機会が多いという方にはストロングハイブリッドというのが、お薦めの購入ガイドだ。そして、エクステリアのデザインもふたつ用意されている。

うれしい装備

スズキのお家芸と言える助手席背もたれの前倒し機構により、後席背もたれもダイブダウンさせることで、長尺物の積載や車中泊にも対応する。前席裏のパーソナルテーブルは、「G」を除き標準になる。
月間販売台数        4191台(24年5月~10月平均値)
現行型発表     20年11月(一部仕様変更 23年5月)
WLTCモード燃費  22.3 ㎞/ℓ※「HYBRID SZ」「BANDIT HYBRID SV」

ラゲッジルーム

ソリオとソリオバンディットである。バンディットはインテリアもマルーンカラーが施されていたりと、上質感はこちらが上のように感じられる。ガソリンエンジンモデルの用意はないが、どのモデルを選んでも満足度の高さだけは保証できそうだ。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.164「2025年 最新ミニバンのすべて」の再構成です。

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