ホンダWR-V vs トヨタ・ヤリスクロス!!大容量を選ぶか?乗用車的使い勝手で選ぶか?それが問題だ 【250万円級コンパクトSUVライバル対決】

この2025年3月6日(木)に一部改良されたホンダ WR-V。コンパクトSUVとして人気のモデルですが、このジャンルはまたライバルも多く、どのクルマを選ぶべきか迷ってしまう方も多いことでしょう。そこで今回はライバル車としてトヨタのヤリスクロスを取り上げ、双方の特長を徹底比較してみました。
新型WR-Vの詳細はこちら。

1. 室内空間と荷室の広さの違いは?

WR-V(MC後)
ヤリスクロス
WR-V(MC前)
ヤリスクロス
ホンダ WR-V(MC前)トヨタ ヤリスクロス
全長×全幅×全高 (mm)4325×1790×16504180×1765×1580~1590
室内長×室内幅×室内高(mm)1955×1460×12801845×1430×1205
ホイールベース(mm)26502560
荷室容量(L)458390
車両重量(kg)1210~12301110~1230/1160~1270(ハイブリッド)
WR-V
ヤリスクロス
WR-V
ヤリスクロス

ホイールベースはWR-Vの方が90mm長く、室内長では110mmの差となります。WR-Vの方が後席の足元スペースがゆったりしており、大人4人が乗っても快適です。一方、ヤリスクロスの後席スペースは比較的タイトなつくりとなっています。「車内の空間的なゆとり=快適性」と解釈するならば、WR-Vの方が車内が広く、快適性が高いと言えるでしょう。

WR-V(MC前)
ヤリスクロス

荷室容量もWR-Vがヤリスクロスより68Lほど勝ります。荷物を多く積む場面ではWR-Vが優位と言え、キャンプや長距離ドライブ、買い物などで活躍することでしょう。また、リヤシートの折りたたみもスムーズで、フラットなラゲッジスペースが確保できます。

WR-V
ヤリスクロス

他方、ヤリスクロスはコンパクトで全長が短いため、都市部での駐車や小回りがしやすいというメリットがあります。WR-Vはサイズが大きめなので、狭い駐車場では扱いにくい場面もあります。

2. 走行性能とパワートレインは?

WR-V搭載 L15D型エンジン
ヤリスクロス搭載 M15A-FKS型エンジン(内燃機関車用)
ホンダ WR-Vトヨタ ヤリスクロス
エンジン1.5L NA (118ps / 142Nm)1.5L NA (120ps / 145Nm) / 1.5L ハイブリッド (91ps+ モーター 80ps)
駆動方式FFFF / 4WD
トランスミッションCVTCVT
燃費(km/L・WLTC)16.2~16.417.1~19.8 / 25.0~30.8(ハイブリッド)

1.5L NAエンジンはWR-Vもヤリスクロスもレスポンスが良く、街乗りから高速走行までスムーズで扱いやすく、ストレスのない走りを楽しめます。ヤリスクロスにはハイブリッドが用意されていますが、電動化車両の常で車両価格が高く、燃費は確かに優れるものの元を取るのに時間がかかるため、そんなに車に乗らないという人にとっては、コスト面でいささか不利に働くかも知れません。

また、一般論として、パワートレインがシンプルな方が耐久性に優れるというメリットがあり、長く乗るのに適していると言えます。ハイブリッドは燃費は良いのですが、モーターやバッテリーの交換費用を考えると、長期的な維持費は内燃機関車のほうが抑えられる可能性があります。

ただし、ヤリスクロス ハイブリッドは最高でWLTCモード 30.8km/Lと非常に優れた燃費性能を誇ります。WR-Vは1.5L NA+CVTのワンパターンなので、高速巡航や街乗りでは比較的燃費は良くなるものの、ヤリスクロス ハイブリッドには遠く及ばず、内燃機関車同委の比較でも及びません。加えてヤリスクロスは4WDも選択可能で、雪道や悪路での安定性も確保されています。他方、WR-VはFFのみなので、降雪地域やアウトドア用途では積極的に選びにくいかもしれません。

3. 乗り心地とサスペンションの評価は?

WR-V サスペンション
ヤリスクロス フロントサスペンション(画像はヤリス)
ヤリスクロス リヤサスペンション FF車(画像はヤリス)
ヤリスクロス リヤサスペンション 4WD車(画像はヤリス)
ホンダ WR-Vトヨタ ヤリスクロス
サスペンション形式(前)ストラットストラット
サスペンション形式(後)トーションビームトーションビーム / ダブルウィッシュボーン(4WD)

WR-Vもヤリスクロスの2WD車もサスペンション形式は同様です。WR-Vは悪路の多いタイ市場向けの設計がベースにされており、悪路や荒れた路面でもしっかりとした走破性を発揮します。サスペンションはやや硬めの印象ですが、そのぶんロールが抑えられており、カーブや高速道路での安定感は高いと言えます。ヤリスクロスは車両重量が軽く、燃費的には有利ですが、WR-Vに比べると路面の凹凸を拾いやすい一面もあります。特に後席の乗り心地は硬めで、長距離移動では疲れやすいかもしれません。

ただしヤリスクロスは遮音材の使用が適切で、ボディ形状と相まって高速道路でもエンジン音や風切り音が抑えられています。また、ハイブリッドモデルではEV走行時の静粛性も魅力です。加えて4WDモデルがあり、こちらのリヤサスペンションはダブルウィッシュボーン式となっており、2WDモデルの足まわりより安定しています。

4. 安全装備の違いは?

WR-Vには一通りの安全装備が標準装備される。
ヤリスクロスにはWR-Vには無いブラインドスポットモニター(BSM)が設定されている。
ホンダ WR-Vトヨタ ヤリスクロス
安全装備Honda SENSING (全車標準装備)Toyota Safety Sense
運転支援機能ACC、LKAS ありACC、LKAS、BSM (上位グレード)

WR-Vは“Honda SENSING”を全グレードに標準装備しており、追加費用なしでアダプティブクルーズコントロール(ACC)や車線維持支援(LKAS)が使えるのが魅力です。ただし、WR-Vはブラインドスポットモニター(BSM)が非搭載です。ヤリスクロスは“Toyota Safety Sense”を採用しており、リヤクロストラフィックアラートも搭載可能です。WR-Vには無いBSMも搭載可能ですが、上位グレードのみなので、価格を考慮するとWR-Vのほうが割安感があるかもしれません。

5. 価格とコストパフォーマンスは?

ホンダ WR-Vトヨタ ヤリスクロス
価格 (税込)209.88~248.93万円204.6~286万円 / 243.32~323.4万円(ハイブリッド)

内燃機関車同士の比較では、WR-Vのエントリーグレードはヤリスクロスより少し高めの価格設定ですが、全グレードでLEDヘッドライトや安全装備の“Honda SENSING”などを標準装備しており、追加オプションなしでも十分な装備が整っています。他方、ヤリスクロスはエントリーグレードでは204,6万円(内燃機関車)と価格は安いものの、装備を追加すると価格が上がる傾向があり、結果的にWR-Vと大差ないものとなります。また、ヤリスクロス ハイブリッドは間違いなく燃費は良いのですが、価格が約244万円からで、上級グレードになると軽く300万円越えとやや高めなのが考えどころと言えるでしょう。

総合評価:WR-Vを選ぶ人、ヤリスクロスを選ぶ人

WR-Vは広い室内空間、大容量の荷室、信頼性の高いパワートレイン、充実した標準装備など、コストパフォーマンスの高さが光ります。特に、長距離移動が多い人や家族で使う人にとって、WR-Vの広さと快適性は大きなメリットになることでしょう。ヤリスクロスは4WDの設定、安全装備の充実度、特にハイブリッド車における燃費や静粛性など、WR-Vより優れた面が少なくありません。

WR-Vは、室内の広さや荷室容量を重視する人、シンプルで信頼性の高いパワートレインを求める人、乗り心地の安定感やカーブでの安定性を重視する人、コストパフォーマンスが高くて追加オプションなしでも装備が充実している車が欲しい人、長く乗ることを考えてメンテナンスコストを抑えたい人に向いています。

他方、ヤリスクロスは、町中などでの小回りの良さを重視する人、とにかく乗り出し価格が安い方が良い人(特に内燃機関車)、燃費を最優先する人(特にハイブリッド車)、4WDが必要な人に向いています。

WR-Vもヤリスクロスも同じコンパクトSUVに分類されるとは言え、その性格はまったく異なるため、どちらが優れているといった評価は適切ではないでしょう。どちらの車種が自分の生活や使い方に適しているかという評価軸で見るべき2台と言えるでしょう。

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