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パナソニックパナソニックオートモーティブシステムズブースの目玉展示「WELL Cabin」

パナソニックオートモーティブシステムズのブースに展示された車両の中で最も目立っていたのが、特装車「WELL Cabin」だ。その外装には、疾走感があるストライプ柄を取り入れたゴールドとブラックのツートンカラーのラッピングが施されており、特別な雰囲気が漂っていた。

しかもフロントバンパーは、専用品によりカスタマイズされている。自動車部品メーカーである同社が、デザインまで拘った特装車を展示したことに興味を惹かれた。
同車の開発の原点は、移動時間の活用にある。そして、クルマの自動運転化が進んでいく過程で、運転のためのコクピットから客室全体のキャビンに価値が生まれていくという考え方へ変化していくことを想定している。それを「WELL Cabin」というコンセプトを掲げ、価値ある移動体験を与える車両として仕上げた。その第一弾として生み出されたのが、特別な移動時間を提供する送迎車なのだ。

外装デザインを手掛けたのは、なんと数々の名車を手掛けてきたイタリアのイタルデザインによるもの。その狙いは、実用車のハイエースに高級感を与え、乗車前のゲストに特別な体験ができると期待させることにある。
そのデザインでは、和の工芸品などに使われる金箔をヒントに、日本のおもてなしの心を表現したとする。そのためにフロントマスクには、金縁グリルを持つ専用フロントマスクが与えられたのだ。

55インチディスプレイを備えた超豪華なインテリア
ただ「WELL Cabin」の神髄は、インテリアにある。後席エリアは、全席がキャプテンシートとなる4人乗り仕様に変更。さらに特別装備として、車載搭載限界サイズとなる55インチの大画面透明ディスプレイを前席後ろに設置した。

その迫力の映像を満喫させるために、非可聴音まで再現する高臨場感サウンドまで再生する3Dハイレゾリューション対応のオーディオスピーカーと調色・調光可能な高演出照明を搭載。さらに3種類のアロマディフューザーを搭載することで、乗員の気持ちを盛り上げたり、リラックスさせたりすることができるという。
東京オートサロン会場では、実際に後席に座り、映像を楽しむことができたが、まるで移動するシアタールームという雰囲気であり、個人的にも実際に乗ってみたいと思った。
姉妹モデル「WELL Cabin Luxe」による豪華送迎サービス
実は「WELL Cabin」シリーズは既に実際に乗車することができる。それが姉妹モデルである「WELL Cabin Luxe」を使った実証実験だ。

「WELL Cabin Luxe」は、高級ミニバンのトヨタ・アルファードをベースに、同様の仕様を施したもの。変更点としては、後席が2座仕様となるとに加え、スピーカーを増やし、照明サイズも大きくすることで、より没入感のある体験ができるように仕上げられている。

乗車体験ができる有料サービスとして、2024年~2025年アジアアイスホッケーリーグにおいて、同リーグを戦うプロチーム「横浜GRITS」の試合会場への送迎サービスが提供された。このサービスでは、試合開催日に横浜駅から会場となるKOSE新横浜スケートセンターまで送迎してくれるというもの。

移動中の車内では横浜GRITSの特別な映像が楽しめるほか、会場入りでは希望の選手が出迎えてVIPシートまでのエスコートしてくれたり、ロッカールームが見学できるなどの特典もあった。一人13万円と高額ながら、利用したファンからは「一生の思い出に残る素晴らしい体験ができた!」という声もあったとか。

豪華な送迎車である「WELL Cabin Luxe」と「WELL Cabin GranLuxe」は実用化を目指しており、スポーツおよびその他エンタテインメントにおけるラグジュアリー送迎サービスの新たな可能性を検討していくとする。特に4名乗車が可能な「WELL Cabin GranLuxe」は、海外からの富裕層観光客向けにも最適だろう。より豪華な旅の演出に一役買うことになるかもしれない。

「WELL Cabin」シリーズ・フォトギャラリー




















