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■さらなるレベルアップで人気を継続させた2代目ヴェゼル
2021年(令和3)年4月22日、ホンダはコンパクトSUV「ヴェゼル」の初めてのモデルチェンジで2代目に移行した(発売は翌日)。2013年に誕生したヴェゼルは、3代目フィットをベースにしたコンパクトSUVとして人気を獲得したが、2代目はブラッシュアップを図って正常進化を果たした。

3年連続SUVトップとなった初代ヴェゼル
2010年頃から世界的に、コンパクトカーのプラットフォームをベースにしたクロスオーバーのコンパクトSUVが人気を獲得していた。国産車で代表的なのは、2010年にデビューした「スバルXV」と日産「ジューク」が相当する。

ホンダは、3代目「フィット」のプラットフォームをベースとするコンパクトSUV「ヴェゼル」を2013年に投入。SUVらしい安定したボディにクーペのようなアッパーを組み合わせたスタイリングで、ホンダ独自のセンタータンクレイアウトによる広い車室と荷室スペースが特徴だった。

パワートレインは、最高出力131ps/最大トルク15.8kgmを発揮する1.5L直4 DOHC i-VTECエンジンとCVTの組み合わせ、および132ps/15.0kgmの1.5L直4 DOHCに1モーター(30ps/2.2kgm)+7速DCTを組み合わせた“i-DCD”ハイブリッドの2種類。駆動方式は、FFと電子制御4WDが選べた。

2016年には、運転支援システム“ホンダセンシング”が搭載され、衝突軽減ブレーキやACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)、LKAS(車線維持支援システム)、歩行者事故低減ステアリングなどが装備された。
ヴェゼルは発売後の2014年から2016年の3年連続で、国内SUV販売台数No.1に輝いた。
すべてをブラッシュアップして魅力が増した2代目
2021年4月のこの日デビューした2代目ヴェゼルは、初代と同じくSUVらしさとクーペのようなスタイリッシュさを融合させたデザインが採用された。


パワートレインは、118ps/14.5kgmを発揮する1.5L DOHC i-VTECとCVTの組み合わせ、および106ps/13.0kgmの1.5L直4 DOHCに2モーター(131ps/25.8kgm)を組み合わせたe:HEVを搭載。e:HEVによってさらなる燃費の向上を実現しつつ、ホンダらしい快適で楽しい走りを実現し、さらに雪道走行でも安定した運転ができるようにリアルタイム4WDが搭載された。

また、ホンダセンシングも最新化され、ハイビームとロービームが切り替わるオートハイビーム、踏み間違いなどによる後方への急発進を防ぐ後方誤発進抑制機能、低速走行(約2km/h~約10km/h)の際に壁や障害物への衝突を回避する近距離衝突軽減ブレーキが追加。その他にも、ハンズフリーアクセスパワーテールゲート、パノラマルーフ、静電タッチ式LEDルームランプなどの機能が装備された。

車両価格は、標準グレード(FF仕様)のガソリン車が227.9万円、e:HEV車が265.9万円に設定された。

ハイブリッドは、i-DCDからe:HEVへ統合
ホンダのハイブリッドは、マイルドハイブリッドのIMA(インテグレーテッド・モーター・アシスト)から始まったが、その後、本格ハイブリッドの初代ヴェゼルが採用したi-DCDから、2代目ヴェゼル採用のi-MMD(名称をe:HEVに変更)へと進化した。

・i-DCD
7速DCT(デュアルクラッチ・トランスミッション)と内蔵された1つのモーターで構成。DCTは、奇数段(例えば、7速の場合は、1-3-5-7速)と偶数段(2-4-6速)に分割された2系統の歯車機構の入力軸と、入力軸を切り替える2つのクラッチを配置。走行状況に応じて、エンジンとモーターを2つのクラッチで接続・切断することで、運転状況に応じてEVモード、エンジンモード、ハイブリッドモード、回生モードの4つのモードに切り替える。

・e:HEV
走行用モーターと発電用モーターの2つのモーターとエンジン直結クラッチで構成。走行用モーターは、駆動軸と直結してタイヤを動かすとともに、減速時には回生を行なう。一方の発電用モーターは、エンジンと直結してバッテリーへの充電を担う。i-DCD同様、EVモード、エンジンモード、ハイブリッドモード、回生モードに切り替わる。

DCTを使うi-DCDは、小気味よい変速が特徴だが、一方で低速走行ではギクシャク感が発生しやすい、さらに構造が複雑であり、当初不具合も多発した。このことから、現在ホンダのハイブリッドは、構造が比較的シンプルで大容量バッテリーを搭載してEV走行が長い(燃費が良い)e:HEVへと切り替えて統合された。


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初代ヴェゼルの末期には、さすがに販売台数が減少していたが、2代目の発売以降は再び人気が復活。ユーティリティの高いSUVだが、一方で大きなSUVは苦手という人にとって、ヴェゼルは大きすぎず、扱いやすいジャストサイズで好まれるのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。