3カメラでドライバーの顔を映さず360度カメラに匹敵する画角を実現したドラレコ「Mio・MiVue」シリーズ最新モデルが発表!

高画質ドライブレコーダー(以下、ドラレコ)を引っ提げて日本市場にやってきたブランド「Mio」。そのハイエンドモデルを含む新製品の日本導入が決定し、2025年4月17日(木)に発表会が行われた。
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日本のドラレコ市場は飽和状態?成長市場?

事故や煽り運転、交通トラブルなどの際の証拠として、ドラレコーの映像が重要な役割を果たすようになった。今や装着が常識かと思いきや、装着率は約64%という調査がある(パイオニア調べ・2024年11月)。

2024年11月に実施されたインターネットでのアンケートによるドライブレコーダー設置調査。対象は自宅に車を保有・運転する全国の男女1000名。(パイオニア)

日本におけるドラレコ販売(装着)台数は個人・法人合わせて約268万台と言われ、その多くが個人ユーザーだ。また、シェアとしてはコムテックが大きなシェア(約52%)を占めており、ユピテル(14%)、JVCケンウッド(13%)と続く。(※)
※2024年データ(Mio調べ)

コムテックの2カメラドラレコ「ZDR027」。

また、現状でのドラレコのタイプとしては前後が記録できる2カメラタイプが主流となっているほか、昨今ではデジタルルームミラーと一体化したタイプが伸長しているという調査結果もある。

オンライン販売におけるドラレコタイプ別シェア(Mio調べ)

国内市場においては、ドラレコのメーカー別シェアはやや固定化している傾向があるものの、タイプ別ではデジタルミラー一体型(電子ミラータイプ)には伸び代が残されているようだ。この流れは、新規導入よりも買い替え時に需要が見込めそうだ。

「Mio」って知ってる?

Mioは台湾に本拠を構えるカーエレクトロニクス系のグローバル企業「MiTAC」グループが展開するドラレコを中心としたブランド。Mioブランドのドラレコは、台湾では圧倒的シェアを誇り、アメリカやアジアを中心に売上を伸ばしている。日本でも2024年秋から販売を開始。1カメラ、2カメラ、デジタルミラー一体型の3タイプ5アイテムを展開している。

Mioのドラレコラインナップ。このほかにバイク用もラインナップしている。

今回の新製品発表会ではさらに3カメラ型とデジタルミラー一体型の最上位モデル、さらにデジタルミラー一体型のエントリーモデルがお披露目された

注目の新製品は3カメラのデジタルミラー一体型「MiVue ER58」

今回の新製品発表会でお披露目された中で一番の注目アイテムがデジタルミラー一体型のトップモデルになる「ER58」だ。
これまでのデジタルミラー一体型モデル(ER40、ER50)は前後の2カメラだったが、ER58はリヤカメラに外向きだけでなく車内向きも追加。車内側カメラにより前後カメラではカバーしきれない左右の映像を録画できるようになっているのが特徴だ。

Mioドラレコの最新モデルとなる3カメラ×デジタルミラー一体型のER58。

録画範囲の広さとしては360°カメラタイプが挙げられるが、このタイプのカメラを一般的にドラレコを設置するルームミラー付近のフロントウインドウに設置すると、車内の様子はもとより乗員の顔まで映ってしまう点が忌避されるという。また、カメラの性質上、画質的にも証拠能力が弱くなってしまう点もデメリットになるようだ。

ER58の3カメラタイプは、左右の映像はリヤ側のインナーカメラで録画するため、乗員の顔は映らないで済むというわけだ。

フロント用カメラとデジタルミラー。デジタルミラーはタッチスクリーンになっており、画面も1500ニト(※)と非常に明るく高精細。

カメラは高画質の従来モデル同様に前後カメラとも2Kとなっている。また、ソニー製の「STARVIS2」超高感度CMOSセンサーを採用しており、夜間でも明るくクッキリとした映像を記録でき、万が一の証拠能力はさらに高まっていると言えるだろう。

リヤカメラ。リヤカメラの筐体には前後にカメラが配置されている。
リヤカメラの車内側。このカメラが車内および左右のウインドウの外側の映像を記録する。

従来のトップモデルだったER50が実勢価格4万1580円(Amazon・Mioストア)となっており、3カメラとなったER58は5万円前後という価格が予想される。

「ニト」とは?
画面の輝度=明るさの単位で「nit」または「nt」と表記され、「ニト」や「ニット」と呼ばれる。カンデラ毎平方メートル(cd/m2)とも。
従来モデルのER40とER50の違いはディスプレイの明るさ。ER50(上)は1500ニト、ER40(下)は500ニト。その明るさの違いがわかるだろう。もちろん両モデルともHDRで明るさのコントラストの強い状況でも、録画映像は白飛びしにくくなっている。

なお、ER50とER58に採用される1500ニトというスペックは、現状では業界唯一の高性能。昼間に反射光がデジタルミラーに映り込んでしまうことがある状況でも、映り込みを抑えて明瞭な映像を映すことができるのだ。

デジタルミラー一体型にエントリーモデル「MiVue ER20」を追加

Mioブランドが日本のドラレコ市場で展開するにあたり、成長市場と見込んだデジタルミラー一体型。従来モデルとしてもER40、ER50の2モデルをラインナップしているもののそれぞれ3万7423円、4万1580円と高い。もちろん、価格に見合った高性能ではあるものの、市場にはより安価な製品も多数あり、新規参入ブランドの製品としてこの価格はユーザー的には敷居が高い。

デジタルミラー一体型のエントリーモデルとして導入されるER20。エントリーモデルながら、他製品では性能を落としがちなリヤカメラも、フロントカメラと共通の性能となっているのが特徴だ。

そこで、エントリーモデルとなる「ER20」をラインナップに追加することになった。
ER20は画質こそ4Kには及ばないものの、前後カメラはフルHDとなる1080Pの性能を確保しつつ、上位モデル同様に「STARVIS2」を採用。もちろんデジタルミラーはタッチパネルとなっている。

前後2カメラ別体式で、GPSアンテナも別体。そのため設置位置の自由度が高く、フロントウインドウ上端に先進安全機能のためのカメラなどが配置されていることが多い昨今のクルマにも装着しやすい。

ER40の3万7423円に対し、エントリーモデルとして安価な価格設定が期待される。この性能で2万円台の実勢価格が実現されれば、先行する同クラスのコムテックやケンウッドの製品との比較対象にもなってくるだろう。

デジタルミラー一体型以外にも3カメラモデル「DR50」を設定

Mioが現在ラインナップしているデジタルミラー一体型以外の製品は1カメラ型1モデル(DR30)、2カメラ型2モデル(DR35、DR40)となっている。いずれもフルHD以上のカメラに「STARVIS」CMOSセンサーを採用。GPSはもちろん、2カメラモデルはWi-Fiも備えた高性能モデルとなっている。

デジタルミラー一体型のER58(左)と通常型3カメラタイプのDR50。

さらに今回発表されたのが、フロントカメラが4K+リヤカメラ2Kの高画質に加え、車内とクルマの左右を後方から録画する2Kのリヤインナーカメラも追加した3カメラモデル「DR50」だ。DRシリーズ最高画質となる4Kカメラに加え、CMOSセンサーは「STARVIS2」にグレードアップ。単純なカメラ性能ではデジタルミラー一体型のER58をも上回ることになる。

DR50はフロント用のカメラ一体型本体もリヤカメラもステーで吊り下げるタイプではなく、ウインドウなどに直付けするタイプ。このタイプは安定性はもちろん、縦方向の省スペース性にも優れる。もちろん、カメラの角度は調整可能だ。

3カメラやSTAVIS2のメリットについてはER58でも紹介済み。ドラレコの性能としてはクラストップレベルと言えるだろう。この高性能は、今もドラレコ市場で主流となっているデジタルミラー一体型ではない2カメラタイプのシェアに食い込むことができるだろうか?

従来モデルのDR40が実勢価格2万1800円(Amazon・Mioストア)。より高画質なフロントカメラとインナーカメラを追加したリヤカメラ、STARVIS2の採用でより高価格になるのは確実だが、3万円台前半が想定されているというが、これはかなり戦略的な価格となるだろう。

日本市場進出への意気込み

いずれの新製品も発売を急いでいるという話だが、実際に販売開始となるのはモデルによって5月から夏前くらいになるそうだ。

新製品発表会では、ブランドアンバサダーとして、元SKE48のアイドルであり、ライダーやラリーのコドライバーとして活躍する梅本まどかさんが司会を務め、MiTACデジタルテクノロジーズのスティーブ・チャン代表取締役社長とトニー・リン商品開発部上席部長も来日し、市場概況や日本での展開、製品の紹介などが行われた。

Mio新製品発表会。左から5番目がスティーブ・チャン氏。その右隣が日本でMioのバイク用ドラレコを販売するデイトナの織田哲司代表取締役。

導入される新製品はもちろん、3年保証に加えユーザーサポートなども完全に日本対応体制を整えているとのことで、この発表会でMioブランドの日本市場展開への強い意気込みを感じさせた。
国産メーカーが圧倒的に強く、やや飽和気味の感があるドラレコの日本市場において、高性能なデジタルミラー一体型モデルの投入はドラレコ業界の”黒船”になるのか?大いに気になるところである。

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