新型ムーヴとタントを画像と数値で比べてみる! デザインやボディサイズにグレード・価格の違いは?

2025年6月5日、ダイハツがムーヴをフルモデルチェンジした。7代目となった新型ムーヴはリヤスライドドアが採用したことが話題を呼んでいる。そんな新型ムーヴと、同じくダイハツのリヤスライドドアを備える軽自動車、タントを比べてみよう。
PHOTO:新型ムーヴ=MotorFan.jp/タントカスタム=神村 聖(KAMIMURA Satoshi)/タント=中野幸次(NAKANO Koji)

ダイハツ・ムーヴは軽自動車に”ハイトワゴン”というジャンルを生み出したスズキ・ワゴンRのライバルとして誕生したのはご存知の通り。
一方でダイハツはタントでワンボックスではないリヤスライドドアを備えた”スーパーハイトワゴン”を開拓。今や軽乗用車市場はこのスーパーハイトワゴンが席巻しており、ワゴンRやムーヴといったスイングドア系ハイトワゴンはメインストリームからは外れてしまっている。

現行型スズキ・ワゴンR。
リヤスライドドアを採用したワゴンRスマイル。

そして、7代目へとフルモデルチェンジしたムーヴはついにスイングドアと決別し、リヤスライドドアを採用。ダイハツはこれで、ムーヴ、ムーヴキャンバス、タントとリヤスライドドアモデルを3車種も揃えたことになる。
ここでは新型ムーヴとタント、ダイハツのリヤスライドドアモデル2台を比較してみよう。

新型ムーヴのリヤスライドドア。

エクステリアとサイズ

エクステリアは先代の面影を残しつつもシャープを増したデザインとなった。リヤで跳ね上がったウェストラインやその上部でブラックアウトされたピラーによるフローティングルーフデザインは非常に現代的だ。

新型ムーヴRS
新型ムーヴX

3つのデザインパターンを用意するワゴンRに対して、元々シャープ路線だったムーヴだけに新型ではカスタムとノーマルを分けるラインナップを廃止してカスタム方向のデザインにまとめられた印象を受ける。

ダイハツ新型「ムーヴ」でカスタムはなぜ消えた!? その代役を務めるふたつのスタイルに注目

最近の軽ハイトワゴンは、標準モデルとカスタムモデルを揃えるのが定番。ダイハツ「ムーヴ」も初代からカスタムをラインナップしていたが、6月4日に登場した7代目ではカスタムが消滅。その理由は? そして、カスタムの代役を担うふたつの「スタイル」とは?

一方で、タントはノーマルとカスタム、さらに言えばSUVテイストのファンクロスも設定するスーパーハイトワゴンの定番ラインナップ。ファミリー層をメインにしつつ、多様なユーザーの嗜好とライフスタイルに応える。こうした作り分けも市場規模の大きいスーパーハイトワゴンだからこそと言えるだろう。

タントカスタム
タント
タントカスタム
タント

ボディサイズは軽自動車枠という規格があるため、全長(3395mm)や全幅(1475mm)などはその規格に縛られる。大きな違いが全高で、新型ムーヴが1655mm(4WD:1670mm)、タントが1755mm(4WD:1775mm)とその差は100mmもある。

左から新型ムーヴ、タントカスタム、タント。

ホイールベース(2460mm) のほか、トレッド※(前:1300mm/後:1295mm)も共通となっている。(※FF車)
なお、車重は新型ムーヴが860kg〜890kg(4WD:900kg〜940kg)、タントが880kg〜930kg(4WD:930kg〜980kg)と新型ムーブが20kg〜40kgほど軽量なのは、車高の違いからすれば当然か。

左から新型ムーヴ、タントカスタム、タント。

室内サイズは新型ムーヴの全長2140mm×全幅1335mm×全高1270mmに対し、タントは全長2125mm×全幅1350mm×全高1370mmと、タントの室内高が高いの当然としても室内長や室内幅は僅かだが新型ムーヴが上回っている。

上から新型ムーヴ、タントカスタム、タント。

ホイールはRSが15インチアルミホイールに165/55R15サイズのタイヤ、Xが14インチスチールホイール+ホイールキャップに155/65R14サイズのタイヤを装着する。

発表会ではRSにブリヂストン・エコピアEP150を装着。
RSはダンロップ・エナセーブEC300+装着車も展示。
Xはダンロップ・エナセーブEC300+を装着。

タントもカスタムRSが15インチアルミホイールに165/55R15サイズのタイヤ、RS以外が14インチスチールホイール+ホイールキャップに155/65R14サイズのタイヤを装着する。
ホイールやタイヤのサイズと組み合わせは両車共通。また、14インチスチールホイールに装着されるホイールキャップも新型ムーヴとタントは共通のようだ。

タントカスタムRSは15インチアルミホイールを装着。
タントやRS以外は14インチホイール+ホイールカバー。

また、15インチホイールで4.7m、14インチホイールで4.4mの最小回転半径や、FFが150mm、4WDが165mmの最低地上高も共通となっている。

インストゥルメントパネル&メーター

インストゥルメントパネルまわりの最大の違いはメータークラスター。新型ムーヴはオーソドックスなクラスターだが、タントはセンター付近まで伸びる横長のクラスターになっている。また、コンソール中央のセンターディスプレイが新型ムーヴでは大型化しているのもタントとの違いだ。

新型ムーヴRS
新型ムーヴX
タントカスタムRS

シフトレバーとエアコン操作パネルの位置やインターフェースは概ね共通しているほか、ステアリングも共通。ただし、新型ムーヴRSには右スポークにクルーズコントロール系のスイッチが追加されていた。

タント

メーター自体もムーヴがオーソドックスなアナログメーター(RSがスピードと回転の2眼、Xがスピードのみの1眼)なのに対し、タントはデジタルメーターを採用している。

新型ムーヴRS
新型ムーヴX
タントカスタムRS
タント

シート&ユーティリティ

シート形状は新型ムーヴもタントも共通のように見える。ただし、新型ムーヴはRSとGがネイビー、XとLがグレージュとカラーは2種類だが、タントカスタムのようなレザー調と組み合わせたコンビシートは無い。また、ファブリック生地もタントに採用されている撥水加工ではない。

新型ムーヴRSのフロントシート。
新型ムーヴRSのリヤシート。
新型ムーヴXのフロントシート。
新型ムーヴXのリヤシート。

また両車の違いとしては、タントではフロントシート背面に配置される後席用折り畳みテーブルが新型ムーヴには用意されていない点が挙げられる。

タントカスタムRSのフロントシート。
タントカスタムRSのリヤシート。
タントのフロントシート。
タントのリヤシート。

ラゲッジルームはユーティリティ性が特に求められるタントの方が数値的にも余裕がある。具体的には、フロア高が新型ムーヴが660mmに対しタントが580mm。開口高は車高の差が如実に表れ、新型ムーヴが865mmでタントが1061mm。開口幅は新型ムーヴが1052mm、タントが1007mmと新型ムーヴが健闘している。

新型ムーヴのラゲッジルーム。
リヤシート格納時。
 タントのラゲッジルーム。
リヤシート格納時。

やはり最大の違いは車高(室内高)以上にリヤスライドドア。新型ムーヴが通常のスライドドアであるのに対し、タントの特長である右側ドアにピラーを内蔵するミラクルオープンドアを備え、助手席側フロントドアと右リヤスライドドアを開けた時の開口面積の広さは唯一無二と言えるだろう。

新型ムーヴ(RS)のリヤスライドドア。
タントのミラクルオープンドア。右側はピラーをドアに内蔵することで大開口を実現。右側は通常のスライドドア。

パワートレイン

搭載されるエンジンはどちらもKF型の658cc水冷直列3気筒DOHC12バルブ。インタークーラーターボ仕様が64ps/6400rpm・100Nm(10.2kgm)/3600rpm、NA仕様が52ps/6900rpm・60Nm(6.1kgm)/3600rpmと出力も変更なし。
トランスミッションも両車ともにCVTだ。

新型ムーヴRSのKF型658cc水冷直列3気筒DOHC12バルブインタークーラーターボエンジン。
新型ムーヴXのKF型658cc水冷直列3気筒DOHC12バルブエンジン。
タントカスタムRSは新型ムーヴRSと共通のターボエンジン。
タントのNAモデルは新型ムーヴのNAモデルと共通のエンジン。

しかし、実は燃費が世代や車重の差ほどに違いがなく、カタログ値ではNAモデルは僅かながらタントの方が数値が良い。良かれ悪しかれその差はごく僅かなのだが、車重や前面投影面積の差を考えると意外な数値だ。

新型ムーヴタント
X(FF)22.6km/L22.7km/L
X(4WD)20.6km/L21.4km/L
RS(FF)21.5km/L21.2km/L
RS(4WD)19.9km/L19.6km/L
数値はWLTCモード

フロントがベンチレーテッドディスク、リヤがドラムのブレーキや、フロントがマクファーソンストラット、リヤがトーションビーム(4WDは3リンク)のサスペンション形式も両車共通となっている。

グレードと価格は?

新型ムーヴはカスタムが廃止され、グレードは「RS」「G」「X」「L」となり、「RS」のみターボエンジン搭載車となる。4WDは全グレードで用意されている。価格については以下の表のとおり。

グレード価格(FF)価格(4WD)
L135万8500円148万5000円
X149万500円161万7000円
G171万6000円184万2500円
RS189万7500円202万4000円
価格は税込

タントはカスタムに「カスタムRS」と「カスタムX」、ノーマルは「Xターボ」「X」「L」というグレード設定。カスタムのNAエンジンモデル、ノーマルのターボエンジンモデルもラインナップし、全グレードに4WDを用意する充実したラインナップだ。

グレード価格(FF)価格(4WD)
L148万 5000円161万4500円
X161万7000円173万8000円
Xターボ173万2500円185万3500円
カスタムX187万円199万1000円
カスタムRS196万3500円208万4500円
価格は税込

「L」や「X」なら新型ムーヴはタントの12万円〜13万円安。「RS」なら6万円〜7万円安とその差は縮まる。モデル的にやや古め(2019年デビュー)ということもあるが、+10cmの車高(室内高)とミラクルオープンドアでこの価格差はタントにお買い得感がある。

ムーヴキャンバスとのバッティングは?

新型ムーヴとタントにおいては、車高の違いのほかにやはりミラクルオープンドアが大きな違いとなっている。
一方で、ダイハツのリヤスライドドア軽自動車といえばムーヴキャンバスが先行しており、人気を博している。サイズやユーティリティで両車はバッティングしそうにも思われるが、ムーヴキャンバスは女性をメインターゲットにしたファニーなデザインが特徴。

現行ムーヴ・キャンバス。リヤスライドドアや各種装備はプライベートユースでのユーティリティ性を謳い、ファミリーユースとは一線を画するユーザーをターゲットとした。ファニーなデザインで女性を中心に人気だが、逆にこのクラスのクルマを求める男性には敷居が高かった。それが、新型ムーヴのリヤスライドドア化とカスタムテイストなデザインにつながっているのかもしれない。

新型ムーヴは廃止された”カスタム”寄りのシャープなデザインのみになったことを考えると、ムーヴキャンバスがノーマルラインで、新型ムーヴがカスタムラインと考えることもできる。

価格的には新型ムーヴが135万8500円〜202万4000円であるのに対し、ムーヴキャンバスは157万3000円〜200万7500円となっており、ややムーヴキャンバスの方がボトムラインは上だが価格帯としてはほぼ拮抗している。装備や世代差を考えると新型ムーヴの方がお得な設定のようにも考えられる。

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