まずボディサイズだが、全車3ナンバー化されたことは大きなトピックではあるものの、実際の数値を見てみると、驚くほど変わっていない。全長4695mm(エアロ仕様は先代が4710mmのため-15mm)、ホイールベース2850mmは先代より維持され、全高は70mm高い1895mm(4WD車は60mm高い1925mm)となっているものの、シャークフィンアンテナ分の50mmが含まれるため、実質的には10~20mmしか変わらない。そして1730mmに統一された全幅は、標準仕様には35mmの拡大をもたらしたものの、エアロ仕様ではむしろ5mm狭くなっているのだ。
一方で最低地上高は、先代がFFで160mm、4WD車でも155mm確保されていたものが、新型ではFF車で140mm、4WDで125mmと大幅にダウンしている。特に後付けのエアロパーツを装着した場合、段差や傾斜では下側を擦らないよう、これまで以上に注意する必要があるだろう。
室内長×幅×高は、新型が2805×1470×1405mm、先代が2930×1540×1400mmと、全体的にはむしろ狭くなっている。また、2列目フロア高が20mm上げられた分は、全高の実質10~20mmアップでカバーされたと見るべきだろう。
2列目の前後スライド量を比較すると、2人掛けキャプテンシートの場合、新型が745mm、先代が810mmと、65mm減少している。だが、後方へロングスライドさせるため左右方向にもスライドさせるとほぼベンチシートになっていた先代に対し、新型ではその際のカップルディスタンスが174mm拡大されるとともに左右スライドが廃止されたのは、大きな進化と言えそうだ。
3人掛けベンチシートの場合は逆に、新型の前後スライド量が705mm、先代が580mmと、新型の方が多くなっている。座面のチップアップが可能なベンチシートの場合、前後スライド量の多さが2列目居住空間と荷室スペースとのバランスの取りやすさに直結するため、こちらの進化も見逃せない。
それでは、箱形ミニバンの個性を決定づける、フロントマスクのデザインを比較してみよう。まずノアの標準仕様だが、新型と先代後期型を見比べると、全幅35mm拡大もあってかフロントマスクや前後フェンダーを中心に厚みが増しているものの、基本的な造形はキープコンセプトなのが見て取れる。むしろ先代の前期から後期への変化の方が大きく、保守的かつ高級感を重視した前期型に対し、後期型は前衛的かつスポーティな印象だ。
ノアのエアロ仕様を見比べると、こちらは先代前期型から新型にかけての変化が比較的少なく、一貫して押し出しが強い顔つきだ。ただしそのなかでも、徐々に前衛的かつスポーティに進化したのがわかるだろう。
最も変化が激しいのはヴォクシーだろう。新型はエアロ仕様のみに絞られたため新旧のエアロ仕様同士を比較すると、先代前期型がさらにさかのぼって先々代(二代目)の面影を色濃く残しているのに対し、後期型へのマイナーチェンジでよりエッジの立った攻撃的なデザインへ変化。そして新型では、ランプユニットが明確に分割されたことで細目になり、さらにグリルも曲線が多用された有機的な造形へと一新されたことで、極めて個性的なフロントマスクを得るに至っている。
リヤまわりを比較してみると、バックドア開口部を可能な限り広げる必要がありデザインしろが少ないため、全体的な造形の違いは少ない。だが新型ではノアがL字型、ヴォクシーが横基調の発光部とされており、両車間での明確な差別化が図られている。
最後に運転席まわりを比べてみよう。先代はインパネが高くそびえ立つような造形だったが、新型は特に助手席側上面をくぼませた形状とするなど、前方視界を拡大しつつ心理的な圧迫感を軽減する工夫が施されている。また、Aピラーの幅が細められる一方で三角窓が拡大され、斜め前方の死角も低減されたのは、ゼロ次安全性能向上の観点からも好ましい進化だと断言できる。