5ナンバーのシャトルの荷室がすごい?国産ステーションワゴン 全比較 一番パワフルなのは?荷室が広いのは?

SUV、クロスオーバー人気でステーションワゴンの数はどんどん減っている。少し前までは、レガシィツーリングワゴン、アコードワゴンやランサーワゴンエボリューション、ステージアなど魅力あるモデルが数多く存在した。ただ、数は少なくなってしまったものの、国産ステーションワゴンは今でも魅力あるモデルがたくさんある。そこで今回は、そんな国産ステーションワゴンをさまざまな観点から比較する。

ステーションワゴンには多くの魅力がある。まずは車高が低いことから得られる高い走行性能だ。基本的にセダンがベースとなっているため重心が低く、SUVやミニバンよりも運転を楽しむことができる。またラゲッジスペースが広いことも魅力で、多くの荷物も積むことができる。さらにトランクと後部座席の間に仕切りがないため、リヤシートに座っても頭上空間にゆとりがある。全高が低いので立体駐車場に駐車できるなど多くの魅力がある。

そんな魅力あるステーションワゴンが最近減ってきている。かつて一大ブームにもなったアコードワゴンも、先代モデルから廃止されてしまった。しかし数は少なくなってしまったものの、国産ステーションワゴンの魅力あるモデルは今も少なくない。今回は、そんな国産ステーションワゴンを比較する。

トヨタ・カローラフィールダー 170万9400円〜

ハイブリッドEX

カローラのワゴンモデルで、2000年登場の9代目から「フィールダー」のサブネームが与えられた。10代目、11代目でもフィールダーの名前が継承されたが、19年にリリースされた12代目では「ツーリング」へと改められた。現在も11代目ベースのカローラフィールダーが併売されているが、主にビジネスユースを想定したもの。ラインナップは1.5L+モーターのハイブリッドと1.5Lガソリンで、後者では4WDモデルを選択することも可能となっている。

カローラフィールダー 車両価格○170万9400円〜
全長×全幅×全高:4400×1695×1475mm
ホイールベース:2600mm
室内長×室内幅×室内高:1945×1430×1200mm
車重:1100kg
定員:5名

ホンダ・シャトル 180万8400円〜

HYBRID Z・Honda SENSING

2015年に発売された、3代目フィットをベースとした5ナンバーサイズのステーションワゴンでフィットシャトルの後継車。フィットに対し荷室を延長しながら独自の外観やシャシーセッティングを備え、静粛性や内装の質感を高めている。ガソリンエンジン車とハイブリッド車が設定され、エンジン排気量は全車1.5ℓ。ガソリンエンジン車は直噴・自然吸気のL15B型を搭載。ハイブリッド車はEV発進が可能な1モーターシステム「SPORT HYBRID i-DCD」を採用。

シャトル 車両価格○180万8400円〜
全長×全幅×全高:4440×1695×1545mm
ホイールベース:2530mm
室内長×室内幅×室内高:1925×1450×1290mm
車重:1130kg
定員:5名

トヨタ・カローラツーリング 201万3000円〜

HYBRID W×B

2019年9月に発売された12代目カローラの、セダンとともに発売したステーションワゴンモデル。全長はセダンと同値で、5名乗車時でもゴルフバッグ4本を積める積載量を実現した。グローバルモデルながら日本仕様としてボディサイズとホイールベースをわずかに縮小している。パワートレインは1.8ℓ、1.2ℓターボ、1.8ℓハイブリッドの3種。携帯電話通信回線を用いるコネクティッド機能も注目装備のひとつ。

カローラツーリング 車両価格○201万3000円〜
全長×全幅×全高:4495×1745×1460mm
ホイールベース:2640mm
室内長×室内幅×室内高:1795×1510×1160mm
車重:1310kg
定員:5名

マツダMAZDA6ワゴン 289万3000円〜

25T S Package

MAZDA6ワゴンは、MAZDA6セダンよりもホイールべースで80mm、全長で60mm短いスポーツワゴンだ。グローバルで展開するマツダのトップモデルで、エンジンはガソリン2.0ℓ直4(SKYACTIV-G2.0)、2.5ℓ直4(SKYACTIV-G2.5)、2.5ℓ直4ターボ(SKYACTIV-G2.5T)、そして2.2ℓ直4ディーゼル(SKYACTIV-D2.2)を用意する。ちなみに、デザインコンセプトは「雄(TAKERI)」だった。

MAZDA6ワゴン 車両価格○289万3000円〜
全長×全幅×全高:4805×1840×1480mm
ホイールベース:2750mm
室内長×室内幅×室内高:1930×1550×1170mm
車重:1530kg
定員:5名

スバル・レヴォーグ 310万2000円〜

STI Sport EX

スバル レヴォーグは、水平対向BOXERエンジンを搭載したスバルのAWDスポーツワゴン。2020年10月にフルモデルチェンジした2代目だ。ボディの骨格となるSGP(スバルグローバルプラットフォーム)は大幅に改良され、床まわりの構造用接着剤が増量された。スバルの誇る安全支援システムの最新版「アイサイトX」もしくは「アイサイト」搭載だ。エンジンも従来の1.6Lから1.8Lに排気量を拡大。直噴ターボ“DIT”を搭載する。また、最近の改良では2.4ℓ水平対向4気筒ターボエンジンも追加され、スポーツワゴンとしての性格をさらに強めている。

レヴォーグ 車両価格○310万2000円〜
全長×全幅×全高:4755×1795×1500mm
ホイールベース:2670mm
室内長×室内幅×室内高:1900×1515×1205mm
車重:1550kg
定員:5名

スバル・レガシィ アウトバック 414万7000円〜

Limited EX

レガシィツーリングワゴンのクロスオーバーSUVモデルがアウトバックで、初代は1995年に登場。現行モデルは2021年登場で7世代目のレガシィがベースとなっているが、現在は、セダンのB4、ツーリングワゴンは廃止となっている。当初は傍流だったアウトバックが時代とともに主流となったというわけだ。そんな現行型アウトバックは、ボディ下部のプロテクションパネルや213mmの最低地上高でSUVらしさをアピール。パワートレーンは1.8L水平対向4気筒ターボエンジン+CVT+AWDのみ。

レガシィ アウトバック 車両価格○414万7000円〜
全長×全幅×全高:4870×1875×1670mm
ホイールベース:2745mm
室内長×室内幅×室内高:1840×1545×1245mm
車重:1680kg
定員:5名

一番荷物を積めるのは?

まずは荷室の大きさを比較する。ステーションワゴンの特徴といえば荷室が広く、積み下ろしがしやすいこと。国産ステーションワゴンの中で荷室が大きいのはどのクルマだろうか。

5名乗車の通常時の荷室容量(VDA法測定値)は以下の通り。

カローラフィールダー:407ℓ
シャトル(ガソリン):606ℓ
シャトル(ハイブリッド):570ℓ
カローラツーリング:392ℓ
MAZDA6ワゴン:506ℓ
レヴォーグ:561ℓ
レガシィ アウトバック:561ℓ

意外にも荷室容量が最も大きいのは5ナンバーのシャトルだった。燃料タンクを前席下に配置したホンダのお家芸センタータンクレイアウトを採用することで、低床フロアを実現し、5ナンバーサイズとしては考えられないほど広大な荷室を実現した。後席も驚くほど広い。ハイブリッドはバッテリーを配置する都合上、少々ガソリンモデルよりは狭くなるが、それでも570ℓを実現する。シャトルに次いで大きいのは561ℓのレヴォーグとアウトバックだった。

シャトルは5ナンバーだがホンダのお家芸、センタータンクレイアウトにより荷室は広々としている。こうして見ると他のモデルより低床だ。

後席格納時の荷室容量はレヴォーグとアウトバックが公表されていないが、参考までに紹介しよう。

カローラフィールダー:872ℓ
シャトル(ガソリン):1177ℓ
シャトル(ハイブリッド):1141ℓ
カローラツーリング:802ℓ
MAZDA6ワゴン:1648ℓ

このように後席格納時はボディサイズの大きいMAZDA6が余裕の1648ℓを実現している。スバル車も公表されているが、実車を見ると充分な大きさを実現している。

最も走りが激しいのは?

次にパワーウェイトレシオを見ていこう。パワーウェイトレシオとは、車両重量を最高出力で割った数値。1psで何kgの重量を受け持つかを示した値で、小さいほど”ホット”になるということだ。上級モデルになればなるほどエンジンスペックは立派なものになるが、ここでは車両重量も考慮した”ホット”なモデルなモデルを紹介する。

2.4ℓ水平対向4気筒ターボエンジンを積んだレヴォーグSTI Sport R

それぞれのモデルで一番パワーウェイトレシオが小さい(最もパワフルな)パワートレーンで比較した結果は以下の通り。

カローラフィールダー(ガソリン):10.0kg/ps
シャトル(ガソリン):8.56kg/ps
カローラツーリング(ガソリン):9.21kg/ps
MAZDA6ワゴン(2.5ℓターボ):6.95kg/ps
レヴォーグ(2.4ℓターボ):5.92kg/ps
レガシィ アウトバック:9.49kg/ps

このように国産ステーションワゴンの中で、もっともホットなスポーツワゴンは2.4ℓ水平対向4気筒ターボエンジン(275ps/375Nm)を積んだレヴォーグだった。このエンジンは、新型WRX S4と同型のエンジンだ。シボレー・カマロ LT RSのパワーウェイトレシオが5.67kg/ps、スープラSZ-Rが5.62kg/psなので、レヴォーグはスポーツカーとも遜色ないレベルのパワーウェイトレシオを実現しているということになる。また、MAZDA6の2.5ℓターボ(230ps/420Nm)もレヴォーグに次いで国産ステーションワゴンの中では余裕のある走りを楽しめる。

ちなみに世界に目を向ければV8ツインターボエンジン(600ps/800Nm)を搭載したアウディRS6アバント(3.66kg/ps)など、とてつもない高性能ステーションワゴンも存在する。

燃費はハイブリッドが有利

次に燃費が良いのはどのモデルだろうか。それぞれのモデルで最も燃費の良いグレードを比較した結果は以下の通り(WLTCモード)。

カローラフィールダー(ハイブリッド):27.8km/ℓ
シャトル(ハイブリッド):25.2km/ℓ
カローラツーリング(ハイブリッド):29.0km/ℓ
MAZDA6ワゴン(ディーゼル、MT):19.6km/ℓ
レヴォーグ(1.8ℓターボ):13.7km/ℓ
レガシィ アウトバック:13.0km/ℓ

やはり燃費が良いのはハイブリッドだ。カローラツーリングは最も優秀な29.0km/ℓを実現している。2位、3位もカローラフィールダー、シャトルとハイブリッドが続いた。

ステーションワゴンはたくさんの荷物を載せて快適にドライブへ出かけたくなるが、燃費が良いとさらに嬉しいものだ。

ハイブリッドはもちろん燃費が良いが、長距離ならディーゼル車も燃費が伸びる。また、トルキーな走りを楽しめるだけでなく、ガソリン価格が高止まりし続けている今日、使用燃料が軽油というのもディーゼルの嬉しいポイントだ。

というわけで、国産ステーションワゴンは数が少なくなったものの、未だに魅力のあるモデルが残っている。低重心で走りが良く、荷物もたくさん載るステーションワゴンに今一度注目してみてはいかがだろうか。

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