納車4年待ち!価格は1800万円! レクサスLX 中東を主戦場にする高級SUVを東京で試す

レクサスLX600 EXECUTIVE車両本体価格:1800万円 オプション価格27万5000円(ボディ色、オーナメントパネルアートウッド)
レクサスのフラッグシップSUVであるLXが新型に切り替わった。車両価格は1250万円から。そのLXのなかでも4座の超高級仕様が「EXECUTEIV(エグゼクティブ)」である。
TEXT & PHOTO:世良耕太(SERA Kota)

ラグジュアリーホテルのようなしつらえ

レクサスLX600 EXECUTIVE 全長×全幅×全高:5100mm×1990mm×1895mm ホイールベース:2850mm

サウジアラビア王国ならびにアラブ首長国連邦で初公開されたことからも推察できるように、レクサスLXの主戦場は中東だ。大まかにいうと、販売割合の4割が中東、25%がロシア、同じく25%がアメリカで、日本は5%だという。生活するうえで本当に必要かどうかは別にして、日本でLXと付き合うより、中東やアメリカのほうが悪路は身近だ。ステータスシンボルとしてのニーズも高い。

レクサスのフラッグシップSUVに位置づけられる「LX」は、2021年10月14日にモデルチェンジして新型に移行した。国内では2022年入って販売が始まっているはずだが、LXの公式ホームページにアクセスすると、「販売納期に関するご案内」が出てきて、「これからご購入いただく場合は、お車をお届けするのに、4年程度となる場合」があると知らせている。大変な人気ぶりだ。

ボディ色はマンガンラスター

「NX」に続く新世代レクサス第2弾としてデビューしたLXは、夢を打ち砕くように言ってしまえば、陸の王者たるトヨタ・ランドクルーザーをベースにしている。ランクルとLXの違いは、「トヨタ」と聞いてイメージするキャラクターと、「レクサス」と聞いてイメージするキャラクターの違いといっていい。レクサスは格段にラグジュアリーだ。

LXを目の前にすると、ラグジュアリーホテルのエントランスに臨んだときのように背筋がピンとなるのは、ボリュームの大きさからくる威圧感だけが理由ではないだろう。ドアを開けて乗り込めば、身体を包み込む空間が醸し出すムードに圧倒される。やはり、ラグジュアリーホテルの客室に足を踏み入れた瞬間と同じように、気の利いたしつらえに心を奪われる。「オレいま息するの忘れてなかった?」と思うほどに。

着座位置は高く、目線は高い。長い脚を生かして一足飛びにフロアに第一歩を印して乗り込もうと思ったが、加齢に伴って身体が硬くなっているせいで(?)、キツかった。ざっと測ってみるとフロアまでは地上から55cm、ステップまでは31cmで、素直にステップに第一歩を印して乗り込むのがよろしい。

フロアまでは地上から55cm、ステップまでは31cm。
ちなみに最低地上高は210mmである。

着座姿勢は極めて乗用車ライクだ。適度なホールド感がありつつ、適度に囲まれ感があって、矛盾するようだが適度な開放感がある。フロントウインドウ越しの見晴らしの良さは抜群で、豪華客船の操縦室から大海原を眺めているような気分が味わえる。ただし、操縦する側の空間は機能に徹した調度や配置になっているのではなく、豪華客船の客室のようなラグジュアリーなムードなのが特徴だ。

後席の住人からすれば、ホテルの客室から窓外の風景を眺める感覚そのものだろう。試乗車のEXCLUSIVEはLXとして初めて採用した4座独立仕様だ。つまり、後席も前席と同様に独立したシートとなっている。前席左右と同様にヒーターとベンチレーションが装備されているし、後席だけにリラクゼーション(マッサージ)機能がついている。中央のコンソールにはスマホのワイヤレス充電機能が備わっているし、前席シートの背面に大きなディスプレイが備わっていて、エンターテインメントも楽しめる。EXCLUSIVE専用の読書灯もある。ドリンクや食事のサービスこそつかないものの、陸上を移動するビジネスクラスといったところか。ラグジュアリーな空間であることは間違いない。

パワートレーンは3.5ℓV6ターボのみ

レクサスLS、LCも搭載するV35A-FTS型3.5ℓV型6気筒DOHCターボ。
形式:3.5ℓV型6気筒DOHCターボ 型式:V35A-FTS型 排気量:3444cc ボア×ストローク:85.5mm×100.0mm 圧縮比:- 最高出力:415ps(305kW)/5200pm 最大トルク:650Nm/2000-3600pm 燃料供給:D-4ST(筒内直接+ポート噴射) 燃料:プレミアム 燃料タンク:80ℓ

新型の300系ランクルには3.3LV6ディーゼルエンジンの設定もあるが、LXはランクルと共通の3.5LV6ガソリンエンジンのみが設定される。2基のターボチャージャーを備えたV35A-FTS型で、最高出力は315kW(415ps)/5200rpm、最大トルクは650Nm/2000-3800rpmを発生する。2017年に発売されたレクサスLS500に合わせて新設計されたエンジンをベースとするが、ランクルに合わせて、ということは当然、その先にあるLXを見据えて、大がかりな変更が加えられている。

振動騒音の改善とレスポンスの向上が開発のテーマだったと、開発にあたった技術者に聞いた。振動騒音の改善に関しては、シリンダーブロック、シリンダーヘッド、コンロッド、クランクシャフトなどに手を入れたというから、ほとんど別物に生まれ変わっていることになる。レスポンスの向上に関しては、吸気系を一新。従来はスロットルバルブの下流に左右バンク独立の水冷インタークーラーが配置されていたが、改良型はひとつにまとめた水冷インタークーラーの下流にスロットルバルブが配置されている。スロットルから燃焼室までのボリュームを減らすためだ。

そういう手の込んだ開発が行なわれたことを知っているため、余計にそう感じてしまうのかもしれないが、LXのエンジン、極めてジェントルで、反応がいい。内外装が見る者に植え付ける印象と、エンジンが乗り手に与える印象が見事にマッチしている。静かで振動を意識しない仕立てになっているだけでなく、「オレは働いているゾ」という主張を、いい音で控え目ながらも確実にドライバーに伝えてくれる。2600kgの重さを感じさせることなく、ドライバーの要求に対してあくまでジェントルにLXを加速させる。

パワーステアリングは電動式(ランクルは油圧式)

ベースとなったランクルとの最大の相違点は、パワーステアリングの機構だろうか。ランクルは油圧式パワーステアリング(電気式操舵アクチュエーター付き)を採用するが、レクサスLXは電動パワーステアリング(EPS)だ。端的に理由を記せば、油圧は壊れても(あるいは、壊れかけても)走れることを重視。LXは上質な走りを重視したがゆえにEPSを採用したとのこと。わざわざ採用しただけのことはあり、LXが醸し出す世界観にマッチした上質な操舵フィールを提供してくれる。

ボディオンフレームの車体構造(すなわち、モノコック構造ではない)や、フロントがハイマウントダブルウィッシュボーン式、リヤはリジッド式のサスペンション形式はランクルと共通だ。モノコックボディだったらステアリングの切り込みに対するクルマの反応はもっと俊敏かもしれないし、路面からの入力に対する力の伝播とそれにともなう車体の動きももっと反応がいいのかなと思わないでもないが、豪華客船を操縦するように、ゆとりを持って運転に臨めばいいだけだ。人間の感覚とクルマの動きのリズムが合わず、車線内にクルマを留めておくだけでも大変と感じるようなルーズさは感じず、ただ、クルマの大きさと重さ相応にゆったりしているだけだ。

オンロードでの走行に終始したので、ブレーキ、駆動量、サスペンションを統合制御してオフロード走行を支援する「マルチテレインセレクト」は試していないし、車高調整は駐車場で少し試した程度だ。最新のトイレに備わる数々のスイッチのうち、「流す・小」しか押していないようなものである。しかし、各種機能が重要な場面で間違いなく機能することは、短いクルマとの付き合いでも充分に予想がつく。ハザードやドライブモードの切り換えなど、各種スイッチはグローブをしても操作しやすい設計になっていると聞き、実際に操作してみると、「なるほどなぁ」と感心する出来だ。

卓越したオフロード性能はスイッチ類の設計からも感じ取ることができる。ただラグジュアリーなだけじゃない、レクサスLXならではの魅力だろう。

最低地上高:210mm 車重:2600kg
レクサスLX600 EXECUTIVE
 全長×全幅×全高:5100mm×1990mm×1895mm
 ホイールベース:2850mm
 車重:2600kg
 サスペンション:Fダブルウィッシュボーン式 Rトレーリングリンク式
 駆動方式:4WD
 エンジン
 形式:3.5ℓV型6気筒DOHCターボ
 型式:V35A-FTS型
 排気量:3444cc
 ボア×ストローク:85.5mm×100.0mm
 圧縮比:-
 最高出力:415ps(305kW)/5200pm
 最大トルク:650Nm/2000-3600pm
 燃料供給:D-4ST(筒内直接+ポート噴射)
 燃料:プレミアム
 燃料タンク:80ℓ
 

 燃費:WLTCモード8.0km/ℓ
  市街地モード:5.5km/ℓ
  郊外モード:8.3km/ℓ
  高速道路モード:9.7km/ℓ
 トランスミッション:10速AT
 車両本体価格:1800万円
 オプション価格27万5000円(ボディ色、オーナメントパネルアートウッド)

著者プロフィール

世良耕太 近影

世良耕太

1967年東京生まれ。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。編集者・ライターとして自動車、技術、F1をはじめと…